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プレシニアとメルマガ② 商用メルマガに接する態度

 本稿では、プレシニアが商用メルマガを受容するか否かを概観してみる。メールマガジンというコミュニケーション手段が、マーケティング的に果たして有効かどうかを探るのが目的だ。まずは、全体の傾向は、どのようになっているのだろうか(図6.)?

 選択肢として設けた項目は、「もらってよい」・「必要なもののみ」・「基本的には不要」・「やめてほしい」の4つ。うち、「必要なもののみ」の「必要」は、人によっては「セール案内」など、購買促進に関わるものまで、含まれるだろうから、前者2項目が程度の差こそあれ、受容派だと考えられる。一方後者2項目は明らかに拒否派と言える。この定義に従えば、全体健康では、受容派:拒否派=71.4%:28.6%。大雑把に捉えれば、7割が需要派、3割が拒否派と考えてよいだろう。

 4つの選択肢の中で、突出しているのが「必要なもののみ」。その後に続くのは、「もらってよい」、「基本的には不要」。両者は20%程度で拮抗している。「やめてほしい」という積極的拒否派は、7.6%と10%にも満たなかった。多少煩わしく感じながらも、情報受信のツールとしてその存在は認めている…。プレシニアにとってのメルマガのポジションは、概ねそんなところだろう。

 次に性別・年齢階級別の4つのセグメントごとの傾向を見てゆこう。この設問の大きな特徴として、セグメントごとの差異が非常に小さいことが挙げられる。「プレシニアとメルマガ」の4つのデータ群の中には、セグメントごとに異なる傾向が見られたが、この設問に関しては、セグメント間の数値は僅差のレベルに収まっている。当然、グラフの波形もほとんど等しい。従って、セグメントごとの特徴を語れば、些か「重箱の隅」になってしまうことをお許しいただきたい。

 図7.は、50~54歳男性のセグメント。受容派:拒否派の比は、69.6%:30.4%という数字になり、全体傾向に比べて、受容派が微減、拒否派が微増という結果になった。商用メルマガを見る眼は、50歳代の中で、やや厳しいとも言える。拒否派微増の中で、少し目立つのは、「やめてほしい」という強硬な拒否派。全体を1.7%上回る9.6%、4つのセグメントの中では、最も高いスコアになった。人数に換算すれば24名。50歳代全体の「やめてほしい」は、79名、50~54歳男性のシェアは、30%に上る。

  もとよりセグメント間の差異がわずかな中で、ひときわ全体傾向に酷似しているのが、50~54歳女性のセグメント(図8.)。その受容派・拒否派比は、70.8%:29.2%。全体傾向の受容派:拒否派=71.4%:28.6%にほぼ等しい。同年代男性のセグメントと比較すると、「もらってもよい」、「やめてほしい」の積極的需要派と積極的拒否派の割合が、わずかではあるが低く、中庸な選択肢に回答が集まっていることが、特徴と言えば特徴的でもある。

 55~59歳男性のセグメント結果が図9.。この層は「もらってもよい」という積極的受容派が4つのセグメントの中で最も高い。一方で、「やめてほしい」という積極的拒否派は、最も低くなっている。受容派・拒否派の比は72.0%:28.0%。僅差ながら、商用メルマガに対して最も寛容なセグメントと言っても差し支えないだろう。

 4つ目のセグメントは、55~59歳女性(図10.)。このセグメントは「もらってよい」という積極的受容派のスコアが4つのセグメントの中で、最も低く、唯一20%を割り込んでいる。逆に「必要なもののみ」という消極的受容派のスコアは4つのセグメントの中で、最も高いスコアを記録した。両者を足し込んだ受容派全体は73.2%と高いスコアとなっている。冷静に、合理的にメルマガに対応している態度が読み取れる。

 必要な人に、必要な情報を届けることは、マーケティングの一丁目一番地。ジャンクメールは論外だが、価値あるメルマガなら受け入れる。プレシニアに発信するメルマガは、まだまだ効力を失ってはいない。

   株式会社 日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男