シニアのQOLに健康が何よりも重要なのはいうまでもない。医療・医薬、健康維持のためのアプリ、フィットネス関連、そして予防衛生関連製品までシニアの視線が注がれている。
この季節、高齢者のインフルエンザの集団感染がよく報じられる。先日も和歌山や香川の高齢者施設で集団感染が発生し何人かの高齢者がなくなっている。体力のある年代でさえ注意を要するインフルエンザ。高齢者は気管支炎や肺炎などを合併し、重症化する確率が高くなる。
出歩くことの多い私も他人ごとではない。予防注射はもちろん、予防に欠かせないと言われている「マスク」「うがい」そして「手洗い」もできるだけするように心がけている。
シニアにとっては予防に欠かせない「手洗い」に使う石けんや洗剤が気にかかる。そんな時、無添加石けんで注目されている「シャボン玉石けん」の工場を見学する機会を得た。実はカミさんの知り合いから肌が荒れないということで勧められて無添加の石けんを使い始めたが、それが「シャボン玉石けん」だった。そんなこともあり、工場を見てみたいと思っておじゃました。
http://www.shabon.com/environment/factory.html
昨今、工場見学はさまざまな企業で日々の活動の中に取り入れられている。「シャボン玉石けん」でも消費者への自社製品のアピールというよりは、小中学生なども含め地域の人たちに対して、環境・社会活動の一環として石けんや洗剤と身体や環境との関わりを理解してもらうために工場見学を実施しているようだ。
詳しく書くと長くなるので印象的だった、2つのポイントを挙げておく。
ポイント1:石けんを作る過程で材料を釜で過熱するのだが、その場の製造技術者から「わたくしどもでは、舌で舐めて仕上がりを確かめています。」といわれて驚いた。石けんを舐める?と思ったが好奇心から、あくまで自己責任で、ほんの少し口に入れてみた。無添加ということなので、とくに味や香りはなかったが少しヤシの実の油のニオイがした。
これに注目したのは高齢者、とくに認知症患者の誤食が問題になっているが、もし石けんを誤って食べてしまった場合もダメージが少なくてすむのではないかと感じた。もちろん誤食には十分注意して、防ぐことが大前提ではあるが。
ポイント2:検査をする女性が素手で石けんをチェックされていたことである。自分の手でチェックすることで手袋を通して感じるものよりもっとシビアに検査できるためだろう。彼女たちの手は一日に何千個も石けんに触れることになるが、とくに肌が荒れるということはないという。それが無添加の良さのせいだとしたら心惹かれるところだ。
工場を見た後、マーケティング担当者にシニアと石けんの関わりを聞いてみた。昨年末にシニア向けの定期購読誌に「手洗い」をテーマにした記事風の広告を出したところ大きな反響があったという。反響から読み取れることは、無添加ということが安心・安全・体に良いというイメージにつながっていること。自分だけではなく孫のことも考えてという声が多かったそうだ。
「手洗い」の他に無添加石けん洗剤で下着を洗えば、敏感肌やかゆみ(アトピーやアレルギーも含め)なども解消されるのではという期待もあるという。私も冬場の乾燥期になるとアトピーの痒みで悩まされているので興味深い。ちなみに「シャボン玉石けん」の洗濯用石けんは日本アトピー協会推薦品とのこと。
さらにアンケートでのシニアの「オーラルケア」への関心の高さに驚いたという。かなり以前の記事になるが、日本経済新聞の“認知症を防ぐには”(2011年2月27日)で日本福祉大学の近藤克則教授が神奈川歯科大学と実施した調査から、歯を失うと認知症の発症リスクが高くなるという結果が紹介されていたのを思い出した。
シニアが口腔の健康に注意を払おうとしている現れの一つだろう。孫に口臭で嫌われるのを避けたいという気持ちもある。そんな中でハミガキは口に入れるという点で、シニアに無添加の石けんハミガキの安心感がアピールしたのかもしれない。
最後にシニアマーケティングとして注目したいのは「シャボン玉石けんアンバサダー」という取組みである。
https://form.ambassadors.jp/shabon/form/?id=ambassadors
「シャボン玉石けん」の愛用者(シニアに限らないが)にその良さを広める『大使(アンバサダー)』になってもらおうというものである。シニアの中には同じ製品を長く使い続けている人も多い。そうした製品の良さ、とりわけ安全性について「長年使い続けている」というような口コミは非常に説得力がある。アンバサダーにそうしたシニアを上手く取り込んでゆければさらに効果があるに違いない。
シニアマーケティング研究室 室長 倉内直也
2024年10月30日
2024年9月25日
2024年8月21日