「食生活・食事サービス」に関する情報は、もっと欲しい情報の第5位につけた。(下図8.)
この情報への希求度には、際立った特徴がある。男女間・年齢階級間で、顕著な差が認められないことだ。10のセグメントのすべてが、10%から15%の範囲内に収まっている。食というベーシックな行為に関しては、男女、老若を問わず、等しく情報を欲しているということだ。
食とは異なり、セグメント間で異なる情報希求度が明らかになったのが、「在宅ケア、介護サービス、家事援助など生活上の世話」の情報項目(図9.)。80歳以上の女性で18.9%と突出している。それもそのはず、要介護等認定者の内訳を見ると、女性では80歳以上が77.7%を占めている。これでは、関心がないはずはない。一方男性では、60.6%。そこそこ高い数字なのだが、「もっと欲しい情報」と思っている人は75~79歳よりも低くなっている。男女間でやや認識に隔たりがあるようだ。(データは2019年【令和元年】厚生労働省 国民生活基礎調査に拠る)
図10.は、高齢者向け住宅の供給、増改築、手直し等「住まい」に関する情報項目の希求度。男女とも、65~74歳の前期高齢者層で高く、後期高齢者では漸減傾向にある。グラフの波形は男女間でほぼ相似形だが、男性より女性の方が、わずかだが高いスコアになっている。
図11.は、「教養講座の受講などの学習活動、文化的な催しもの」の情報希求度。概ね男性より女性の方が、関心が高い。住まいの情報もそうだったが、女性優位なのは、この「学び」の情報項目でより顕著になっている。一方、80歳以上の年齢階級では、男性の方が高いスコアになっている。虚弱化の進行は女性の方が早いと言われるが、その影響を受けているのかもしれない。また、女性では、65~69歳の年齢階級で情報希求度のピークを迎えるが、男性はそれより後ズレしており、75~79歳の年齢階級でピークを迎えている。
「心配や悩みごとに関する相談サービス」(図12.)も、男女や年齢階級で差が出ない結果となった。10のセグメントのすべてが、8%から12%の狭い範囲に分布している。その僅差の中でも、70~74歳男性が、11.3%と最も高いが、特筆すべき数字ではない。
最後の情報項目は、「相続、預貯金、資産運用、税金」に関する情報希求度(図13.)。二人以上世帯の世帯主は、依然男性メインだろうから、男性がもっと欲しいと思う項目であることは容易に諾える。10のセグメントの中では、60~64歳男性のスコアが最も高い。人生100年時代とは言え、節目の年代を迎えて、真剣になり始めるのがこの頃なのであろう。
以上、3つのアーティクルに分けて、「シニアがもっと欲しい情報」をつぶさに見てきた。「もっと欲しい」=「関心の高さ」とは、必ずしも言えないものの、男女で、年齢階級で、関心のありどころが少しずつ異なる様も見えてきて興味深い。
株式会社 日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男
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