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実施頻度、消費金額。70歳代が牽引するスポーツ市場(下)

(中から続く)
 では、1年前に比べて運動・スポーツの実施頻度が高まったのは、どういう理由からだろうか? そこには情緒的要素ではなく、極めて即物的な要因がうかがえる。(図8.)

 運動・スポーツを行うための必要条件は、資本となる身体、そして自由になる時間だ。誰もが当然と思うであろうこの二つの要素も年齢階級によって影響力が異なってくる。

 仕事が忙しくなくなって、運動・スポーツに取り組む頻度が上がったのが、20~30歳代の若い年代。40歳代になれば仕事が阻害要因になることは、グンと少なくなる。60歳代で小ピークを形成するも、70歳代でストンと下がり、全年代の最少の値になる。
 一方の「健康要因」は年齢階級が上がるにつれ増加してくる。実施目的と合わせて考えると、健康な身体を手に入れて、実施頻度を上げ、健康の維持やさらなる向上につなげたいという思いが垣間見えてくる。

 と、ここまでは想像に難くない数字だが、70歳代には他の年齢階級には見られないユニークな結果が浮かび上がってきた。すなわち、「仲間ができた」ことによる頻度の向上である。
 この選択肢を選んだ人は、20~60歳まではそんなに高くない。20歳代、30歳代が約10%に上るものの、40から60歳代の中高年層では押しなべて低調だ。
 ところが、70歳代になると、一気に17.6%にまで跳ね上がる。「健康になったから」(20%)に肉薄する第2位の理由に躍り上がってくるのだ。70歳代における仲間の存在は極めて大きいと言えよう。

 話を少し変えてみよう。図9.は「スポーツが個人や社会にもたらす効果」についてその賛意を問うたものだ。(MA) 数ある選択肢の中から、全母集団総計で上位5位までに上がった項目を抽出してグラフ化している。

 面白いことに、どの年齢階級もその順位はほとんど変わりがない。「人と人との交流」が各年齢階級で群を抜いてトップ。そしてほぼ同様のスコアで「フェアプレイ精神」と「豊かな人間性」が続く。僅差で「地域の一体感や活力」が追い、やや遅れて「長寿社会の実現」がノミネートされている。
 特に70歳代で色濃く、因果関係の「因」にも「果」にも「人=仲間」が大きな要素となっていることが明らかになった。

 このグラフからは、「どの年代がスポーツを高く評価しているのか」も見て取れる。全項目でトップスコアなのが70歳代。もっとスポーツに期待を寄せているのが70歳代というわけだ。次いで評価が高いのは60歳代、20歳代と続く。
 40~50歳代の中高年世代は、スポーツへの意識がそれほど高くないと評価されても仕方ないだろう。

 期待を寄せること大というだけあって、70歳代の運動・スポーツにかける金額も他の年齢階級を大きく凌駕している(図10.)。その額1年間で46,139円。観戦金額も合算すると年間5万円を運動・スポーツに充てているわけだ。
 この額は、60歳代をも約15,000円上回り、30歳代と比べれば、約3倍弱に相当する。

 中高年~高齢者に絞って、男女別に消費金額を見たのが図11.のグラフ。男女とも年齢階級が上がるほど、消費金額は大きくなるが、どの年代も男性の方がたくさんつかっている。ことに70歳代の男女格差が大きく、男性が女性を2万円近くも上回っている。アウトドア志向の男性とインドア派の女性で差が出たのだろうか?

 スポーツ庁の今回の調査から、運動・スポーツ市場は70歳代が牽引し、そのキーワードは、「健康」と「仲間」であり、ウォーキングなど軽運動にウェイトが置かれていることも明らかになった。
 2018年は団塊の世代の末尾が70歳代に差し掛かる年でもある。この市場はまだまだふくらみこそすれ、大きく衰退することは、ここ数年はないといってよいだろう。

「実施頻度、消費金額。70歳代が牽引するスポーツ市場(上)」

  株式会社 日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男

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