シニアの金言
高い補聴器も結局、使わなかった
84歳男性
と、叔母が言っていた。
最近、本当に、聞こえが悪くなってきた。周りから補聴器を薦められるけど、叔母がいつも言っていた話を思い出してどうしても手が伸びない。
「50万円も払ったのに、頭がイタクなるだけで結局使わなかったわ!」
その話を大学のクラブのOBOG会で話したら、40歳近く若い女性から、「最近の補聴器は、センパイの叔母さまの時代の製品とは違うと思いますよ。昔は補聴器もアナログでしたけど、最近はデジタルだからもっと細かく調節できるようになっているし、スマホを使って手元である程度調整もできるようになっていると聞きます。商品によるとは思いますけれど…」。
初耳だ!同席していた10歳年下の方も初めて知ったようで、詳しく質問していた。一方で、「われわれはスマホで調節できますよ、というのがハードル高いんだよ」と若干、否定しがちな人もいる。
確かに「スマホを使えば手元で調節できる」と言われても、スマホを使える自信がまったくない。でも補聴器がそんなに変化していたなんて、まったく知らなかった…。どれくらい私の耳に合わせられるのだろう。聞こえる聞こえないは、結構ストレスの元になっている。
こんな大事な話までも、“耳に入っていなかった”ことにも、少しショックだった。
(画像は生成AIで作成)
シニアの金言を読み解く
補聴器がアナログ製品であった頃は、調整のために使用者は何度も店舗に通わなければならなかった。その上、細かい調節が難しく、また不要な音も拾って大きくなり、「つけていると煩わしい」などの不自由さもあったという。大枚をはたいても快適で聞きやすい状態をなかなか手に入れられず、使わなくなってしまう。そういう方が少なくなかった。
その流れもあってだろうか。JapanTrak 2022 調査報告(https://hochouki.com/files/2023_JAPAN_Trak_2022_report.pdf)によると、補聴器を使用している人は限られている。
75歳以上の難聴者率(難聴またはおそらく難聴だと思っている人の割合)は、34.4%。年齢を問わず日本人の難聴者率(自己申告)は、10%。しかしそのうち補聴器を所有している人は、15.2%という。
しかし今や補聴器もデジタル化され、小型化に成功。スマートフォンとBluetoothで接続し、通信で専門家による補聴器の調整も行える。スマホ連携はもう10年ほど前から始まっている。
そして今はAIによる音声処理技術を搭載。周囲の音環境の変化を検知し、自動車の走行中の風切り音やドアを閉じる音など突発的で不快な音を抑えたり、ハウリングを抑制したりといった音声処理をリアルタイムに実行。クリアに聞き取れるという。
また補聴器の使用には見た目に対する敬遠もあっただろうが、最近は補聴器もデコチップを使うなどして、おしゃれに「魅せる補聴器」の提案も行われている。
補聴器は中身も見た目も大きく変わった。
しかしこうした現代の補聴器について、高齢者には情報がほぼ届いていないと思われる。
補聴器に関する情報はインターネット、メガネ店、補聴器販売店、かかりつけ医師や耳鼻咽喉科が多い。(同じくJapanTrak 2022 調査報告による)
聴力の衰えにより発生しがちな課題、とりわけ多くの人が遠ざけたいという認知症やうつ病との関連性も含めて、もっと多くの市民、とりわけ高齢者層に前もって情報が届く必要性を感じる。
下記リンク先は、一般社団法人日本補聴器工業会と、公益財団法人テクノエイド協会による日本における難聴者率や補聴器装用率等の実態に関する調査「JapanTrak 2022 調査報告」
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