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シニアの金言

何か楽しいことはないかなと、

83歳女性

探しながら、笑って、毎日を過ごしています。

 要支援1から要支援2になった。介護保険で手伝ってもらえることが増え、お風呂掃除をしてもらうようになった。
 来てくださる方は、孫と同じくらいの今風なお嬢さん。お掃除したことあるのかな?と思わせる容貌だけれど、頑張ってきれいにしてくださる。なんだか、いとおしい気持ちになる。
 夫が亡くなって半年あまり。やるべきことはだいたい終わって、今は自分ひとりの生活をなんとか回している。買い物は四苦八苦しながらネットで調達し、デイサービスのリハビリは週2回。字も書きづらくなってきたので、手紙をだしたいときは理由と失礼を詫びながらパソコンで書く。
 多くの人に助けてもらって、やっと生きている。みなさんに手を合わせている。
 いつも、何か楽しいことはないかなと探している。
 スマホは私の好みを知って、猫の動画をどんどん見せてくれる。かわいい様子に、思わず頬がゆるむ。時折、姪から届く下手なような上手いような絵手紙に、顔がほころぶ。
 おかげで毎日、笑って過ごしている。

シニアの金言を読み解く

 高齢者人口の増加に伴い、自宅で生活している80歳以上の高齢者も増加している。夫婦のみ世帯の人口は、80-84歳:1,750,451人、85-89歳:789,836人、90-94歳:183,966人、95-99歳:17,746人。金言のつぶやき者のように、単独世帯は、80-84歳:1,157,972人、85-89歳:874,751人、90-94歳:377,526人、95-99歳:82,044人。
 合計すると5,235,292人の80代・90代が夫婦あるいは単独で、地域・自宅で暮している。(令和2年国勢調査 人口等基本集計より)
 高齢者の自立した具合をみる目安として介護保険認定率を見てみると、80代前半は25%くらいだが、80代後半は47%、90歳以上となると73%の方が認定を受けている。(2023年1月1日 現 在 (確定値)(令和5年)総人口 令和5年1月分(第1号被保険者数、認定者数等)より算出)
 できることや外出できる先が限られてきている中、現状を少しでも長く維持したいと努力を重ね、できることで日常をまわしている人が確実に増えている。
 ネット通販を70代から利用してきていて、オンラインでの買い物自体には躊躇はない人が、80代では見え方が変化していたり、Webサイトの改訂から新しいページをすぐに理解できなかったりすることで、四苦八苦されることは少なくない。
 高齢期も自宅でつつがなく暮らせるための方策としてデジタルとアナログのコンバインが推奨されてきているが、そのデジタルの仕組みやインターフェースは本当にシニア~特にネットに頼らざるを得ない年齢層にも使えるつくりになっているだろうか?
 80代ともなると介護保険認定のような心身に関することだけでなく、大切な人との別れやそれまで担ってきた役割を失うなど、多くの喪失を体験する。そんな経験を重ねてくる中で、気持ちの帳尻をあわせて、高齢者は「今日を生きる姿勢」を保っている。
 金言の最後に伺った、「毎日、何か楽しいことはないかなと探しながら、笑って過ごしている」は、切実な事実。生活の不自由が多くなってきたとき、何か楽しいこと、新しいことと出会い、「楽しい」気持ちが生まれる提案を開発したい。

下記リンク先は、80代以上の自宅生活の様子を紹介している記事

詳しくは

https://nspc.jp/senior/archives/18125/

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