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同居、近居、それとも…。同じシニアでも異なる意向(上)

  • 2020年6月18日

「家を継ぐ」という発想がずいぶん希薄になった現在、「子世帯との同居」は、想定内の選択肢ではなくなってきた。1989年(平成元年)時点では、高齢者のいる世帯の約40%が、三世代同居だった。それが、18年後の2017年(平成29年)には、11%にまで、激減している。

変わって増えているのが、夫婦のみ世帯と単独世帯。その中には、「同居」でもなく「別居」でもない、第3の概念、「近居」も少なからず含まれている。

本稿では、シニア層を対象にした内閣府の調査をベースに、「同居」、「別居」の意向を親の側から、探ってゆくことにする。そこからは、年齢・性別・エリア別・居住形態別によって異なる「気持ち」が窺える。シニア層は決して金太郎飴ではなく、立場によって機微の異なる、多様性の集団なのだ。

まずは、全体傾向から見てゆこう(図1.)。60歳以上男女の回答者の平均では、「同居したい」が、約35%とトップ。子どもとの同居信仰は依然として根強いようだが、「近居したい」が、29%と肉薄していることに注目したい。

「近居」とは比較的新しい概念で、この言葉が人口に膾炙し始めたのは、2003年前後。当初は、「子育てや家事の面で親の支援を得つつ、一定のプライバシーを確保できる」ことから、若い女性、すなわち「子ども側」から、新たな住まい方として注目を浴びてきた。

既婚女性における別居親との時間距離を年代別に見たデータ(国立社会保障・人口問題研究所「第3回全国家庭動向調査」2003年実査)では、年代が上がるにつれて、近居率は下がっている。(この調査では時間距離10分以内)その当時はどうやら近居は若い世代の言わば「片利共生」に近いものだったと言えよう。

この住まい方が、シニア層にも概念として定着し、受け入れられているという証左が、29%という数字に反映されていると言える。

それでは、シニア層を十羽ひとからげではなく、より細かいクラスターで見てゆくことにしよう。

図2.は、5歳刻みの年齢階級別に、同居・近居の意向を尋ねたもの。「同居したい」という意向と年齢はきれいな相関関係を描いている。それに反比例して、「近居したい」という意向は、年齢が上がるほど少なくなり、逆相関の関係になっている。

加齢による健康不安や足腰の衰えなど、親側の「片利共生」に近い形態の「同居」を望む声が高くなるのも想像に難くない。

年齢階級別の同居・近居意向を男女別で見れば、どんな結果になるだろう。まずは男性。(図3.)

全体傾向と少し異なるのは、同居意向と年齢階級にきれいな相関が見られないことだ。同居意向は、65~69歳の年齢階級で、一度は増加したものの、70~74債で、再度減少している。

この70~74歳男性の年齢階級には、ユニークな特徴がある。同居意向が60歳代より低いだけでなく、近居意向もまた然りということだ。全体傾向では、両者はトレード・オフの関係だったが、必ずしもそうではないのである。その代り、「同居も近居もしたくない」という回答が、その他のクラスターを凌駕している。

この年代は世代的に言えば団塊の世代に当たる。常に時代の牽引車であった彼らの自負心の強さによるものかどうかは、即断できないが、要素の一つとしては介在しているように思う。

一方、女性ではどうだろう?(図4.) 全体傾向とほぼ同様な分布で、年齢が上がるほど、同居意向も顕著になっている。近居意向とはきれいにトレード・オフになっている。同居意向は各年齢階級で概ね男性より強く、80歳以上では、50%が、同居を望んでいる。

同じ70~74歳でも、「同居も近居もしたくない」向きは、18.1%と低く、男性の27.0%とは、大きな開きがある。(下に続く)

  株式会社 日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男

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