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日本のシニアのデジタル化。諸外国に比べてどうなのか?

  • 2021年10月11日

 世界の中で、日本のデジタル化の遅れはよく指摘されるところだが、実際はどうなのか? 社会参加という観点から国際比較結果を紹介した前稿に引き続き、デジタル機器の活用度合いを国際比較調査から明らかにしていきたい。

 出典は、前稿に引き続き、令和三年第9回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査。調査主体の内閣府では、昭和55年から5年に一度、高齢者の意識や行動、状況についての国際比較調査を実施していて、今回は9回目に当たる。比較対象国は、アメリカ、韓国、イギリス、フランス、タイ、イタリア、デンマーク、ドイツ、スウェーデンそして日本。第9回ではアメリカ、ドイツ、スウェーデンに日本を加えた4か国が対象となった。

 具体的なデータを個別に見てゆこう。図1.は、スマートフォンを利用しているかどうかを尋ねたもの。グラフを見る限り、他の3か国と比べて、遜色がないように見えるが、男女も、どの年齢階級でも、他の3か国の後塵を拝している事実は否めない。とくに、後期高齢者層では、他の3か国は、ダブルスコアに近い利用率を示している。

 図2.はタブレット端末の利用率。日本と他の3か国の差は、歴然としている。スウェーデンでは、80歳以上でも、30%近くが利用してるのに対し、日本の80歳以上はわずか3.7%にすぎない。

 図3.は、パソコンの利用率。ここでも日本と他の3か国の間には大きな乖離がある。65~69歳という前期高齢者層では、アメリカが72.9%、ドイツが59.8%、スウェーデンが60.2%と、PC利用者が多数派。翻って日本は、41.1%と半数にも満たない。それ以上の年齢階級でも、利用率は日本を大きく上回っている。比較的近い数字は80歳以上の日本とドイツぐらいしか認められない。

  これまでの設問は、利用度という抽象度の高いものだったが、実際の用途別にみるとどうだろう?図4.は「Eメールで家族や友人と連絡を取る」かを尋ねたもの。これも日本と他の3か国では、全く様相が異なる。男女とも、いずれの年齢階級とも、日本のシニアがEメールで連絡を取り合うことは、一般的ではないと言ってよい。

 同じ連絡手段にしても、携帯電話やスマートフォンになれば、話は異なる(図5.)。他の3か国と比べても、遜色のない結果となった。通信手段としてのモバイルは、日本のシニアにとっても、もはやデファクトスタンダードになったと考えてよいだろう。

 ネットを通じての情報収集や買い物も日本ではまだまだ一般的とは言えない(図6.)。50%を超えるのは、まだ高齢者とは言えない、60~64歳の年齢階級のみ。反対に、進んでいるのがスウェーデンで、かの国では、75~79歳でも、61.4%と半数以上を占めているから驚きだ。

 SNSを利用するかどうかでは、アメリカ、スウェーデン型と日本、ドイツ型に大きく分かれた(図7.)。とはいっても、ドイツと日本には大きな差があり、SNS利用という点でも、日本は最下位に甘んじている。

 最後に取り上げたのは、ネットバンキングや金融取引をするかという設問(図8.)。ニュースなどでよく取り上げられる通り、スウェーデンはこの分野の超先進国であり、日本とは比較にならない。とくにこの分野では、現金を重んじる日本のシニアの特性が色濃く反映されていると言えよう。タンス預金は、依然として健在なのである。

 以上、駆け足で見てきたが、日本のシニアのデジタル化の遅れは、どの分野でも諸外国に比べて見劣りするのは否めない事実である。必ずしも、「デジタルを使いこなす=先進的」とは言えないが、日本のシニアのデジタル武装は、もう一つ下のHANAKO世代、50歳代のプレシニア層の登場を待たないと、始まらないのかもしれない。

   株式会社 日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男

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