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同居、近居、それとも…。同じシニアでも異なる意向(下)

  • 2020年6月19日

年齢や性別以外に、同居・近居意向に差がつくファクターはあるのだろうか? 都市規模の違いで見たのが、下記の図5.だ。

都市規模の大小で比較したときにまず気がつくのは、大きな都市になるほど、同居意向が低くなるということだ。「同居したい」比率は大都市では30.8%に過ぎないが、町村すなわち郡部では、38.5%。その差は8%近くになり、その差は比較的大きい。

一方、近居意向については、同居意向ほど際立った相関関係は見受けられない。むしろ目につくのは、中都市と小都市の間の乖離だ。その開きは7%に上る。字面上からは、単なる統計のマジックのようにしか見えないが、中都市235市のうち、過半数を占めているのは、大都市近郊の衛星都市群。大都市の性格を色濃く帯びている地域なのだ。反面、小都市はそれこそ全国津々浦々に遍在している。このような都市立地の違いが、両者の乖離につながっていると思われる。

図6.は、全国を6つのエリアに分けて、同居・近居意向を比較したものだ。一般に、東北地方や北陸など日本海側は同居志向が強く、西日本は、同居志向が弱いと言われ、国勢調査等でも裏付けられているが、この調査でもその結果を裏付けることとなった。

同居志向が強く、40%を超えているのが、北海道・東北と中部、2つのエリア。一方、同居志向が弱く20%台に留まっているのが、近畿と九州。同じ西日本に属しながら、中国四国は中部と同じような数値分布となっているのが特異だ。

近居志向は同居志向はど、エリア間で大きな乖離は認められないが、ここでも近畿と九州が30%を越えて、他のエリアを上回っている。この2つのエリアでは、同居志向と近居志向が緩やかなトレード・オフの関係になっているようだ。

「同居も近居もしたくない」が20%を上回ったのが、関東・近畿・九州の3つのエリア。ここでも都市部・都市近郊の特質が現れている。

最後に、現在の同居形態別に、同居志向、近居志向を押さえておこう(図7.)。今現在、同居している人が「同居したい」であれば、「同居を続けたい」という意思表示、「近居したい」という回答なら、「今の同居形態を改めたい」という意思表示になる。

現在の同居形態によって志向が著しく異なるという、とても興味深い結果となった。大雑把に言えば、三世代同居であれ、単身世帯であれ、今の状態を継続する声が最も多くなっているのだ。

たとえば、現在三世代同居の人の85.1%までもが、このままの同居形態を望んでいる。「同居も近居もしたくない」という回答は、わずか2.1%に留まった。

高齢者のいる世帯の中で、三世代世帯のプレゼンスは、約30年の間に実に小さくなった。高齢者のいる世帯(高齢者世帯ではない)のうち三世代世帯が占める割合は、1989年(平成元年)には、40.7%もの高率で、他の世帯類型を凌駕していた。ところが、2017年(平成29年)には、11.0%まで、急激に落ち込んでしまった(厚生労働省 国民生活基礎調査)。三世代世帯はいまやマイナーな存在なのである。とは言うものの、その生活満足度は高い。このままの暮らしを望んでいることからもそれが窺える。

対極の単身世帯も負けていない。「同居も近居もしたくない」という回答が38.1%に上り、選択肢の中でトップを占めている。「近居したい」を含めて、単身の生活を望む人は、70%近くに達している。「同居したい」は、わずか9.0%に過ぎない。単身世帯はこのままシングルライフを謳歌したいのだ。

「近居したい」という回答が最も多かったのが夫婦のみ世帯。実に43.5%に上り、他の同居形態と比べて突出している。夫婦のみ世帯が高齢者のいる世帯に占める割合は32.5%。単身世帯の26.4%、夫婦と未婚の子世帯の19.9%を引き離し、トップの座についている(厚生労働省 国民生活基礎調査 2017年)。

今や、高齢者のいる世帯のスタンダードになりつつある、夫婦のみ世帯。子世帯側の片利共生的な近居ではなく、「お互いさま」の関係に基づいたスマートな近居のスタイルが、主に都市部とその近郊において、今後のデファクトになってゆくことを感じさせられた。

   株式会社 日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男

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