データ図表だけをチョイスし、
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2016年3月22日
「ここ5年間ほどでバリアフリー化はどこまで進んだか?」に焦点を絞り込んだ内閣府によるユニークな調査が、平成27年3月に実施された。
いわゆる意識調査で、その選択肢も「十分進んだ・まあまあ進んだ・どちらとも言えない・あまり進んでいない・ほとんど進んでいない」の5段階評価。評価の基準はあくまでも主観なのだが、逆に鋭い肌感覚を反映したものだとも言える。
設問形態はいたってシンプルだが、評価の対象は極めて多岐にわたっている。
調査対象は全国の15歳以上の男女で、全国の性別・年代別人口分布を基に抽出した合計3,001名。
本コラムでは20代以上の年代別に、生活者のバリアフリーへの意識のいくつかを2回にわたって紹介することにする。
年代別の総合評価が図1.。バリアフリー化の進展に高評価を示したのは20歳代。意外ではあるが、それに次ぐのが60代。
この2つの年代は高評価が50%を上回っている。逆に最も評価が辛いのが50歳代で、僅差ではあるが、低評価が高評価を上回っている唯一の年代になった。
一見意外ではあるが、加齢による身体的変化を感じ始める年代でもあり、
親の介護という現実に直面し始める年代であることを考え合わせれば、おのずと厳しい評価になるのかもしれない。
上図2.は、大括りなカテゴリー別にバリアフリー化の評価を全年代に問うたもの。
建築物や公共交通機関は説明不要だろう。それ以外の「まちづくり」とは、商店街や都市公園、歩道など主に屋外施設のインフラ的なもの。「情報利用や各種製品」とは、通信機器や家電製品の操作性やマニュアルについて、メディアのわかりやすさについてのバリアフリー化を問うたものだ。(この4番目のカテゴリーについては次稿で詳述する。)
ここでは、カテゴリー間で大差がついた。最も評価が高いのが公共交通機関でそれに建築物が続く。
この2カテゴリーでは「進んだ」と評価する人が過半数を超えている。逆に最も評価が厳しいのが「まちづくり」の分野で、「進んだ」と感じる人は約3割に過ぎない。
「情報利用や各種製品」に対しての視線も同様に厳しく、「進んだ」と評価する人は4割にも満たない。
分野別に見れば概ね評価の高かった「建築物」カテゴリーだが、その種別・用途別にさらに細かく見てみれば、大きなばらつきがあることがわかった。(図3.)
評価が高いのが、「病院・診療所等医療施設」と「老人ホーム等福祉施設」。まあ、これは当然と言えば当然。それに「官公庁施設」が続き、この3種類の施設が、肯定的評価5割を超えている。
逆にアクティブシニアの利用が多い、宿泊施設、商業施設、運動・遊戯施設のバリアフリー化は意外に「進んだ」とは思ってもらっていない。最もスコアの低い「飲食店・料理店等」は約15%の人にしか「進んだ」とは認識してもらっていない。経営規模が小さな所も多く、投資が思うにまかせないという事情もあるだろう。
シニアがよく利用する、宿泊施設・商業施設の年代別評価をグラフ化したのが、図4・と図5。この両者には共通した傾向が見て取れる。いずれも年代が上がるほど、概ね、バリアフリー化への評価が高くなってきている。とは言え、最も評価の高い60歳代でも、「進んだ」と評価する人は半数に満たない。
またこの両者とも50歳代の評価が厳しく、商業施設に至っては、「進んでいない」が「進んだ」を上回っている。
調査はあくまで印象評価で、実際の取組みとは別かもしれないが「そう見られている」ということは冷厳な事実であり、決してゆるがせにすべきものではない。大規模な投資は困難にしても、小さなことから「配慮」をスタートさせることが、シニアに選ばれる施設づくりにつながってゆく。
日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男
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