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実施頻度、消費金額。70歳代が牽引するスポーツ市場(上)

70歳代が元気である。前回のアーティクルで触れたように、「健康である」という認識は、若年層だろうが高齢者だろうが顕著な差は見られないし、とくに70歳代後半では、「健康である」と自覚している人が大幅に伸びている。健康を下支えする橋脚のひとつが運動・スポーツ。フィットネスクラブを満杯にするシニア層のエネルギーは本物か? 本アーティクルでは、意識、行動、消費の3つの観点から、具体的な数字で明らかにしていきたい。データは2017年11~12月にわたって実施されたスポーツ庁の「スポーツの実施状況に関する世論調査」に拠った。

まずは、自己認識から。図1.は、「体力に自信があるか」を男女計年代別に問うたもの。20歳代から70歳代までの6つの集団の中で「自信がある」(「自信がある」、「どちらかと言えば自信がある」を合算した数字)と答えた人が最も多かったのが、驚くべきことに70歳代だったのだ。
もっとも、積極的に「自信あり」と答えた人は少なく、全年代の最下位でもあるのだが、自信の裏返しである「不安」を見ても、全年代のトップの座を占めており、決して統計のマジックとは言えない。

対象を中高年から高齢者に絞り、男女別に仔細に見れば結果は変わるだろうか?(図2.)
女性の数字に注目してみよう。年齢階級を一つ上がるたびに、「体力がある(計)」のパーセンテージはぐんぐんと伸びている。「体力がある(計)」50歳代女性は、33.0%と全体の3分の1と些か心もとない結果に終わっている。それが60歳代になれば約40%の39.3%。一気に約10%も増加している。
さらに70歳代にかかれば「自信がある(計)」は、なんと45.7%にまで上昇。50歳代女性比、+12.7%という驚異的な伸びを示しているのだ。

一方男性はと言えば、50歳代、60歳代、70歳代で顕著な差は認められない。数字の上からは70歳代の「自信がある(計)」が40.0%と一番大きくなってはいるが、同年代女性に比べれば5.7%と水をあけられている。体力への自信にみなぎる70歳代女性は神々しいくらいだ。

体力への自信の裏付けになるのはやはり運動だろう。図3.は「運動不足を感じるか」という意識調査だが、ここでも、70歳代女性の結果が際立っている。
「大いに感じる」では、他の年齢階級と比べてずば抜けて少ない。「ある程度感じる」を含めた「感じる(計)」では、20~50歳代まで概ね、どんぐりの背比べと言えるが、60歳代で一旦低下し、70歳代でさらに一段階落ちている。

男女別に見ると、「体力」ほど男女間でそれほど異なった結果は認められなかった。男女ともほぼ同じような傾向をたどりながら、50→60→70歳代と年齢階級が積み重なってゆくほど、運動不足を感じる人は少なくなっているのである。

「運動不足」と「体力への自信」は表裏一体の関係と言える。「運動が足りている」、その結果「体力への自信」が生まれる。このような好循環に最も近いところにいるのが、70歳代女性であることは間違いない。
では、一体どのような頻度で運動に関わり、どのような意識を持って運動やスポーツと向き合っているのだろうか? 次のアーティクルで明らかにしてゆきたい。(中へ続く)

「実施頻度、消費金額。70歳代が牽引するスポーツ市場(中)」

株式会社 日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男