シニアの金言
便利を、諦めないといけない
78歳女性
スマホは覚えることが多すぎて、ついていけない
15年前から利用しているジムが、スマホで予約する仕組みになって早3年。コロナでスタジオに入る人数を制限するために始まったのだけれど、ジムの運営に便利らしく、しっかり定着してしまった。
でも人気のスタジオクラスはすぐに埋まってしまう。私も懸命にスマホの画面をタップするけれど、全然予約を取ることができない。みんなどんな素早い操作をしているのだろう?と思って聞いたら、スマホのアラーム機能で、予約が始まる時間を忘れないようにしているという。予約可能になった瞬間に申し込んで、やっと確保できるのだとか。
「〇〇先生のクラスなんて、秒差よ!秒差!」
私が真似するなら目覚まし時計をかけることになるけれど、その時間に家にいるとは限らない。参加したいクラスはいろいろあるから、曜日も時間帯もばらばら。ひとつの目覚まし時計じゃ対応しきれない。
だからみんなはスマホのアラーム機能を使っているのだという。スケジュール機能を使えば毎週、同じ曜日、同じ時間にお知らせがスマホにくるという。やり方を教えてもらったけれど、ダメ、無理。プログラムが変わるたびに予定を入れなおさないといけないけれど、絶対ひとりでできそうにない。
スマホでクラスの予約を取れるようになるだけでも必死だったのに、覚えることが多すぎて、全然ついていけない。結局、比較的とりやすいクラスに絞って、予約をとるようにしている。一番出たいクラスではないけれど、仕方ない。
確かに私もスマホを持って少しばかり使っているけれど、できることは少ないし、そもそもよく分からないで使っている。なのに、世の中いろいろなサービスがスマホに移行してホントにツライ。この間入ったレストランは、席から自分のスマホで注文する仕組み。店員さんが聞いてくれるというので頼めたけれど、選択肢がない場面ではどうすればよいのか。そういう場合は利用しないようにする?
「スマホ移行」についていけないと、なんだかいろいろ諦めないといけない感じ…
シニアの金言を読み解く
身の回りで、街中で、電車で、確かにシニアのスマホ利用者が増えていると実感する。
令和5年版、総務省「通信利用動向調査」によるとスマホ保有率は、65-69歳で83.6%、70-74歳で71%、75-79歳でも55.8%。確かに多くの年齢の方にスマホ経由の情報発信は届きやすくなっている。しかしデジタルの良さ、どんどん新しいことを可能にするスピードは、高齢者をサービスの利用者から阻害する可能性も秘めている。
同じ「通信利用動向調査」では「過去1年間にインターネットで利用した機器・サービスと目的・用途」という質問もあった。
「電子メールの送受信」から「商品・サービスの購入・取引」、「オンライン診療の利用」など幅広い項目に対して利用した、と答えたパーセントを合算すると、年齢が若いほどより多くの人がより多くのことを利用し、年齢が高い人ほど限られた用途にしか利用していない様子がわかる。(30-39歳では894.5%、65-69歳では457.2%と、約半分)
経験値が低いと新しいサービスへの理解は難しく、利用の壁が高くなる。
つくって渡せば使えるわけではない。
高齢社会の課題解決にデジタルが大きな可能性を広げているのは事実だが、高齢者自身がデジタルを使って何かを行わなければならない場合、目的を諦めることも発生している。
詳しくは
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