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単身高齢者(とくに男性)に対する生活サービス充実を!  ー最新の「国民生活基礎調査」から読み取れること

 令和元年7月2日に公表された「平成30年度国民生活基礎調査」からシニアに関する調査結果を見てみよう。「国民生活基礎調査」とは保健、医療、福祉、年金、所得など、国民生活の基礎的な事項を調査するもの。3年ごとに大規模な調査を行い、その間の各年は、調査事項と対象世帯が少ない簡易的な調査を実施している。33回目となる平成30年度は中間年に当たるため簡易調査となる。

1)高齢者世帯が初めて1400万世帯を超える

 2018年(平成 30)6月7日現在における全国の世帯総数は 5099 万 1 千世帯。そのうち「高齢者世帯」は 1406 万 3 千世帯(全世帯の 27.6%)。1986年(昭和61年)の調査開始以来、初めて1400万世帯を超えた。

2017年(平成29年)を除き、毎年増加している

 ※「高齢者世帯」の定義:この調査で「高齢者世帯」とは「65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の未婚の者が加わった世帯」のこと。つまり、世帯主が65歳であっても妻が64歳以下の場合や18歳以上の子供が同居していれば「高齢者世帯」ではない。

2)高齢者世帯で男性の単独世帯が増加

 高齢者がいる世帯は 2492 万 7 千世帯(全世帯の 48.9%)。そのうち「夫婦のみの世帯」が 804 万 5 千世帯(高齢者がいる世帯の32.3%)で最も多く、次いで「単独世帯」が 683 万世帯(同 27.4%)、「親と未婚の子のみの世帯」が 512 万 2 千世帯(同 20.5%)の順となっている。

1998年(平成元年)まで一番多かった「三世代世帯」は「その他の世帯」についで少数派となった

 なかでも男性の単独世帯が割合、実数ともに増えている。調査開始の1986年(昭和61年)と比較すると、女性の割合は減り続け1986年(昭和61年)の43.8%から2018年(平成30年)は32.7%になっている。一方、男性は逆に増え続けており、1986年(昭和61年)の10.4%から2018年(平成30年)は15.8%に。
実数では、女性が同じ時期の比較で約4.4倍の増加に対して、男性は約9.0倍に増えている。

実数は男性約223万世帯に対し女性は倍以上の約460万世帯 2018年(平成30年)

3) 単身の高齢男性は脆弱性 を抱えている

 下の表を見ると、高齢になっても男性は「夫婦のみの世帯」の割合が高い。それに比べて女性のほうは「単独世帯」と「子との同居」が増え、「夫婦のみの世帯」が減っている。 これは平均寿命が男性81.09歳、女性87.26歳と男女で6.2歳の差がある(厚労省:平成29年簡易生命表)ため、80歳前後を境に女性の単独世帯が増える。

80歳以上になると「夫婦のみ世帯」の割合が男女で大きな変わる

 しかし、これから非婚や離婚で男性の高齢単独世帯が増えることが予想される。現在の高齢世代では一般的に男性は女性に比べて生活能力で劣っている。とくに家事、なかでも調理や栄養についてのスキルや知識が十分でなく、それが元で健康を損なうケースも多い。また、コミュニケーション能力の面でも女性に比べて男性の方が低く、孤独になりがちだ。 このことから「連れ合いのうち男性が先に亡くなると女性は長生きし、逆に女性に先立たれた男性は後を追うように亡くなる」という傾向が顕著になっている。

 これから男性も独身時代が長くなり、学生時代、単身赴任も含め一人暮らしの経験が豊富になって来ている。さらに女性の社会進出に伴い、家事分担も進んでいるので、この傾向は次第に弱まって来ると想像される。ただ、ポスト団塊世代までは男性シニアにおける単身の脆弱性は留意が必要であろう。

4)シニアはいわれるほどリッチではない

 つぎにシニアの所得を見よう。世帯主の年齢階級別に1世帯当たりと世帯人員1人当たりの平均所得は以下のとおりである。60~69歳で534万円と働き盛り30~39歳の574万円と大きくは変わらない。「高齢者世帯で、年収が500万以上あればリッチ」と思いがちだがそうではない。

ただし、高齢者世帯の平均総所得は334.9万円

 この結果を見るときに注意が必要なのは「世帯主の年齢が65歳以上であっても『高齢者世帯』でない場合が多い」ということである(上記「高齢者世帯の定義参照」。本来の「高齢者世帯」の総所得は平均で約335円である。これだと全世帯平均の約552万円はもちろん、一番低い29歳以下の346万円にも及ばない。「シニアはリッチ」というのは、が全体としてはあたっていないことがわかる。

 本来の「高齢者世帯」の総所得は平均で約335円である。これだと全世帯平均の約552万円はもちろん、一番低い29歳以下の346万円にも及ばない。「シニアはリッチ」があたっていないことがわかる。

5)ゆとりのある世帯はわずか3.6%

 さらに公的年金・恩給を受給している高齢者世帯における公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の構成割合を見ると、公的年金・恩給だけで暮らしている高齢者世帯が半数を超えている。

年金生活者の半数以上は年金だけで暮らしている

 こうした経済状況のなかでの生活意識について、ややゆとりがある、大変ゆとりがある、と答えた世帯は両方合わせて、3.6%に過ぎない。高齢者世帯を1400万世帯とすると、50万世帯になる。悠々自適、豪華列車やクルーズ船に乗ったりできる、いわゆる「リッチなシニア」はごく限られた人たちである。

全世帯に比べると「苦しい」世帯の比率は若干(約3.5%)少ない

 一方、大変苦しい、やや苦しいを合わせると、55.1%と半数を超えている。
「ゆとりがある」「苦しい」の感じ方は世帯によって違うので、一概には言えないにしても、全体の傾向はうかがえる。

◆調査結果から見えてくるのは

・単身者シニア(とくに男性)に対する生活サービス充実の必要性
家事支援や食事の宅配、見守りサービス、コミュニケーションの活性化などが求められている。新しい事業の立ち上げはもちろんだが、従来のサービスの延長としてこれらの事業を手がけてゆくことをお勧めしたい。過去のものとなった「御用聞き」サービスはまさにこれからのマーケティング手法として蘇る可能性がある。

・クリエイティブからセレクティブな消費へ
多くのシニアが望んでいるのはきらびやかな消費ではなく、年金を主体にした慎ましい消費である。しかし、一人暮らしであっても、心身の健康や安心できる暮らしに対する希求も強い。女性に限定した簡便なフィットネスサービスが受け入れられたのもそうした背景がある。日頃、欠かせない必需品においてはわかりやすい、使いやすい製品やサービスが選ばれることになる。そのための地道な情報発信や顧客ケアが求められる。

 データは多くのことを語り、教えてくれる。ぜひ、上記のデータから新しいヒントを見出していただきたい。

※上記文中のデータは厚生労働省の令和元年7月2日発表の「平成31年度 国民生活基礎調査」による。
厚生労働省ホームページ(URL) 

https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/20-21kekka.html

  株式会社日本SPセンター シニアマーケティング研究室 倉内直也

<シニアマーケティングに関するお問い合わせ>こちらのメールアドレスにお気軽にご連絡下さい。

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