前回のコラムでは「ネットを軽やかに使いこなすシニア」を
取り上げたが、他のメディアはどうなのだろうか?
本コラムでは、総務省「平成26年情報通信メディアの利用時間と
情報行動に関する調査」(平成27年5月リリース)から、
60代シニアとメディアの関係を見て行きたい。
まずは各メディアの接触時間を見てみよう。
このデータは利用しない人は平均の対象から外されているので、
かなり実態に近い数字になっていると思う。
比較対象は、テレビ(リアルタイム)、テレビ(録画)、
ネット、新聞、ラジオの5つのメディア。
図1.は平日と休日の比較、図2.は男女別の比較だが、
いずれもリアルタイムのテレビの視聴時間が圧倒的に長い。
平日で約4.6時間、休日には5.5時間テレビと接しているから驚きだ。
男女別では新聞を除き、いずれも女性の方が接触時間が
長くなっている。(平日比較)
テレビに続くメディアとしてラジオも依然としてシニアに高い
支持を得ている。特徴的なのは、男女別の平均視聴時間。
女性のラジオ聴取時間は男性の2倍に上っている。
親しいメディアとしてテレビとラジオが双璧なのは肯けるが、
この2つのメディアはいずれも「ながら視聴」が可能なメディア
でもある。その意味ではネットの接触時間の長さは注目に値する。
とくにスコアの高いのが男性。利用者1日あたりの接触時間は、
約1時間45分。1000文字程度の1ページ当たりの滞在時間を
1分と仮定しても、世の中の60代男性は1日あたり平均
100pvの計算になる。
ネットの場合はラジオと真逆で、男性の接触時間が女性の2倍に
なっていることも特徴的だ。
図3.図4.はそれぞれ、平日と休日のテレビの時間帯別の
行為者率をグラフ化したものである。世代別・性別・平日休日を
問わず、朝・昼・晩のトリプルピークを形成している状況は同じ
であるが、どの時間帯を取り上げても、60代は他の年代を圧倒
している。とくに平日の朝、7~9時台のテレビ視聴で60代女性が
頭一つ抜け出ている。
最後に興味深いデータをご紹介しよう。図5.はテキスト系
メディアの利用者の平均利用時間を世代別、メディア別に比較
したものである。
注目すべきはテキスト系サイト(※)の平均接触時間。
20代の127.8分は各世代を通じてダントツだが、
なんとそれに続くのが60代なのである。
平均接触時間は85.3分に及び、30~50代の働き盛り世代を
いずれも僅差ながら凌駕している。
以上駆け足でみてきたが、ネット、とくにテキスト系サイトへの
親和性が、世代を問わずに高まっている傾向が見て取れる。
このコラムではあえて各メディアの利用率には触れなかったが、
こと利用者に関する限り、ネットはシニアの暮らしの一部に
なったと言えよう。
日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男
※テキスト系サイト:ブログ・Webサイト・ソシャルメディアの合計。
動画投稿・共有サイトやⅤODは含まない。
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