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シニアが気になる「ぶっちゃけ」、「半端ない」

 文化庁では毎年、「国語に関する世論調査」で、最近よく用いられる言葉に関する「寛容度」を発表している。その年齢階級別の調査結果が面白い。直近のデータ(令和3年度)では、すごい(本来はすごく)、なにげに(同:なにげなく)、半端ない(同:半端ではない)、ぶっちゃけ(同:正直なところ)、見える化(同:実態などをわかりやすく示す)、みたく(同:みたいに)、ちがくて(同:そうではなくて)が取り上げられている。その中から本稿では、なにげに・半端ない・ぶっちゃけ・見える化と言った、比較的人口に膾炙した4つの言葉を使うか、気になるかという行動や態度を年齢階級別に考察してみる。

 本来は「なにげなく」が正しい叙法なのだが、意味的に正逆が入れ替わってしまっているのが「なにげに」という言葉。結構一般的に用いられている。図1.は、この言葉を使うか否か、図2.は気になるかどうかを年齢階級別に問うたものだ。

 二つのグラフで特徴的なのは、30~50代にかけての壮年層で、使う人が多く、気になる人が少なくなる傾向にあることだ。わずかな差だが、使う人の割合はは20歳代より40歳代の方が高い。50歳代までは、充分に認知されていると言ってよいだろう。

 一方60歳代以上では逆になる。使う人の割合は低く、気になる人の割合が髙い。ことに70歳以上ともなれば、使う人の割合は16.9%と2割にも満たず、言葉が気になる人の割合は59.6%と6割近くまで跳ね上がる。

 因みに、広辞苑では「なにげに」が立項されている。そこでは「何気ないの連用修飾の形として(中略)1980年代から誤って使われ始めた語形」と解説されている。立項されてはいるものの「誤って」ことを承知で掲載されていることに注意を払うべき言葉なのである。

 「半端ない」という言葉はどうだろうか(図3.・図4.)? この語形は、広辞苑には立項されていないが、「なにげに」とは異なり、意味が真逆になっているわけではない。本来送られるべきである助詞が省略されているにすぎないこともあり、「なにげに」よりは、シニアの支持率も幾分かは高い。60歳代でもこの言葉を使う人は41.3%に上る。それでも70歳代になると、使う人は22.1%と急減。この言葉が気になる人は逆に、54.9%と、急増している。断定による言葉の乱暴さや、やや下品な印象も受ける語感が、70歳以上に敬遠される理由の一つなのかもしれない。

 次に「ぶっちゃけ」という言葉について見てゆこう(図5.・図6.)。広辞苑には「ぶっちゃける」が下一段活用の他動詞として立項されており、「ブチアケルの転」と付記されている。語意は2つあるが、「隠すことなく語る」がいわゆる「ぶっちゃけ」に近いだろう。

 この言葉、シニア層ことに70歳以上にすこぶる受けがよろしくない。言葉を使う人はわずかに10.4%、気になる人は65.7%と3人に2人に及ぶ。逆に「ぶっちゃけ」を使うと答えた人の割合は30歳代が最も高く70.6%にも上る。この言葉に関しては、若い世代とシニア世代では真逆の言語感覚なのである。

最後は「見える化」という言葉(図7.・図8.)。広辞苑には立項がない。明鏡国語辞典では、接尾辞としての「化」が立項され、「そのような性質・状態を作る」という説明が施されている。ただ拭いきれない違和感があるのは、接尾辞「化」は名詞などにつくことが通例だからだ。機械化、高齢化、グローバル化など、ほとんどは名詞に付いている。

 本稿で取り上げた他の3つの言葉と比べた場合、ビジネスシーンで普通に使われていることが特徴。文字として定着されることが多いことも特徴として挙げられるだろう。しかし「見える化」という言葉を使う人の割合は、全世代を通じて高いとは言えない。最も高い40歳代でも、36%に留まっている。最も低いのは70歳以上で16%に過ぎない。逆に気になる人の割合は、どの世代でも等しく30%を超え、70歳以上では、過半数の52.9%と各年齢階級の中で最も高くなっている。この言葉を使う層は、意外に限定的なのかもしれない。

 シニアにとって、耳障りな気になる言葉は避ける方が賢明であるようだ。

   ㈱日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男

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