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減る有訴者、減らない通院者という事実(3)

(2から続く)
 図5.は年齢階級別に見た、通院者率。通院者率とは、人口1000人のうち、けがや病気で病院や診療所、あんま・針きゅう・柔道整復師に通っている者の数を指す。

 有訴者率の年齢階級別増加カーブと比べると、大きな特徴が二つある。
 一つは、中高年以降になると、通院者率が有訴者率を上回るようになることだ。40歳を画期として、それよりも若い年齢階級では有訴者率が通院者率を上回る。一方、40歳以上の年齢階級では、通院者率が有訴者率を上回るようになる。しかも年齢階級が上がるほど、その差は開いてゆく。
 40歳以上になると、自覚症状にあまり訴えることのない生活習慣病に罹患する人が増えることも要因に上げられるだろう。

 今一つは、増加のカーブの始まりが比較的若い年代で、しかもそれ以上の増加カーブが、急激なことだ。通院者率は、50歳代から急激な増加を見せ始める。急増の起点が高い年齢階級にある有訴者率とは対照的だ。

 通院者率で驚かされるのが、その高さ。60歳代前半ですでに過半数に達し、80歳代前半でピークに達する。何と4人に3人が医療機関のお世話になっている。「医療費が財政を圧迫する」という見通しもこの数字を見れば納得できるというものだ。

 意外なのが、85歳以上の年齢階級の通院者率(714)は、80~84歳のそれを下回っていることだ。数値としては31とわずかだが、80歳代前半より低くなっている。それどころか、75~79歳の通院者率(724)をも下回っている。
 実はこの傾向は有訴者率にも見受けられる。85歳以上の有訴者率(512)は、さすがに75~79歳のそれ(484)を上回りはしているが、80~84歳(527)を下回っている。

 常識的に考えれば、年齢階級が上がるほど、有訴者率・通院者率も上昇しそうなものだが、85歳以上のこの「元気」の秘密はどこにあるのだろう?

 調査時点における85歳は現時点で87歳。つまり昭和6年以前に生まれた人たちということになる。おそらくその大半を占めているのは「昭和ひとけた世代」だろう。
 昭和ひとけた世代といえば、戦中、戦後を経験、青年期には、戦後復興の立役者として活躍し、激動の時代を生き抜いた世代と称されている。戦中・戦後の食糧難に思春期が重なるが、穀類・野菜・魚という和食中心の食生活を過ごし、おやつに蒸かしイモ・団子などの自然食品を中心に食べていた世代とも言える。
 このような食生活に支えられた、激動を生き抜く逞しさが「元気」につながっているのかもしれない。

 では、後期高齢者の通院の理由となる、症状・疾患は何なのだろう? 有訴者率で見たのと同様に、通院者率100を超える原因を列挙してみた。まずは男性。(図6.)

 圧倒的に多いのが高血圧症。約3割が通院・施療を受けている。2位の眼の病気に倍する、大きな「存在感」を示している。第3位には糖尿病、続いて腰痛症、前立腺肥大症。以上5つの症状・疾患が、通院者率100越えにランクインされた。うち、糖尿病と前立腺肥大症は、女性では通院者率100を超えていない。

 65歳以上の全高齢者と比べ、増加率の高いのが、前立腺肥大症(全高齢者比43%増)、腰痛症(同31%増)、眼の病気(同26%増)という順番に並ぶ。年齢と共に増加する症状・疾患と言えそうだ。

 対照的に、高血圧症や糖尿病では、後期高齢者だからといって増える症状・疾患ではないことがわかった。ことに糖尿病では、後期高齢者の方が若干とは言え、全高齢者平均を下回っている。意外な事実だ。(4に続く)

    日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男

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