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2016年4月6日
高齢者人口の増加に伴い、入浴中の事故が急速に増えている。厚生労働省の人口動態推計から推察される家庭の浴槽での溺死者数は、平成26年には4,866人。平成16年と比較すれば、この10年間で約7割も増加している。うち約9割は65歳以上の高齢者。年代別には75~84歳が2,106人と最も多い。増加率も後期高齢者ゾーンで極めて高く、85~94歳では10年間で2.3倍、75~84歳で1.7倍と増加率が際立っている。(図1.)
入浴中の事故は冬場の12~2月に集中している印象を受けるが、この3ヵ月が全体に占める割合は実は過半数に満たない。顕著に少ない夏場の7~9月を除けば、季節を問わず一定の事故死者が浴室内で発生しており、寒さが和らいでも注意を怠らないことが肝要と
言えそうだ。
消費者庁が平成28年1月にリリースした調査報告では、「入浴時の心がけは理解している」ものの、「実行に移せていない」傾向が明らかになった。本稿では、入浴時の事故を季節要因として「のど元過ぎれば…」ではなく、「過ぎたればこそ…」の思いを込めて、調査結果の一片をご紹介することにしよう。
図2.は入浴中に「ヒヤリ」とした経験のある人の率とそのときの状況を尋ねたもの。のぼせたり、意識を失ったりしてヒヤリとした人は全体の約1割にも上っている。インシデントの発生率としてはかなり高率ではなかろうか?
その当時の状況で最も多いのが「浴槽に長く漬かっていた」。次いで「体調が悪かった」。そのあと、「食後や飲酒の直後に入浴した」、「熱い湯に漬かっていた」がほぼ同数で続く。以上4つが、入浴時インシデントの代表選手と言えるだろう。
インシデント体験率がそこそこ高いこともあって、「入浴中の事故の実態」についての知悉度は高い。「高齢者に多い」、「冬の寒い時期に多い」ことは8割内外の人が知識として知っている。ただ、「持病がなく普段元気な人にも起こる」ことを知っている人は3人に1人まで低下する。「浴槽で非常に多くの死亡事故が発生している」ことを知っている人は約半数。この数字をどう見るかは評価の分かれるところだろうが、浴槽を道路に置き換えて考えてみればよい。「道路で非常に多くの死亡事故が発生している」ことを知っている人は100%だろう。それを考え合わせれば、この数字はお寒い限りではなかろうか?
では知識という観点から一歩進めて、「実践」という点ではどうだろうか?
図4.図5.は「冬の寒い日」という限定条件つきながら、「行っていること」と「気をつけていること」を問うたものである。
入浴に際して何の対策も打っていない人が4割弱。浴室やその周辺の暖房に関しても、2割弱から3割強の間の数字で、意識と実践の間には大きな開きがある。(図4.) 熱い湯に入らない、長時間漬からない、浴槽から急に立ち上がらないという「事故防止三原則」を留意する人の方が少ない。(図5.)
具体的な湯温も42℃以上の熱いお湯に漬かる人が4割弱もいる(図6.)のに加え、浴槽に漬かる時間も10分以上の「長風呂派」も3人に1人に上る。(図7.)
消費者庁では、入浴中の事故を防ぐために、以下の5ポイントに気をつけるべきと注意を促している。即ち、
1.入浴前に脱衣所や浴室を暖める
2.湯温は41℃以下、湯に漬かる時間は10分までを目安に
3.浴槽から急に立ち上がらない
4.アルコールが抜けるまで、また、食後すぐの入浴は控える
5.入浴する前に同居者に一声かけて、見守ってもらう
の5項目だ。
シニアの浴室での事故は交通事故を上回るとも言う。入浴事故防止のための啓発と対策はもっともっと講じられてよい。
日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男
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