シニアの金言
死ぬまで勉強
70歳女性
死ぬまで勉強
60歳で高校の教員を退職、その後も延長を求められ、68歳まで嘱託で支援教員として仕事を続けた。ようやく、区切りをつけて去年、出身校の大学院に挑戦。なんとか合格した。聴講生、研究生という選択もあったが、しっかりと学びたいということと若い人たちと一緒に勉強、研究をしたかったから。
不安はもちろんあった。大学院といっても、学部を出てから40年以上、学生時代に学んだことはほとんど覚えていない。周りについて行けるのか?若い人たちに混じって一緒にやってゆけるのか?外国語は大丈夫?やりたいことが研究テーマとして認めてもらえる?
学校が始まって、不安は半分杞憂、半分的中。若い人と一緒に学ぶことはとても新鮮で楽しい。今の若い人は優しい。いろんなことで戸惑っている私にいろいろと助け舟を出してくれる。「借り」ばかりで「返す」ことができていないのは心苦しいが、年の功が役立つときもあるかもしれない。
学業は不安が的中。次のゼミの準備でアップアップ。昔なら簡単に覚えたり、理解できただろうことがなかなかできない。その上、周りの学生の倍近くのことを学ぶ必要がある。
ただ、しんどいが苦痛ではない。自分がやりたいことで、何か新しいことを知る、学ぶことは楽しい。だからなんとか頑張れている。
発表資料をパワーポイントやエクセルでまとめるのも苦労する。先生やグループの仲間との連絡はほとんどLINE。スマホが使えなくては話にならない。若い人に教えてもらいながらやっている。代わりに学食のコーヒーぐらいはみんなにごちそうする。私のほうがちょっとお金持ちだから。
学位は「目標」だが「目的」ではない。学んだことが形になるのが嬉しいのでなんとか修了したいと思うけれど、最後はどうなるか…。でも、毎日が楽しいし、学んでいると、次に学ぶべきことが見えてくる。昔から勉強を始めるに遅きはないと言うけれど、その通りだと思う。人間、死ぬまで勉強よ。
シニアの金言を読み解く
5年前にも当サイトのコンテンツとして「シニアの『学び』好き ―『学び』の意欲をマーケティングに取り込む」をアップしたが、シニアの学び志向はますます勢いを増している。
放送大学受講者の年代構成を見ると2011年に比べ2019年には50歳代が17%→21%、60歳代以上が21%→27%と増加している。通信教育においても大学、大学院課程の受講者のうち60歳以上が大学で15.6%、大学院で15.1%を占めている。50歳以上で見ると、大学で31.1%、大学院では39.2%とほぼ4割になる。(文部科学省「学校基本調査報告書」平成29年度による。正規の課程のみ)
最近では「人生100時代」という文脈のなかで、しばしば生涯学習がテーマとして取り上げられることが多い。政府も昨年12月の「人生100年時代構想会議 中間報告」で「リカレント教育」を取り上げている。こちらは労働者が何歳になっても必要な能力・スキルを身につけることができる機会の提供が主になっている。
定年70歳時代が来るといわれるなかで、プレシニアの学び直しも大きな課題だ。長く働くためには自らのスキルをアップグレードしたり、リニューアルする必要がある。場合によっては全く新しい革新的なスキルが求められる。長い人生を実り豊かなものにするためには、仕事であれ、趣味であれ、一生学びが欠かせない。
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