大まかに言って、メルマガ受容派が7割であることを前項までで述べた。では、残りの3割、即ち、メルマガ拒否派の人たちは、いかなる理由で、メルマガを読まないのだろうか? 本稿では、そのあたりの事情を明らかにしてゆきたい。
上の図16.は、50歳代全体の傾向として、メルマガを読まない理由の分布を可視化したものだ。その他という選択肢も用意したが、0.5%と、ほとんど誤差範囲なので、グラフからは割愛している。従って読まない理由は、表側の4つの選択肢に収斂されると見てよい。
NGの理由の中で、上位3つのスコアは、ほぼ5%前後で、拮抗とは言えないまでも、並列はしている。その中で最もスコアが高かったのが、「読むのが面倒」という回答で35.5%。「(メルマガを)もらってよい」以外の回答を寄せた人のうち、3人に1人が答えた格好になった。それに次ぐのが「欲しい情報がない」という回答。30.1%がそう答えた。意外だったのが「役に立たない」という回答で、全体の10%にも満たない。これらを総合すると、メルマガの情報価値は認めてはいるものの、文字を追うことへのハードルの高さや、情報のミスマッチがそれを上回っていると考えてよいだろう。
セグメントごとに見てゆくとどうだろう? 図17.は、50~54歳男性のセグメント。グラフの波形は、全体傾向とほぼ同様だが、「読むのが面倒」の回答が、全体傾向より3%低くなり、その分を残りの3つの選択肢の回答を少しずつ押し上げる結果となった。
同年代の50~54歳女性のセグメントではどうだろう(図18.)? このセグメントで特徴的なのは、「読むのが面倒」の回答率が高いことだ。全体傾向と比べて3.5%、同年代男性と比べれば6.5%も高い回答率となっている。反面、「役に立たない」という回答率は同年代男性と比べるとほぼ半減にあたる5.5%と低い数字になった。コンテンツの中身より、コンテンツへのアプローチが優先する、典型的なセグメントであると言えよう。
図19.は、55~59歳男性。このセグメントでは、「欲しい情報がない」の回答率が高く、いわゆる情報のミスマッチが、メルマガNGの最大の要因となっている。「役に立たない」の回答率が高いのも、このセグメントの特徴。この選択肢への回答率は、概して女性より男性の方が高くなっているが、同じく男性でも50~54歳と比べても、5.4%も高い数字になっている。4つのセグメントの中で、最も高いスコアでもあり、コンテンツの中身に対して厳しい目を向けている集団であると言える。
セグメント別考察の最後は、55~59歳女性(図20.)。「読むのが面倒」への回答率が4つのセグメントの中で、最も効率であり、唯一40%を超え、41.7%を記録した。反面、4つのセグメントの中で「役に立たない」への回答率は最も低く、コンテンツの中身への信頼度が高い一群となっている。
最後に「読むのが面倒」という選択肢に関する興味深いデータを紹介して、本稿を締めくくることにしたい。図21.は、テキストメールとHTMLメールのどちらが好ましいかを問うたものだ。セグメントごとの際立った差異がないので、全体傾向のみご紹介する。
結果として、HTMLメールがテキストメールを大きく(17.1%)も上回っており、文字の羅列であるテキストメールに一石を投じる結果となった。とくに女性で顕著だった「読むのが面倒」というメールを読むハードルの高さをHTMLメールを用いることで若干は解消されるかもしれない。
株式会社 日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男
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