シニアの金言
夫の家の墓に入りたくない
82歳女性
死んだら家族関係をリセット、したい人も多い
※写真はイメージです。本文とは無関係です(合掌)
先週、夫の実家の法事に行ってきた。その折に近くの寺にある、墓にもお参りした。実家は今住んでいるところから遠いので、夫の親戚とのつきあいはほとんどない。夫に言われてしぶしぶ行っているというのが正直なところ。
この歳になると、同窓会などでも「お墓」が話題になる。年金、介護ときて、持病とお墓の話で盛り上がる。女性たちの多くは、夫の実家の墓に入ることを望んでいない。むしろ拒絶に近い。
「姑がいる墓になんか入りたくない」「知らない爺さんばっかりで親しみもない」「夫がやっと先に逝ってくれたのに、また一緒になるのはごめん被りたい」…それより、ともに青春時代を過ごした仲間と一緒にお墓に入れたらいいのに、という。
私もそうしたい。夫に恨みはないけれど、未練もない。死んだあとまでお付き合いはしたくない。「生まれ変わっても一緒に」というご夫婦もおられるが、当方はそうではない。夫はどう思っているか知らないけれど。
最近は樹下葬とかも人気だそう。一代でなくなるのがいい。子どもたちに墓の面倒を見させたくない。かといって墓なし、とまでは割り切れない。夫がなくなったら、実家の墓に入るか、樹下葬にしてもらうか、子どもたちに頼んでおかなくては…
シニアの金言を読み解く
団塊の世代が地方から都会に出て、家族を持ち、核家族化がすすんだ。その団塊の世代も25年には全て、後期高齢者に。それ以降の世代はますます地方の実家とは縁遠くなっている。信仰の形も変化し「お墓」への思いも大きく変わってきた。石材(墓石)市場もそれを物語る。お墓を立てる人、お金をかける人が減り、2000年に約4500億円だった石材業界の市場は、2015年に約2500億円と半分近くに縮小したという。
葬祭(フューネラル)ビジネス市場を見ても、年間150万人以上が亡くなる多死社会を迎えているにもかかわらず(2022年、初めて150万人を超えた)、市場は縮小している。
矢野経済研究所の調査によると、2020年の葬祭(フューネラル)ビジネス市場はコロナ禍で前年比83.1%の1兆5,060億円、年間の死亡者が160万と予想されている2030年(1)でも2021年比で同104.8%の1兆6,959億円の予測となっている。
(1) 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」による。
シニアになると「死んだあと」のことが気になる。「お墓」もその一つ。死んだ後のことに死んだ本人は手出し、口出しはできないからかもしれない。しかし、そのことに心を寄せないとシニアの気持ちを理解することは難しい。
我が国には宗教系の大学が多い。たとえば、卒業生の墓は難しいにしても、メモリアルモニュメントなどで、亡き友をしのぶ施設や仕組みがあると、先の女性たちの気持ちの受け皿になるのではないだろうか?そのことについてはいろいろとアイデアを持っているので、ぜひ、ご相談を。
以下のリンク先は内閣府「令和4年版高齢社会白書」より令和3年度高齢化の状況
詳しくは
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