シニアの金言
私の方が早く逝きそう
70歳女性
人生100年時代、介護の担い手は?
義母は今年98歳。かなりぼけてきているが、身体は元気そのもの。医者が言うには「神の内臓」をお持ちだそうである。毎朝、「私のお金がない」で始まり、朝食には食べられないのに「肉が欲しい」という。長い間我慢してきたが、もう限界。夫に「施設に入ってもらうか、あなたが世話をするか、どちらかにして」と宣言して、今は夫が母親の身の回りの世話をしている。
同窓会でも同じような話を聞く。罰当たりを承知で、みんな「親が死なない」「私の方が早く逝きそう」とぼやいている。年末に来る欠礼はがきには母、享年102歳、丈母、享年98歳…みんな本当に長生き。「老々介護」どころか「超老々介護」になっている。私も今年、もう70歳。介護をされても不思議ではない年齢。世界を見れば、なんの罪もない子どもたちが戦争や飢餓の犠牲になっていることを思えば、穏やかに長生きできる今の日本は幸せに違いないけれど…。
昔は今のようにはいかなかった。幸い介護保険制度をはじめ、さまざまな改革で「年寄りの世話は嫁の仕事」ではなくなりつつある。私も息子の嫁にお世話されるつもりはない。介護が必要になれば、さっさと施設に入って職員さん(ロボットになっているかも)のお世話になる。そして周りから「早く死んで欲しい」と思われる前に寿命が尽きて欲しいと思う。ただ、そのときになったら、「もっと生きていたい」と思うのかしら。
シニアの金言を読み解く
令和4年の厚生労働省による簡易生命表によれば、平均寿命ではなく、死亡者数のピークは男性が88歳、次いで89歳、87歳、女性は93歳、次いで92歳、94歳となっている。女性は93歳の平均余命が4.14歳。つまり93歳になれば平均的には後4年以上生きることになる。ちなみに令和4年の平均寿命(0歳の平均余命のこと)は男性が81.05歳、女性が 87.09歳である。
厚生労働省が今年の敬老の日に発表した100歳以上の高齢者の数は、92,139人(前年比+1,613人)。老人福祉法が制定された昭和38年には全国で153人しかいなかったが、昭和56年に千人を超え、平成10年に1万人に達した。さらに平成24年に5万人を超え、昨年には9万人を超えている。また100歳以上の高齢者のうち、女性が約89%(81,589人)である。
親の年代が100歳になれば、子の年代も70歳を超えてくる。まさに「超老々介護」が現実のものになっている。そうなれば家族による介護はさらに難しくなる。これからますます逼迫する介護人材。親の長寿を誰もが喜べるようにロボットの活用や海外からの人材など、これまでとは違った介護のかたちが求められている。
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