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プレシニアとSNS② 主要SNSの使用目的は何か?(上)

 前稿では、SNSの使用状況について概観してきたが、本稿では、次稿の2回にわたって、主要SNSの使用目的について見てゆくことにする。SNSごとの異なった個性や、男女間で使用目的の様相が異なってくるのも興味深い。まずは、LINE。図6は、男女計で見た数字である。

 大方の想定内ではあるだろうが、LINEの使用目的は、圧倒的に「連絡やコミュニケーション」が多い。5つの選択肢の残り4つはいずれも5%以下であり、シングルユースとしての強みを遺憾なく発揮している。

 男女別に見た結果も、全体と大きくは変わっていない(図7・図8)が、仔細に見ると異なる特徴が見えてくる。「家族、友人、知人との連絡やコミュニケーション」の回答が、女性では92.4%と9割を超え、男性の86.1%を6.3%上回っている。

 裏を返してみると、男性では13.9%が「家族、友人、知人との連絡やコミュニケーション」以外の使用目的に言及している。この設問は一択なので、連絡やコミュニケーション以外を第一に挙げている男性が多いことは、意外と言えば意外ではある。

 次に見て ゆくのはTwitter。図9は、男女計の全体傾向の数字。LINEとは異なり、意見が割れている。使用目的として最も多くの回答を得たのが、「興味ある事象・話題の出来事の情報収集」の42.4%。次いで、「興味ある分野の情報収集」が、大きく水を開けられているものの18.2%と2位につけている。Twitterは、3位につけているのが「自分の近況や気持ち、考えを発信するため(13.1%)。3位に来て初めて、積極的な発信が登場した。どうやらTwitterは、プレシニアにとってあくまで情報収集ツールであって、情報発信ツールではないということだろう。自己主張を好まない日本人気質が現れているようでもある。

 男女別(図10・図11)に見ても、この情報収集重視の傾向は変わらない。1位は「興味ある分野の情報収集」となっている。ただ、男性の回答が38.0%に留まったのに比べ、女性では47.0%と、9%もの開きになった。「有名人や団体のつぶやきや近況、考えを見るため」という選択肢においても、女性が男性に比べて3%ほど高い。概して女性の受信熱の高さを物語る結果となった。

 これに反し、発信熱は意外にも(?)男性の方が高く、「自分の近況や気持ち、考えを発信するため」という回答は、女性を約4%上回っている。

  一方、Instagramはどうだろう。男女計の全体傾向(図12)では、「有名人や団体の投稿を見るため」との回答が最も多く、全体の27.7%を占めている。次には「家族や友人、知人の近況を知る、コミュニケーション」が25.7%と続き、両者はほぼ拮抗する結果となった。プレシニアにおいては、Twitterと同様、情報の受信に重きが置かれ、発信するとしても内輪に留まるという結果となった。Instagramと聞いて一般に思い浮かべるイメージである「(不特定多数に向けた)画像を投稿する」という回答は少なく、わずかに2.4%に留まっている。

 ことInstagramにおいては、トップの項目が男女間で異なる結果となった(図13・図14)。男性のトップは、全体傾向と同じく、「有名人や団体の投稿を見るため」の28.4%。一方女性のトップは、「家族や友人、知人の近況を知る、コミュニケーション」の29.2%。限られた身内のコミュニケーションツールの一つとして、重宝されている様子が窺える。また、女性では「興味ある分野、知りたいことの情報収集」の回答率が高く、22.9%にも上っている。これは、男性を7.3%も上回っている数字である。

 一方で「画像投稿」の回答は、記録用、公開用を問わず、男性より不活性な数字となった。これもいささか意外な結果だと思っているが、プレシニアより若年の世代になれば、異なる様相を見せるのであろうか?

   株式会社 日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男