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white paper【18】シニアを雇用する企業が知っておきたい「ワーキングシニア10のキーワード」を公開しました

 2020年10月から12月にかけて、当シニアマーケティング研究室では、ワーキングシニアの就労実態と就労意識についての定量及び定性調査を実施しました。

 その中で多くの興味深い結果が得られました。暦年齢を基準とした、現役vs老後・余生という概念は、意識の上では最早過去のものになりつつあり、定年も形として残るが「働ける間は働くが当たり前」というリタイアレス時代が来ているということが、今回の調査から明らかになりました。

 本稿は調査結果から、シニアを雇用する、またはこれからシニアの雇用を考えている企業様、ご担当者様にぜひ知っていただきたいポイトを、10項目に厳選してそれぞれ考察を加えたものになっています。

 御社の採用、勤務管理等のご参考にしていただき、ひいては御社が目指す健康経営の何らかのヒントが提供できれば幸いです。

1.「60歳以上」は一律ではない
2.健康維持を目的に働く人は、半数近い
3.75歳以上男性は、経験を生かす
4.「非生活原資のためにお金を稼ぐ」が過半数
5.働く意義は、「健康」と「充実感」
6.シニアの過半数は、ハッピーに仕事
7.仕事の量が少ない!のが悩み?
8.働くシニアは「可能な限り働きたい」
9.男性70歳で賛否が分かれるテレワーク
10.テレワーク不可の職場に偏る女性

 10のキーワードの中には、「やはりそうか!」と首肯できるものと、「意外だ!」と気づかされたものが、混在しているかと思います。
 それではエビデンスとともに、それぞれのポイントを考察してゆきたいと思います。

 一言でワーキング・シニアと言っても、性別・年齢別に全く異なる様相を呈していることが調査の結果明らかになりました。

 図1.は60~64歳に男性に働く意義を問うたもの。「所得」が圧倒的な1位を占めていることがわかります。この層の多くは、60歳定年後の雇用延長期間にあるか、もしくは、65歳定年を間近に控えた人たちでしょう。

 おそらく、その勤務観は、50歳代のころと、それほどの差はなく、家や家族を守るための勤務だと考えるのが普通ではないかと推察します。

 従来なら50歳代が覚えていたであろう職業観が、人生100年時代を迎え、後ずれしきているのかもしれません。

 図2.は70~74歳女性のケース。「所得」が同じく1位ではあるものの、60~64歳男性に比べ、就労に対する価値観の振れ幅が、ずいぶん豊かになってきているとお気づきだと思います。複数回答の回答数自体も大きくなっていて、就労に関して多様な意義を感じていることが窺えます。

 このように、一つを取り上げても「働くシニア」はワンパターンではありません。多分に制度設計によるものとは言え、きめ細かな対策が必要になります。

「働く」ということと「健康」が密接にかかわっていることがわかりました。それも働く条件としての「健康」ではなく、「健康」は目的で、その手段が就労であると、言わば主客転倒の価値観が生まれているのです。 

 図3.回答者全員に働いている理由を問うたもの。「健康を維持したいため」と答えた人は、135人。全体の50%にあたる150人にまで届こうかという数字です。

 生産性を上げるための健康経営から一歩踏み込んで、健康増進につながる就労
環境をどう作り出すかが、シニアにも、ミドルにも、選んでもらえる職場になるはずです。

図3.働いている理由

75歳と言えば、すでに多くの方が、労働市場から離脱しています。70歳以上男性
の就労率は、24.7%。4人のうち3人までが、就労から去ってしまっています。(2019年年報「労働力調査」)。

 そんな状況の中で、労働市場に残っている人は、現在では「専門性を有している」人がほとんどです。今の75歳以上は年金もそこそこあるし、働かなくても問題はありません。(但し、10年後もそうであるかはわかりません)

 結果として、労働動機は「知識や経験を生かす」ことに重きが置かれます。近い将来、「労働市場から足を洗っても差し支えない」時代が来るとすれば、これはシニアの問題ではなく、ミドルに突き付けられる重い課題になりえます。

図4.働いている理由のうち、最もあてはまるもの

「お金のためだけに働くのではない」と考えるのは、後期高齢者だけではありません。図5.は調査対象の全年齢階級に対して、「働く理由」を単独回答で尋ねたものです。

 全回答数の中で「生きていくためのお金を稼ぐため」という回答は、合計で149回答でした。50%にあたる150人にも満たない数字です。裏から見れば、過半数のシニアの「労働理由優先順位1位」は、お金以外のところにあるのです。

 シニア層の雇用の問題は、金銭的なインセンティブを設けるだけでは解決しないと肝に命じておくべきでしょう。

図5.働いている理由のうち、最もあてはまるもの

 下図は、リアルな労働理由ではなく、回答者が本来感じている、労働の意義や職業観を尋ねたものです。今後多数が労働市場に留まると思われる、65~69歳の男女を代表させました。

 所得はともかく、就労の意義を「健康」、充実感に求めていることがわかります。ここで留意したいのは、「健康・充実感」そのものが目的化していることです。労働の前提条件や手段ではありません。

 「健康経営」という言葉が定着してきました。この言葉を「シニアの労働生産性を高めるための手段」と考えるなら、大きな間違いです。 

 仕事上の問題点や悩みを尋ねた設問では、意外な答えが返ってきました。調査対象300名のうち、過半数の156名が「あてはまるものはない」と回答を寄せていました。

「その他」という選択肢も設けていますので、これは即ち「問題点や悩みがない」ということに他なりません。他の選択肢を寄せつけない、圧倒的な回答数です。

 シニアの仕事と言えば、従来、どちらかと言えば暗いイメージが先行してきました。ところが調査結果からは、前向きで溌溂とした就労イメージが浮かび上がってきます。

 もちろん、加齢現象により、シニア特有の注意点はあるものの、シニアだからと言う負の見方は払拭すべき時に来ていると言えるでしょう。

図8.仕事をする上で、問題点や悩んでいることはありますか

 前項と設問のにはもう一つ意外な回答結果が現れました。それは、「仕事の量は少ない」という悩み(?)です。とくに70~74歳男性の年齢階級に顕著な傾向で、「あてはまるものはない」、「給料・待遇が悪い」に続いて第3位の回答数になっています。40名のうち、7名の回答ですので、かなりの比率になります。

 ある意味、ぜいたくとも言えるこの悩みを雇用側はどのように解釈すればよいのでしょうか? それは、むやみに年寄り扱いせず、適切な負荷のかかる職務を提供することです。年齢に応じた過度な忖度は、仕事に対するシニアの誇りを奪ってしまうことにつながりかねません。

 最も、高度成長期に職業生活に入った彼らの年代はハードワークが身体にしみついています。過剰な労働には、常に気を配ることが大切になります。

図9.仕事をする上で、問題点や悩んでいることはありますか

 「いつまで働きたいか」の質問の回答で、圧倒的に多かったのが、 「可能な限り働きたい」。257人(約86%)がそう考えていることがわかりました。

 年齢階級別にみると、75歳以上がことに高率で、男女とも年限を区切った人は一人だけで、残り全員が「可能な限り働きたい」と回答しています。比率で言えば、97%にも上ります。労働市場に残っている少数の後期高齢者の労働意欲は極めて高く、生涯現役を目指していると言えます。

 好むと好まざるとにかかわらず、「生涯現役」は、諸事情からデファクトになるだろうと思われます。労働市場に残れるだけの、身体的あるいは能力的リソースが蓄えられているかが、今後はミドル世代に問われます。

 シニアの就労の現実を知ることは、ミドルへの対策をどう考えるかという課題を投げかけているのです。

図10.あなたは、何歳まで働き続けたいと思いますか。あてはまるものをお知らせください。

 「テレワーク」という新しい働き方の是非について、アンケートの最後に自由意見としてうかがってみました。どの年代からも多くの意見が寄せられましたが、やはり男女と年齢階級で受け止め方に差が出ました。

 男性では、60歳代では概ね、「テレワーク」を好意的に受け止め、自分の職種への導入を歓迎する節が見受けられました。

 一方で、70歳代では、評価がばらつきました。可能性を評価しながらも、自分の仕事では無理だとする声や、テレワークできる環境にあるにも関わらず、導入に慎重な態度もうかがえました。75歳以上では、可能性があり評価する意見と、可能性がなく評価しないと、2つの象限に大きく大別されました。

図11.70~74歳男性テレワーク等への対応・意見等(クリックで拡大)
※それぞれの見解のポジショニングは、厳密なものではなくあくまでイメージです

 「テレワーク」という新しい働き方の是非について、アンケートの最後に自由意見としてうかがってみました。どの年代からも多くの意見が寄せられましたが、やはり男女と年齢階級で受け止め方に差が出ました。

 男性では、60歳代では概ね、「テレワーク」を好意的に受け止め、自分の職種への導入を歓迎する節が見受けられました。

 一方で、70歳代では、評価がばらつきました。可能性を評価しながらも、自分の仕事では無理だとする声や、テレワークできる環境にあるにも関わらず、導入に慎重な態度もうかがえました。75歳以上では、可能性があり評価する意見と、可能性がなく評価しないと、2つの象限に大きく大別されました。

図12.60~64歳女性 テレワーク等への対応・意見等(クリックで拡大)
(全体:n=40:MA自由意見)
※それぞれの見解のポジショニングは、厳密なものではなくあくまでイメージです

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https://nspc.jp/senior/archives/12251/

調査概要
● 調査時期 2020年10月
● 調査方法 インターネットリサーチ
● 調査地域 全国 
● 調査対象 60歳以上の仕事を持つ男女、計300名
      60~64歳男女各40名
      65~69歳男女各40名
      70~74歳男女各40名
      75歳以上男女各30名
● 調査事業者 ㈱日本SPセンター シニアマーケティング研究室
● 調査協力 ㈱アスマーク

設問一覧
● 回答者属性
・ 婚姻状況 
・ 職業 
・ 同居家族 
・ 住居形態

● 就労実態
・ 現在の働き方に至るまでの経緯
・ 現在の働き方にあてはまるもの
・ 家庭の月の収入について(勤労所得)
・ 家庭の月の収入について(年金収入)
・ 家庭の月の収入について(その他の収入)

● 就労意識
・ 働いている理由(複数回答/単数回答)
・ 就業で得たお金を何に費やすか
・ 職業観、働くことの意義
・ 仕事をする上での問題点や悩み
・ 何歳まで働き続けたいか。
・ 働くことにより増加した時間
・ 働くことにより減少した時間
・ テレワークへの対応・意見等

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体裁:PDFデータ(全244ページ、ダウンロードのみ)
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「調査報告書本編」の内容

● 全ての調査項目の回答(5歳刻み、男女別)
● ディプスインタビューの記録(60歳代男女・70歳代男女計4名)
● ワーキングシニア20のキーワード

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