2022年6月6日
先般、ある業界誌から「シニアの自己解決」について取材をいただいた。今後、シニアにかかわる業界では「DX=デジタルトランスフォーメーション」を進めてゆくうえで、「シニアの自己解決」をどのようにとらえるかが重要になる。
シニアのDXについては以下の記事をご参照いただきたい。
「デジタルシニアは何歳からか?
-令和2年度通信利用動向調査(最新)結果から読み解く」
https://nspc.jp/senior/archives/12841/
「シニアの自己解決」の一例として
前期高齢者の私がキャリアの変更を伴う、スマホの乗り換えをした経験から「シニアの自己解決」の実態をご紹介したい。ただし、あくまで私の個人的体験であることをご理解願いたい。
今回はこれまで使っていた、O社の通信契約(オンライン専用)+SIMフリースマホ(H社製)から、R社の基本プラン+SIMフリースマホ(S社製)に乗り換えた。その理由は以下のようなもの。
・これまで使っていたスマホの電池切れが早くなってきた
・シニアの通例として、ゲームや動画視聴はほとんどしない(たまに「みてね」の孫の動画を見るくらい)=データ容量が余る
・音声通話もほとんど使わない(一般的には、年をとるに連れて連絡先が減ってゆく)
・カメラの性能をグレードアップしたい(デジカメを使わなくなったので)
次の機種、プランはどうして探す、決める?
ではどこに乗り換えるか?そこで、まず、カカクコムで最近、人気のあるスマホを検索。これまでアンドロイドを使ってきたので、アンドロイドの機種を調べた。ちなみに妻はずっとiPhoneを使っている。iPhoneなら、わからないことがあると、同じiPhoneを使っている娘に尋ねやすいからという理由である。私の周りにも同じ理由でiPhoneを使っているシニアも多い。とくに女性にその傾向が強いように思う。
価格コムで人気機種を調べると、S社製のスマホが比較的上位にあり、その理由としてカメラの評判よいとのことであった。そこからリンクたどってゆくと、その時期、キャリアのR社でその機種のポイントバックキャンペーンがあるのを発見。
・機種代金がほぼ半額になる(ポイント還元だが、よく利用する別のサービスで使える)
・基本プラン(R社はそれしかないが)で、動画や音声通話を使わなければ、毎月の料金が無料ですむという可能性がある
・プランがわかりやすい
・時々通る場所にリアルのショップがある
という理由で、キャリアはR社、プランは基本プラン、機種はキャンペーン適用の「S社製」に決定。ショップで確認してから乗り換えることにした。
シニアの場合、この機種決定のハードルが極めて高い。本当に多くある機種からどれを選んでよいかわからない。子どもや孫世代に聞く人が多い。販売店に相談するシニアも多いと想像されるが、本当にその人に合ったものを勧めているのか、店やキャリアの都合で勧めているのか疑問がある。
ただ、これからはシニアのデジタルリテラシーが上がってくるので、ネットで調べて、決めることが多くなる。その時に頼りになる情報源を用意しておく必要があるだろう。今回、私が調べた限りでは、やはり若い人をターゲットにしているため、動画性能やゲームといったシニアがあまり利用しない機能が評価のメインになっている。操作のしやすさや、基本的な機能の説明がないか、あっても後回しである。やはり、シニアが評価したシニアのための情報源が必要である。
店頭だが、リモートの説明を受ける
機種も通信プランも大体決まったので、正月休みに、ネットでショップが開いていることを確認してから出かけた。
店舗に着くと、まず、
1) 予約があるか
2) どのような用件か
3) 当日、契約までするのか
を尋ねられる。
「予約なし、機種やプランを確認したい、契約まではしない」と答えると、少しお待ちください、といわれ待っていると「画面越しの対応なら、待たずにできる」とのこと。「相手は人間ですか?」と確認。最近はアバターやAIロボットによる対応もあるからだ。
「担当のもの(人間)が対応します」ということで納得。20インチくらいの画面とヘッドセットのあるブースに案内された。すぐに画面越しに対話を開始。女性の担当者で、質問へ丁寧に答えてくれる。いろんな質問に対応してきたのであろう、こちらの質問に的確に答えてくれる。
最後に、「見積書をお出しします」というので、まだ、最終的に決めていないので、いらないというと、見積書の番号があれば次の契約がスムーズだという。まだMNPもないので、ということでいったん終了。プランや機種のことは大体、理解できた。リモートでの説明はわかりやすかった。
このリモートで説明は良いと思う。すべてそうだとは言わないが、リアル店舗の店員のレベルにかなりムラがあり、こちらの質問に答えられない場合がある。「わからない」といえばよいのに、変に質問をはぐらかすので、ますますいらだつことになる。最後には「ネットで調べてください」という。ネット調べてわからないから店に来ているのに…ということになる。
その点、リモートの相手をしてくれた担当者は、こちらの質問に的確に回答してくれた。これまで多くの質問に対応しているため、かなり細かい点も頭に入っているのであろう。画面越し、という点ではまったく問題なかった。ただ、1対1という点ではキャリアにとってあまり効率的ではないのかもしれない。
この頃、加齢により聴力が落ちているので、店員のとくに女性の高い声が聞き取りにくい。その点、ヘッドセットの方が集中して音が聞けるため、シニアには良いと思う(音質の調整も可能であろう)。
リモートでの相談を終えると、店員が見積番号を訪ねてきた。「まだ、決めていないので、もらっていない」といって店を出た。戻ってからスマホの機種について、リモートで受けた説明をS社のサイトでもう一度確認してから、乗り換えを決断した。
「会社(キャリア)・店の事情」と「客の事情」
次に今使っている電話番号を変えないためにMNPの予約番号が必要となる。やり方はキャリアや時期によって違ったりする。今回はO社のユーティリティアプリを使っていたので、そこから簡単に予約番号を手に入れることができた。慣れないシニアにとっては、このMNPの予約番号の入手が第一のハードルになりそう。
ただ、MNPの予約番号が乗り換えには必須なので、店舗でキャリアごとに入手方法を親切に教えてくれるようだ。電話でも入手できるのはシニアにとってはありがたい。私はユーティリティアプリを時々使っていたので、MNPの予約番号を容易に入手できたが、一般のシニアにはわかりにくいかも。やはり、店舗で番号の取り方を教えるのが確実だろう。
予約番号が入手できたので、それをもって店舗に。ネットでも手続きできるが、店の方がいろいろと聞ける上(実はそうではなかったのだが…)、在庫があればその場でスマホを手に入ることができるので、店舗での契約にした。前に使っていたO社のスマホは契約から全てネットで行った(店舗がそもそもないので)。
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