シニアの金言
初ボーナスで見た映画は「E.T.」
61歳男性
新しいシニアが登場してきた
私はとくに映画マニアではないけれど、若い頃、話題になった映画はよく映画館に見に行った。最近完結した「スターウォーズ」ほ第1作を見たのは、1978年。大学に入った年だからよく覚えている。同じ下宿の友人とロードショーで見た。京都にあったその映画館はもうなくなった、SF好きの友人は見た後、大興奮で京都の盛り場から下宿に歩いて帰るまで、話が止まらなかったのを、映画の中身よりよく覚えている。
スターウォーズはその後、テレビで放送され、多くの続編が作られたので、そんなに昔の話のようには感じないが、もう40年以上も前の話になる。息子たちは映画というと映画館で見るより、テレビやネットで見るものだと思っている。若い世代から、そろそろ爺さん扱いされて「スターウォーズの第1作を大学生のときに見た」というと意外な顔をされる。
スターウォーズと一緒に話題にされることが多い、スタンリーキューブリック監督の「2001年宇宙の旅」が日本で公開されたのが1968年の4月。大阪万博の2年前のこと。その時私はまだ8歳だった。当然、私はロードショーを見ていないが、スターウォーズを見た年に映画館で見た。「なにか凄い」ということは感じたが、意味がよくわからなかった。ただ「HAL」という、人の唇を読むコンピュータが不気味だった印象は今も残っている。SF好きの友人は「世紀の傑作」といって何度も見ていた。
SF映画マニアではなかったので他の映画も見ていたが、インベーダーゲームが登場してそれに熱中していた。それからあまり映画館に足を運んでいない。1982年に大学を卒業して、無事、就職。4月に出た初月給は安かったが、コーヒー好きの母親にマグカップをプレゼントし、映画も見と思うが何を見たかは覚えていない。そして、12月に初ボーナス(「賞与」ではなく「寸志」と書かれていたが)でその頃話題になっていた「E.T.」の前売り券を買って会社の同期何人かと見に行った。
素直に面白かったし、最後はジーンと来るものがあった。それからもビデオ(それから7,8年してレンタルビデオができた)になったものやテレビでの再放送が何度もされたので、そんなに昔の話ではないかがする。しかし、公開されたとき、主人公のエリオット少年は10歳だったから、来年には50歳になる。そして私は去年60歳で定年を迎えた。ひとは、あっという間に年をとるものだ。
シニアの金言を読み解く
世代論に賛否はあるが、「スターウォーズ」を大学生で、「E.T.」を新入社員の時に見た世代が定年を迎えることを考えると、「シニア」という概念がこれまでと違ったように見えてくる。
昨年60歳の定年を迎えたシニアは、日本のインターネット元年の1995年当時、働き盛りの35歳。大学を出て就職したのが1982年、NECのパーソナルコンピュータ98シリーズが登場した年である。
これからシニアになる「プレシニア」を見るとHANAKO世代(1959~1967年生まれ。市場規模は約950万人)、団塊ジュニア(1971~1974年生まれ。市場規模は約814万人)と最後の大きなマーケットととなる。
彼ら、彼女らはIT革命の名のもと、公私ともどもデジタル化と歩みをともにしてきた最初の世代である。その彼ら、彼女らがシニア世代に入ってきた。そこで、われわれはそうしたデジタルを使いこなすシニアを「デジタルシニア」と定義することを提言してきた。
「デジタルシニア」の登場で、シニアマーケティングの手法も大きく変わる。しかし、忘れてはならないのはデジタルシニアといえども、目や耳は遠くなり、記憶力も衰えるということである。そうしたシニアの避けることができない肉体的な衰えや精神の特徴をしっかりと見据えながら、新しい「デジタルファースト」のマーケティングを提案してゆきたい。
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