シニアの金言
友人が卒婚した
70歳男性
シニアの新しい夫婦関係
古希を目前に、友人が続けて「卒婚」した。
「卒婚」とは2004年に教育ジャーナリストである杉山由美子氏が、その著書『卒婚のススメ』で使用した造語といわれている。
それまで一緒に暮らしてきた夫婦が、互いに必要以上に干渉することなく、自由を認め合って、お互いで決めたルールを守り、ゆるやかなパートナーシップを築いていくというというもの。
同じ卒婚でも、夫婦によって千差万別であろうことは想像に難くない。
友人の一人は、自分は田舎で、古民家を改装した家に住み、農業(かなり本格的に)や趣味の釣りを楽しみたい。いっぽう、奥さんはまだ仕事を続けたいし、田舎に住みたいとは思わない。地方出身で田舎暮らしの退屈さはよくわかっている。そこで、友人のリタイアを機に、卒婚して別居を始めた。月一くらいでお互いに行き来しているとのこと。
もう一人の友人は、郊外の家から、仕事場の近くのマンションに独りで暮らし始めた。奥さんが体調を少し崩して、家事が負担になったので、少しでも負担を減らすために別居したという。これまで仕事場までの通勤が結構辛かったので、それがなくなることも、踏み切った理由の一つ。彼は毎週、週末には家に帰っているらしい。毎朝、通勤の代わりに散歩をし、自分で朝ご飯を作り、好きなコーヒーを楽しんでいる。もちろん仕事は現役である。
卒婚はメリットばかりではない。お互いの気持ちが冷えて、そのまま離婚に発展することもないとは言えない。別居となると、当然生活費も増える。自律的な気持ちがなければ生活が乱れることや健康にも注意が必要だろう。お互いの体力、健康に問題が出た時どうするのか…
とはいえ二人を見ていて正直、うらやましいと思う。したいことがあり、離婚と違い、子どもや孫たちに対しても、普通に接することができる。なにより、別居といっても相手を思いやる気持ちがある。ただ、幸せな卒婚をするには、「体力」「気力」そして大切なのが「財力」。残念ながら、私には最後のものが欠けている。
シニアの金言を読み解く
「熟年離婚」が増えている。「卒婚」のデータはないが、熟年になってから、具体的にいうと20年以上同居してから離婚した夫婦を「熟年離婚」とした。
厚生労働省 令和4年度「離婚に関する統計」によると、2020年に離婚した夫婦のうち、「熟年離婚」の割合は21・5%。統計のある1947年以降で過去最高となった。同統計を見ると、同居期間が20年以上の夫婦の離婚割合は増えつつあり、90年の13・9%と比べても約1・5倍に増えている。
離婚件数全体でみると、2020年は19万3253組。02年の28万9836組をピークに減少傾向にある。厚生労働省の計算では、およそ結婚した3組に1組が離婚していることになる(平均して一生の間に男は 0.79 回の結婚と 0.26 回の離婚をし、女は 0.84 回の結婚と 0.27 回の離婚をすることから、結婚に対する離婚の割合は男女とも 0.32 となる)
上記グラフは「離婚の同居期間別構成割合の年次推移 -昭和 25~令和2年- 」
いずれも 厚生労働省 令和4年度「離婚に関する統計」による
下記リンクは厚生労働省の該当ページへのもの(外部リンク)
詳しくは
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/rikon22/index.html
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