前稿に引き続き「高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査」(令和3年 内閣府)から、「シニアがどんな情報をもっと欲しいと思っているか」というデータをご紹介する。さまざまな分野におけるシニアの情報への充足度や欲求度が推察され、興味深い。
図1.は、日常生活の中でもっと欲しい情報、上位10項目(令和3年・2021年)をピックアップし、平成26年と比較してみたもの。全般的に言えるのは、平成26年(2014年)に比べて、令和3年(2021年)では、情報を欲する割合が総じて低くなっていることだ。シニア世代のITリテラシーの高まりの反映だろう。「特にない」という回答が、9%程度高まっているのも、その証左と言える。
上位10項目の中で、最も欲しいと思われている情報が、「健康づくり」の29.7%。但し、平成26年(2014年)に比べて、減少幅も大きい。裏返せば、7年間の間に「健康づくり」に関する情報提供は、リアル、ネットを問わず、ずいぶん充実してきたと言えよう。
「健康づくり」に次いで欲しいと思われている情報は、「年金」、そして「医療」と続く。上位3項目をシリアスな関心領域が占める結果となった。アクティブシニアの象徴とも言える「趣味、スポーツ活動、旅行、レジャー等」のポジティブな関心領域を押さえてのノミネートとなる。もっとも、平成26年(2014年)も同様な結果であることから、自己防衛的な情報への欲求は、時間が経過してもあまり変わらないのだろう。
図2.は令和3年(2021年)時点において、ひとり暮らしと配偶者同居で、欲しい情報に差があるかどうかを見たものだ。配偶者同居がひとり暮らしを大きく上回っているのが「趣味、スポーツ活動、旅行、レジャー等」の情報。大雑把に言えば、配偶者同居の世帯がひとり暮らしを10%近く上回っている。逆にひとり暮らしが配偶者同居を顕著に上回っているのが、「食生活、食事サービス」や「心配ごとや悩みごとに関する相談サービス」に関する情報だ。単身の気軽さからひとり暮らしを謳歌している高齢者も多い反面、ひとり暮らしだからこそのシリアスな情報を欲している様子が窺える。
図3.は同じく令和3年(2021年)時点で、「収入のある仕事に就いている人」と「就いていない人」の間に、欲しい情報に差があるかどうかを見たものだ。「収入のある仕事に就いている人」がそうでない人に比べて、顕著に高かった項目が、「趣味、スポーツ活動、旅行、レジャー等」に関する情報。その差は8.8%に及ぶ。「教養講座の受講などの学習活動、文化的な催しもの」も、3.1%の「関心格差」となって現れた。可処分所得の差が、ゆとりある情報項目への関心の高さを物語っている。次いで、格差が大きかった情報項目が「年金」の7.1%。格差第3位には、「相続、預貯金、資産運用、税金」と言った、資産面の情報項目が目立った。逆に「収入のある仕事に就いていない人」の方が、上位だったのが、「在宅ケア、介護サービス、家事援助など生活上の世話」に関する情報項目。5.1%とそこそこの差となった。(中に続く)
株式会社 日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男
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