シニア市場に特化した
調査・分析・企画・
コピーライティング・デザイン

株式会社日本SPセンターが運営する
シニアマーケティングに関する専門サイトです。

シニアの金言

「老老介護」は、幾重にも

76歳男性

100歳以上の高齢者は、55年連続で増加

 私の母が100歳の誕生日を迎えた。施設に入所しているものの、今のところ大きな病気の兆候はない。ありがたいことだ。でも「100」という数字、改めて聞くと驚いてしまう。人生100年時代、と言われて久しいが、「100歳」の話は、周りからも少し耳に入ってくる。妻の母、義母ももうすぐ100歳だ。しかもまだ自宅で暮らせている。定期的に通院はしているものの、桃寿は迎えられそうな気がする。

 100歳の双子の姉妹がメディアに取り上げられ、話題となっていたのは、もう35年も前のことになるか。その頃はまだ、100歳は遠くの“健康老人”の手本。「長寿の秘訣は何ですか?」と、よく質問されていたのをテレビで見ていた(答えは、「これをすれば」なんてピンポイントで参考にできそうなことはなく、「よく笑い、よく話し、何でもよく食べ、くよくよしない」と、至極まっとうなものであった気がする)。その頃に比べ、100歳以上の高齢者は格段に増えていると実感する。

 一方、私の息子はもうすぐ50歳になる。本人は「最近は50歳でも、“プレシニア”と呼ばれているらしい。俺ももう、シニアの仲間に入ってしまったよ」となげいていた。私も笑いながら聞いていたものの、ふとよぎるのが“老老介護”という言葉。いや、うちには100歳になる母がいる。私もいつまで健康でいられるかわからない。そして息子もシニアの仲間入りだ。よく考えると、“老老介護”だけでなく、息子にも負担をかけるかもしれない。しかも・・・義母も妻も健在、“老老介護”は、息子にとってはダブルにのしかかってくる。

 私の息子は、ようやく子育てにひと区切りついたところ。一息ついているだろうが、「(親+祖母)×2」介護問題までは、頭が回っていないだろう。いや、気づいているかもしれないが、考えるのを後回しにしているだけかもしれない。今後息子に頼る気はないのだが、やはりいざという時、頼りに・・・。いや、私も考えるのをやめておこう。
(画像は本文の文脈を元に、生成AIで作成)

シニアの金言を読み解く

 厚生労働省のまとめによると、2025年における100歳以上の人口は、過去最多の99,763人、何と55年連続で過去最多を更新した(厚生労働省 住民基本台帳に基づく百歳以上の高齢者の総数「令和7年百歳以上高齢者等について」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63425.html)。100歳の双子の姉妹が話題になった1991年では3,625人で、この35年で、約28倍にもなっている。当然、今後も増加の一途をたどることは間違いないだろう。

 一方、高齢者の介護を高齢の家族が担う「老老介護」の世帯割合も増加傾向。介護を受ける側・介護をする側もともに65歳以上の割合は、2022年時点で63.5%。こちらも過去最高を更新している。さらに75歳以上同士の割合も、35.7%にものぼっている。高齢者人口がピークを迎える、といわれる2040年に向け、「老老介護」の割合はさらに増えていくとみられている。
 
 介護される側が100歳を超える時代。さらに介護する側も高齢化、さらにその子どもも高齢になっていく。介護する側の(精神的な面も含めて)健康不安も増えていく。介護する側が「介護は全て家族が担うべきだ」と抱え込まず、自治体や社会福祉協議会などの支援事業を活用するなど、周囲の助け、外部サービスを活用することが、ますます重要になっていく。

下記リンク先は厚生労働省 「2022年 国民生活基礎調査」介護の状況

詳しくは

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/index.html

アーカイブ