2020年のオリンピックイヤーは、シニアマーケティングにとっても一つの画期と言える。シニア世代の一つの典型である団塊の世代(1946~1950年生まれ)がまるごと70歳代に入り、ポスト団塊世代(1951~1958年生まれ)も還暦をクリアする。そして最後の消費世代と呼ばれる、いわゆるHanako世代(1959~1964年生まれ)もその先頭は60代に入る。
近い将来シニア市場に参入する両世代は現状50歳代。団塊の世代との世代格差が大きいと言われているこの世代。マーケットとしてはそろそろ目配りしておく必要がある。世代論を述べればきりがないが、本稿では、デジタルへの親和性という観点からいくつかのデータを抽出して、50歳代と60歳代の比較を中心に見て行くことにする。
図1.は100人あたりのスマートフォンと携帯電話(ガラケー)の保有率を世帯主の年代別に見たもの。50歳代までは、すでにスマホの所有数量が携帯電話のそれを上回っている。しかも50代の所有数量は全年代をみても30歳未満の若年層に次いで、2位を誇る。
翻って60代ほどうだろう? この年代に至って初めてガラケーは勢いを取り戻している反面、スマホの保有量はなんと50代の約半分に過ぎない。どうやら、50歳代と60歳代の間に両者の優位は入れ替わり、ことスマホに限っては大きなキャズムが発生していることがわかる。
同じデータ条件でタブレット端末をプロットしてみたのが、図2.。ガラケーやスマホほどには普及していないのでその差は僅かだが、ここでも60歳代以降の衰退が激しい。
この二つのデータに共通して30代未満~50歳代がほぼ等しい傾向を見せており、60代以降とはその様相を大きく異にしている。
次にネットショッピングに関する年代別傾向を見てみよう。
図3.は1世帯あたりの年間のネットショッピング支出額を世帯主年代別に見たもの。5つの年代区分の中で50歳代の支出額が最も大きい。ここでもモバイルの保有量同様、50歳代は若い年代と同様の傾向にあることが見て取れる。
図4.は分母をネットショッピング利用者に絞って、利用世帯平均の支出額を見たもの。ここでも50歳代が全年代区分の中でトップを占めているが、利用世帯当たりの額としては、60歳代、70歳代もひけをとらない。使うとなれば60歳代以上の購買力は決して侮れないのだ。
とは言え、各年代区分におけるネットショッピング利用者の割合は、やはり60歳代になってガクンと低下している。(図5.) ここにもデジタルのキャズムがある。
これからのシニアマーケティングには、メディアの多様化は避けて通れないと言える。
日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男
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