データ図表だけをチョイスし、
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(①から続く)
「新し物好き」と近似の概念ながら、あまり肯定的評価が伴わない「衝動買い」についてはどうだろうか?(図3.)
50代と65歳以上の高齢者では、異なる様相を示した。購買に理性が働く高齢者層と、必ずしもそうとは言えない50代の違いが明らかになったのだ。50代と全年齢層平均の回答分布状況はほぼ等しい。即ち、「私は衝動買いするよ!」群は、いずれも20%台後半、「私はしないよ!」群は、40%台前半の数字を示している。
一方の高齢者群では、「私はしないよ!」と答えた人が全体の約55%にも上る。高齢者を一括りにすれば、理性的な消費者像が浮かび上がってくるが、高齢者をより細かくセグメントして見て行くと、なかなか一筋縄ではいかないところが面白い。
一般的なイメージとして、年齢を重ねれば重ねるほど、こと買い物行動についても思慮深くなるように思えるが、この設問の結果は必ずしも、そうでもない。「私は衝動買いするよ!」派は、50代で26.7%、60代で21.9%と漸減傾向を維持しているが、70代にさしかかれば、23.3%と逆に増加に転じるのだ。さすがに80代以上になれば、15.2%と落ち着いた数字になる。
年齢層別のこの傾向は、女性でことに顕著になる。50代女性が31.0%、60代女性が25.5%、70代にさしかかれば、27.1%と、同様に逆に増加に転じている。いっとき「70代以上女子、キラキラ消費」という言葉が流行った、その裏付けになる数字でもある。
因みに、「私は衝動買いするよ!」派が最も多いのは、20代女性で44.6%。最も少ないのは80代以上の男性の10.3%なっている。
次に、「多少高くても品質の良い物を選ぶ」という設問の結果を見て行くことにしよう。(図4.)
「当てはまる」と答えた人は、高齢者が全年齢層を1.6ポイント上回り、50代が1.6ポイント下回る結果となったが、「多少高くても品質の良い物を選ぶ=50代で53.9%」という数字は、実は、未成年を除外したすべての年齢層で最も低い数字なのである。
具体的に数字で示せば、20代:56.4%、30代:54.6%、40代:57.6%と推移した後、50代:53.9%と落ち込むのだ。その後は、60代:57.5%、70代:54.6%、80代以上:59.8%と盛り返している。
「多少高くても品質の良い物を選ぶ」という、供給側にとっての理想的な消費者が50代で極小期を迎える理由は何だろうか?
50代と言えば、教育費と住宅ローンという、2つの重荷を下ろし始めている年代と言える。孫がいても決して不思議ではない年格好でもある。とは言え、自身もその親の世代に比べれば晩婚・晩産(?)傾向は否めない。加えて、子世代の親離れ年齢も上昇してきている。「重荷を下ろす」などとんでもない、という向きも多いだろう。
世代論的な見方をすれば、長引く不況の中で、高額な教育費と住宅費を抱えていた世代である。その他の消費は抑え気味であっても仕方のない所だろう。そしておそらく、荷を下ろしたとしても、老後の生活不安も手伝い、緊縮型の消費を続けることは、まず間違いがないと筆者は考えている。(③に続く)
日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男
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