シニアの金言
こんなに長生きするなら…
88歳女性
お隣と一緒に、うちの家も手入れしておけば…

10年前、主人が亡くなってしばらくした頃、お隣がリフォーム工事をした。話を聞くと、わが住まいもやる方いいような気がした。建てたのも同じ頃だし、予算も聞いた感じだとできない金額ではない。と、思った。思ったけれど。
もう一人だし、あと何年生きるかわからないし、子供たちは自分の家を建てているし…わざわざリフォームしなくてもいいか。
と、思っていたら、思いのほか長生きしている。
でも階段は怖いから2階には洗濯物を干しに行くていど、くらしは台所とリビングが中心。おかげでリビングに置くものが増えたけど、棚をつくっていないし新しい家具も入れられないのでうまく整理できない。今時の家と違って断熱性もなく、すきま風も入り込み、冬は家の中が寒い。いつもいる1階は、部屋を暖めても暖気は2階に逃げていくし、日当たりも悪いし、本当に寒い。
聞くと家のつくり自体をどうこうしなくても、断熱や遮熱の効果がある塗料を塗るだけで随分違うという。見た目をきれいにしておけば、余計なリフォームの売り込みも減るかもしれない。
こんなことなら、あのときウチも、外壁だけでも手入れしておけばよかった。
シニアの金言を読み解く
現在の住宅に何も問題を感じていない高齢者は、持ち家者で3割、賃貸者で2割。つまり多くの人が広さ、部屋数、設備、いたみ具合など何らかの課題を感じている(令和5年度高齢社会対策総合調査(高齢者の住宅と生活環境に関する調査))。しかし現在の家を「改修して住みやすくしたい」人は15.7%。一方で「改修しないで住み続けたい」人は44.5%(いずれも令和6年版 高齢社会白書より)。現在の住まいに住み続けたい人は多いが、改修を考えている人は多くない。
平成30年の住宅生活総合調査(国土交通省)によると、リフォーム意向が高い年代は55-59歳が最大で、60-64歳が続く。たしかに、この女性のように後期高齢者のリフォーム意向率は他の年齢と比べると少ない。しかし、「現在の住宅に何も問題を感じていない」と答える人は、75-79歳で29%、80-84歳で31%(令和5年度高齢社会対策総合調査(高齢者の住宅と生活環境に関する調査)。7割前後はなんらか、今の住まいに問題を感じている。
「これを今何とかしないと生活に困る!」という状況なら、確実にリフォームするだろう。この場合は「修繕」あるいは「交換」という類のリフォームかもしれない。しかしそうでない場合、「リフォームするかしないか」考えるとき、リフォームしたあと住まいをどれだけ活用するかを想像する。そしてこの女性のようにいろいろと考えて、もう、今しなくてもいいかな、という判断に至ることは少なくないだろう。
この思考プロセスには私たちの脳の特性があるのではないだろうか。
一般的に「脳は損がきらい」、と言われている。しかも得より損を重視する。
リフォームでいうと「費用をかけても元がとれないとイヤ」。「何年か使わないと損した気がする」。そういう思考が「今しなくてもいいかな」という判断に結び付く。「得:今リフォームを決断して、数か月先から得られる快適な日常(その快適が何年間なのかはわからない)」が、負けてしまう。
では、どうすればよいか?先々のメリットを提案するだけでなく、今すぐ得られる報酬を設計するなど今、行動を促す仕組みををつくっていくことが重要になる。企業によっては未来のメリットを明示するだけなく、「今すぐ」得られる報酬を準備している。私たちの行動特性を理解した商品や提案方法の開発が望まれる。
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