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実施頻度、消費金額。70歳代が牽引するスポーツ市場(中)

(上から続く)
一週間のうち、何回程度、運動やスポーツを実施しているのだろうか? 年齢階級別にみたのが、下記、図5.のグラフだ。

週に3回以上という、高頻度の比率は、20歳代の約23%から、40歳代の約19%まで緩やかに低下している。40歳代を極小地点として、それ以降は一気に反転し、50歳代で漸増。その後は、60歳代32.4%、70歳代で44.0%と、階級をまたいで、それぞれ10%以上という急成長を遂げている。70歳代の半数近くが「運動、スポーツ週3回以上」という猛者で占められているのだ。
このグラフの分母は運動・スポーツ実施者に限定されていない。白地の空白地帯には、「(運動・スポーツを)しなかった、わからない」という人も含まれている。それだけに70歳代のこの数値には驚きを嘆じえない。

気になる運動・スポーツの種類だが、やはり年齢を重ねると、軽運動が上位を占めてくる。70歳代を取り上げてみよう。最も好んで実施されているのは、やはりウォーキングで、70.8%(MA)。ぶっちぎりのトップだ。
もっとも、このウォーキングには、散歩、ぶらぶら歩き、一駅歩きなど、スポーツウォーキングとは言えない軽度の運動も含まれている。それにしても最低の40歳代は半数に満たない49.8%(MA)だから、その突出ぶりがわかろうというものだ。

因みに、70歳代の第2位は、体操の22.1%(MA)。因みに体操には、ラジオ体操・職場体操・美容体操等も包含される。第3位は、自転車・サイクリングとトレーニングが11.9%と同数で並ぶ。トレーニングとは、筋トレやランニングマシーン等室内運動器具を使って行う運動を指す。

50歳代以上、男女別に抽出して比較したのが図6.のグラフ。一見して分かるように、全年代・男女計のグラフ(図5.)と比べてさしたる傾向の違いはない。
ただ、「(運動・スポーツを)しなかった、わからない」という空白地帯は、70歳代男性で極端に少なくなっている。このグループが、如何に運動・スポーツとのかかわりが強いかがわかる。

70歳代で行っている運動・スポーツを取り上げてみると、第1位はウォーキング、第2位は体操と男女とも同じ。但し、ウォーキングが男性73.0%に対し、女性は68.6%と、その行為者率は男性の方がやや高い。逆に体操では、男性が18.1%、女性は25.9%と女性上位の傾向が著しい。

第3位では、男女で異なる結果となった。男性は自転車で13.6%、女性ではトレーニングで12.9%。こと70歳代に限れば、男性でよりアウトドア傾向が強いことがわかる。

では、運動・スポーツを行っている理由は何だろうか?
図7.は20歳以上の全年代、男女計の総数における上位5項目を抽出し、年代間で比較を試みたものだ。(SA)

20歳代以上の全年代で飛び抜けてトップの位置をキープし続けているのが「健康のため」。
大方が納得できるとは思うが、健康志向により運動・スポーツを行う人は、想像以上の増加率で年齢階級が上になるほど増えている。

逆に、「楽しみや気晴らしとして」運動・スポーツに取り組む人は60歳代以降低下の一途をたどる。一方で、「体力増進・維持のため」に取り組む人は60歳代、70歳代と年齢を重ねるにつれて増加している。
60歳代以降の運動・スポーツへの取り組みはなかなかにストイックなのである。(下に続く)

「実施頻度、消費金額。70歳代が牽引するスポーツ市場(下)」

株式会社 日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男