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シニアの金言

禍福は糾(あざな)える縄の如し

72歳男性

人生、長くなれば、人それぞれ
シニアを一括りでは捉えられない

 今年、大学を卒業して50年。もう半世紀が過ぎてしまった。周りの仲間を見回すと「まだ50年か」というより「もう50年か」と思っているものが多い。

 人生は先を考えると「長い」ものだが、振り返ると「あっという間」というのが多くの人の実感ではなかろうか。

 人生50年の間には多くのことが起こる。いいこともあれば、悪いこともある。ささいなことで、その後に何もないこともあれば、人生のその後を左右するようなこともある。

 私の大学時代の仲間、同期は親疎ふくめて100人弱。それぞれの人生、100人いれば100通りある。家業を継いで、若い頃から酒色に淫して、結局家業を廃れさせてしまったものもいれば、陶芸を志して長く弟子として下積みを過ごし、今は有名作家として世の評価を受けるものもいる。大企業に就職してそのまま、順調に出世して、上場企業の社長もいれば、早々に脱サラして高級外車を乗り回していたのが、今は困苦にあえぐものもいる。

 結婚して子どもや孫に恵まれ、その成長が何よりに楽しみ、というものもいれば、キャリアウーマンとしてバリバリ仕事をこなし、結局、結婚せずに今はのんびりと海外旅行三昧というものもいる。幸せな夫婦生活もあれば、夫や妻に背かれることもある。自慢の孝行息子もいれば、何十年と引き込もっている息子に悩みが深いものもいる。

 人生は時間がたつにつれて、それぞれどんどんいびつな円形を描いて広がってゆく。不幸にして広がることさえかなわずに人生を終えるものもいる。いいことは悪いことの裏返し、また、その逆もある。

 今の仲間でいえば、拡がりの根っこが、同じ時期に同じ大学で学んだといこと、その1点である。

 わが身を振り返れば、残念ながら金運には恵まれなかったが、健康と家庭、そして仕事に恵まれた分、嘉とすべきか…。

シニアの金言を読み解く

 人生を左右するファクターはあまりに多い。人生をたとえて「禍福(かふく)は糾(あざな)える縄(なわ)の如(ごと)し」といわれる。大学生のころには違いはあっても、後から見れば誤差のようなものである。ただ、その誤差が50年の有為転変を経て、とほうもない差、というより距離になってしまう。シニアのペルソナは若い世代より、ずっと多彩で複雑である。だからシニアを一括りにはできない。

 一つの例として「貯蓄額」の「平均値」と「中央値」で比較してみよう(この場合、単身世帯は除く)。

 最新の調査(1)によると、貯蓄額の「平均値」は30代では591万円である。「みんなそんなにあるのか」と感じる同世代が多い。その理由は、平均値は少数の高額貯蓄保有世帯によって大きく引き上げられることがあるため、平均値だけでみると、多くの世帯が実感とかけ離れた印象を持ってしまうためでる。そこで平均値と違い極端な数字の影響を受けにくい「中央値」を見ると400万円となり、それなりに納得のゆく値となる。  「中央値」は、「データを小さい(または大きい)順に並べ、真ん中に来る値」のこと。30歳代でその差は191万円。それが60歳代になると平均額は1,745万円、中央値は875万円、その差884万円に開く(グラフ1)。

       平均値     中央値     差額
20歳代   292万円    135万円   157万円
30歳代   591万円    400万円   191万円
40歳代   1,012万円   520万円   492万円
50歳代   1,684万円   800万円   884万円
60歳代   1,745万円   875万円   870万円
70歳以上  1,786万円   1,000万円  786万円

(1)令和2(2020)年「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]調査結果」
金融広報中央委員会「知るぽると」

では次に60歳代ではどのくらいの差があるのかをみてみよう。以下は同じ調査から、貯蓄額の分布を示したものである。

100万円未満          4.3 %
100~200万円未満       4.9%
200~300万円未満       4.9 %
300~400万円未満       4.0 %
400~500万円未満       4.9 %
500~700万円未満       6.5 %
700~1,000万円未満       9.2 %
1000~1,500万円未満      9.2 %
1500~2,000万円未満      7.7 %
2000~3,000万円未満      16.3 %
3000万円以上         24.0 %
無回答             4.0%

 60歳代の貯蓄額の平均値は1,745万円、中央値は875万円。老後に準備しておきたいといわれる2,000万円にはとても届かない。しかし、上記のように2,000万円以上の貯蓄がある世帯は約4割(40.3%)に上る。いっぽう、かなり不安な1,000万円以下の世帯も約4割(38.7%)ある。「シニアはリッチ」という言葉、ある意味で真実で、ある意味で真実ではない。

一例として貯蓄額で見たが、これとは別に「健康」という面でみるとまた違った結果になる。シニアの問うのはそれらの無限の組み合わせである。シニアを正しく捕えようとすると、こうした知見に基づいたきめ細かなペルソナ設定が欠かせない。

 当室では、そうしたシニアのペルソナ設定をシニアの豊富な知見を持つ当室のチューターと一緒に行うワークショップを行っている。興味のある方はお問い合わせ願いたい。

(以下のリンクは外部サイト、金融広報中央委員会「知るぽると」に遷移します)

詳しくは

https://nspc.jp/senior/archives/archivesdata-money/12746/

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