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シニアの金言

日曜日、ケアマネさんが訪ねてくれた

65歳女性

亡くなる前の母の言葉に、胸がじわっと緩んだ

 87歳の母は認知症を発症していた。他にも持病をもっていたけれど、最近はいずれも安定していた。毎日、母の暮らしを手伝いながら自分の時間も持つようにしていたけれど、やっぱりたまにはゆっくり休める日がほしい。
 計画をたてて母を1泊2日のショートステイに送り出し、隣県へ1泊のバス旅行。
でも出かけた先で、施設から急変の知らせ。急いで戻って自宅で迎えた母は、急激に弱っていた。
 夜、何度も母の様子を確認しているうちに呼吸が怪しくなり、いつもお願いしている訪問看護ステーションに連絡したけれど、施設の方が到着する前に、息を引き取った。
 急すぎる。何もかも。
 がんで亡くなった父の時とは全然ちがう。
 お葬式を上げ、お世話になったデイサービスや訪問看護のみなさんに挨拶とお礼をお伝えしていた。その後の日曜日、ケアマネさんがわざわざ訪ねてきてくれた。
 認知症の母との生活はわからないことだらけで、上手く受け止め暮らすことができなかった。でも最近は穏やかに過ごせる日々が続いていた。母との関係がよくなってきていた。
 そして実は、私の知らないところで母は、私との暮らしについて話をしていたという。
 わざわざお休みの日に訪ねて来てくれたケアマネさんが、教えてくれた。母が「今が一番しあわせ」と話していたと。

シニアの金言を読み解く

 年間死亡者数は、160万人を超えている(令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei24/dl/02_kek.pdfより)。多死社会において当然、死に直面する人が増加しているはずだが、「死」は日常から切り離されて久しい。亡くなる場所は自宅から病院へと変わり、葬儀は自宅で親戚・近所総出で執り行うことが急減。暮らしにおいて「遺族」、「死」と直面する機会が少なくなり、どう向き合えばよいのかわからない人が増えている。
 もちろん自らも大切な人を亡くした時、自分をどう取り扱えばいいのかわからない。
 グリーフ~喪失による悲嘆をケアする「グリーフケア」の重要性は、高まっているのではないか。
 「グリーフケア」には、自らのためのグリーフケアと他者のためのグリーフケアが考えられる。
 自らのためのグリーフケアは、睡眠や食欲、集中力や免疫にまで及ぶ。死別後の悲嘆から健康リスクが増大し、場合によっては死に至ることもある。配偶者を失った人は有配偶者に比べて死亡率が増大することはコホート研究のメタ分析において確認されている。(女性より男性の方が死亡率の増加は大きい)
 全国の自治体などでは「わかちあい」のグループによるケアが行われたり、グリーフ日記なるものが勧められたりもしている。こうした場や道具を利用して、自らの悲嘆とつきあっていく。
 一方で他者のためのグリーフケアもある。医療・介護、葬祭関連の事業者はもちろん、相続や遺言などに関わる事業者、行政においては特に、その心と向き合い方とを手に入れておくべきだろう。窓口や手続きにおいて、配慮のない言葉や対応が遺族を傷つけることもあると聞く。また心身に大きなストレスを抱えておられる死別者は、記憶力や集中力が低下していることも考えられる。手続き等に必要とはいえ、慣れないことの理解を求めるにはさまざまな工夫が必要だろう。
 人との付き合いにおいても、配慮の知識は必要だ。よく聞く気持ちを逆なでするワードに「そんなに悲しんでいたら故人も悲しむ」、「子どもがいるからいいじゃない」などを聞く。
 「本人たちは悪気がない、けれども遺族にとっては傷つく言葉」を知っておくことは、仕事においても自分の身近な人のためにも役に立つだろう。

※下記リンク先は、グリーフケアという考え方の普及に努め、グリーフケアを社会に生かすアドバイザー認定講座を提供している「一般社団法人 日本グリーフケア協会」

詳しくは

https://www.grief-care.org/

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