データの小窓

データ図表だけをチョイスし、
アーカイブ化しました

データアーカイブス

シニアに「デジタル提案」は、効果があるか?(1)

 スマホを持ち、年賀状をPCで準備する高齢者は少なくない。「デジタルシニア」は増えている様子から、多くの企業が「シニアに対してデジタルは効くのか」、と相談に来られる。大きくは、以下の二つに分けられる。

 1.デジタルメディアでシニアにアプローチできるのか?

 2.デジタルを活かした商品・サービスは、シニアに受け入れられるのか?

 これまでシニアのデジタル利用について何度か記事をアップしてきているが、現段階での様相と事業者の取り組み事例をまとめてみよう。

60代前半は、8割以上がインターネットを利用
6割以上がスマホを利用

 平成30年(2018年)のデータを見ると、60代で前半では8割、60代後半でも66%がインターネットを利用。80代でも約2割の方が利用している。グラフには示していないが60代全体では72.9%。

各年 通信利用動向調査(総務省)から作成

  5年前と比べて60代のネット利用が大きく伸びている背景には、インターネット元年ともいえる「1995年当時、何歳であったか」が大きく影響しているだろう。おそらく当時30代であった方はインターネット活用に取り組まれ、管理職に就いていた方はあまり精通しなかったのではなかろうか?
 ちなみに、全就業者数にに対する雇用者数は約9割、全人口の54%を占めている。(令和元年/2019年 労働力調査~総務省統計局 より)

 平成25年(2013年)時に60代前半の方たちは、1995年当時42~46歳。一方、平成30年(2018年)時に60代前半の方たちは、1995年当時30代後半から40歳過ぎ。わずかなズレと思うが、このことによって平成30年の60代前半から後半のネット利用率が、5年前の同年代から比べて大きく変化している。(詳細は、「デジタルシニアがやってくる」

  ちなみに偶然であるが、2013年60-64歳が2018年の65-69歳にあたるが、インターネットを利用したことがある率はまったく同じ数値(66.6%)。

 スマホ利用についてみると、60-64歳では6割が利用。65-69歳では4割、70-74歳では約1/4。60歳を超えても働く人が増えていることとも、デジタル利用率の高さに関連しているだろう。

平成 30 年通信利用動向調査(総務省)から算出、作成

 50代をみるとネット利用率は9割超、スマホ保有率は約75%。現在の80代デジタルシニアは少数であっても、70代が80代、60代が70代、50代が60代と年齢を重ねていき、より多くの人がネットもスマホも使える世代がシニアになっていく。現段階でもある一定のシニア層にデジタルは利用されており、今後は急激に利用者が増加する。アプローチ手段としても商材提案としても、デジタル利用は既に取り組むべき重要テーマと言える。

シニアはどの程度、デジタルを活用している?

 一方、「通信利用動向調査」においては、1年間に1回でも利用すれば「利用」と回答する。そこで少し古いデータではあるが、普段の利用状況を確かめてみよう。 

平成26年度『高齢者の日常生活に関する意識調査結果』 (内閣府)から作成

 60-64歳の「積極的に利用」と「たまに利用」を足しても46%ほどで 、「通信利用動向調査」(平成30年)の60-64歳のスマホ利用率60%と比べるとかなり少ない。調査時期が4年ずれていることも影響しているだろう。一方でICT利用意向率は利用率より大きい。

平成26年度『高齢者の日常生活に関する意識調査結果』 (内閣府)から作成

 ここで気になるのは、利用状況と利用意向の差である。
 「積極的に利用したい」「たまに利用したい」という気持ちを実行に移すためには、何かが必要ではないだろうか。

シニア層のサービス活用を支援する
フリマアプリ事業者

 フリマアプリを利用するのは若年層や子育て層、というイメージが強いかもしれない。しかしメルカリやラクマはシニア向けにアプリ教室を開催し、シニアの利用者を広げている。

 メルカリはシニアに人気のあるクラブツーリズムの開催イベントや、ドコモショップでメルカリ教室を開催。同社のサービスを理解し安心して利用できるように、講座を定期的に開いている。ラクマはハルメクのスマホ講座の時間と場所を利用して、ラクマの理解と利用方法を教授。いずれもシニア層を開拓している。ある一定数に利用の魅力と利用方法を教授すれば、商品特性から言っても、あとは個人のネットワークで自然と広がることが期待できる。

 CtoC市場はよい売り手がいてこそよい買い手がつく。その点、シニアはよい売り手になりうる。シニアの特性が再利用市場にどう反映されるか、考えてみよう。

 なぜフリマアプリ事業者がシニア層に取り組むのか。

  1. 現在のシニアは買い物の楽しみを享受してきた世代であり、よいものを数多く持っている。
  2. 断捨離などに意識が向き始めている。
  3. もったいない精神で良い品を大切に使ってきている。
  4. もったいない精神で、捨てるより使ってもらえる人の手にわたることが嬉しい。

 これらの特性からシニア層が参加することで、市場は活性化すると考えられる。市場が魅力的になればより多くの人が利用してくれる。(もちろん、買い手としてもシニアの参加が見込まれる)

 これらの取り組みは、シニアへのデジタル提案に人力を介したサポートが効果的であることを示している。 ( (2) へ続く)

株式会社日本SPセンター シニアマーケティング研究室 石山温子

<シニアマーケティングに関するお問い合わせ>こちらのメールアドレスにお気軽にご連絡下さい。

このページの先頭へ