シニアの金言
いつまで自分でトイレに行ける?
84歳女性
身体が弱っても自宅にいたい高齢者は、半数以上
多少の病気やケガ、骨折があっても、何とか元気に過ごせていたのに、去年、脊柱管狭窄症で入院、手術を受けた。退院後、自宅療養に入った最初の1か月、他県に住む娘が同居してくれた。心細かったから、もの凄くありがたかった。けれど自分のペースで生活できない。当然だ。今はまた一人暮らしに戻って、正直、ホッとしている。
背中に痛みが残っているし歩くのもおぼつかないので、介護保険の認定を受けてデイサービスに通い始めた。リハビリを受けて、少しでも歩きやすくなるためにがんばっている。ケアマネ―ジャーは話しやすいし信頼できる、リハビリのスタッフは優しくしっかり見守ってくれている。デイサービスの仲間もできた。やること、やりたいことはたくさんあるから、毎日、予定を考えて行動している。
けれどもまた入院、手術があったらどうなるだろう。今回のことで、改めて考える。
いつまで、自宅で自分のペースで暮らせるだろう。
今はお隣や近くの親せきに助けてもらって、ケアマネージャーの力を借りて、デイサービスに迎えに来てもらってリハビリして、自宅でひとりで暮らせているけれど…。また何かあったら、その度に子供にきてもらうのも、子供だって歳をとるし大変だ。ウチなんて20歳のときに生んだ子供だから、私が90歳まで生きたら、あの娘は70歳になっている。
義母の面倒をみたときを思い出すと、もう絶対、無理!最後は施設に入るしかないと思うけれど、どの時点で入るのか?妹とも話してみたけれど、トイレを一人でできなくなった時じゃないかな。それまでは多少、人の力を借りてでも、ここで暮らしたい。
シニアの金言を読み解く
今の高齢者は、元気な人が多い。しかし加齢にしたがい誰しも、衰える。白内障になったり、胃腸の消化吸収力が衰えたり、血圧が高めになったり、生理学的な老化はどうにも止められない。多少は変化を遠ざけたり対応できたりしても、誰かの助けを必要とする時期は訪れる。高齢者自身が、そうした時期についてどう考えているか。
高齢期、体が虚弱化したときに住みたい住宅は、「現在の住居に改修などせずそのまま住み続けたい」(28.7%)、「現在の住宅を改修し住みやすくする」(27.4%)をあわせると、56.1%が現在の住宅に住み続けたいとしている。(内閣府による高齢社会対策に関する調査、「平成30年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査結果(全体版)」https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/h30/zentai/pdf/s2.pdf)
完治が見込めない病気になった場合に最期を迎える場所の希望は、「自宅」が 51.0%で最も多く、次いで「病院・介護療養型医療施設」(31.4%)。「特別養護老人ホーム・有料老人ホームなどの福祉施設」が 7.5%、「サービス付き高齢者向け住宅」が 3.0%の順である。「わからない」は 5.6%。(平成30年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査結果(全体版)https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/h30/zentai/pdf/s2.pdf)
一方、「将来、排せつ等の介護が必要な状態になった時、誰に介護を頼みたいか」というと、「ヘルパーなど介護サービスの人」が46.8%で最多。「配偶者」30.6%、「子」12.9%、「子の配偶者」1.0%(令和4年 高齢者の健康に関する調査結果(全体版)https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/r04/zentai/pdf_index.html)。
高齢者の半数は、高齢期、最期まで自宅で暮らしたい。そして排泄介助などにはプロの手を借りたい。できる限り自宅にて医療・介護を利用したいという声により、在宅医療や介護のニーズはますます高まる。既に、令和元年の訪問看護利用者数は平成13年比で、介護保険は2.9倍、医療保険は5.9倍。(第2回在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ 令和4年3月9日 在宅医療の現状について)
今後は看護サービスに限らず、これまで病院や介護施設で必要とされていた財・サービスが自宅で必要とされる場合が増えていくだろう。
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