データ図表だけをチョイスし、
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2020年7月17日
飲料と同じく、食料品消費支出の一角を占める「出前」はどうだろう? (余談だが官公庁資料では「テイクアウト」という和製英語を使わずに、日本語古来の「出前」と用いているのも好もしい。図4.)
ネットによる出前の支出も、すべての年齢階級で、前年同月を上回っている。ネットに関わらず、多くの消費支出を牽引する50歳代がここでも、存在感を見せている。
他の年齢階級別を見れば、ほとんど偶発的な伸びを示している29歳以下を除くと、概ね140~160%の増加率に収まる。その中で、実数値は小さいながら、80歳以上の約190%という増加率が異彩を放っている。この傾向はコロナ禍特有のものだろうか?
外食配送市場全体では、コロナ以前から市場は拡大傾向にあった。富士経済の調べによると2019年の国内市場は2936億円。これは前年の4.9%増に相当する。「Uber Eats」などの仲介サービスの充実や軽減税率の適用も市場の拡大を後押ししたと言われる。
ことシニア層で見る限り、その趨勢を堅守しているのが、70歳代と80歳以上の年齢階級である。異彩を放つのが60歳代。ネットの出前支出が「コロナ特需」的な爆発的増加という様相を見せている。(図4´)
その理由は定かではないが、時間的にも金銭的にも比較的余裕のある60歳代の活発な動きが抑制され、その分が「出前」に転嫁されたというのも、あながち穿った見方ではないと思う。外向的消費が巣ごもり消費に一時姿を変えたものだと考えれば、納得も行く。
ネット支出の数ある消費項目の中で、前年同月を最も大きく上回るものの一つが家電。(図5.)年齢7階級のうち、6階級までもが、前年同月を200%以上上回った。まさに「倍販」を地で行っている。ネットに限らず、リアル店舗でも、今家電は絶好調のようだ。
内閣府の消費動向調査によると、消費者心理を示す消費者態度指数(2人以上の世帯、季節調整値)が4月に過去最低の21.6を記録。それが6月は28.4まで持ち直している。5月はその成長途上にある。それまでの買い控えの反動、1人10万円の特別定額給付金の支給も背中を押した。「高額家電を買い求める家族客の姿が目立った。20万円前後の製品もあるドラム式洗濯機の販売量は2倍以上となり、同店の売上高は前年同月の週末に比べ4割増となった。」家電量販店の声を日経ではこのように報じている。
果たして家電はこの好調ぶりを持続できるのだろうか?その答えは、さらに1年遡ることから見えてくる。(図5´)
シニア層3つの年齢階級とも、2018年(5月)~2019年(同)の伸びは、いずれも微減もしくは微増。ところが2019年(5月)~2020年(同)では一転して急増している。これだけを見れば家電バブルのようではあるが、内省的な生活の充実という生活意識が定着すれば、勢いを持続させることは大いに有り得る。そしてこの新しい生活意識はシニアにより強く響いてくるだろう。
家電と同じく高額な耐久消費財である家具はどうだろう?(図6.)ネットの支出額は年齢と全くの逆相関を示し、支出額も前年同月比も年齢が上がるほど、小さくなっている。
市場全体では、緊急事態宣言による外出自粛要請に伴い巣ごもり需要の高まりを受け、収納整理用品やキッチン・ダイニング用品、ホームオフィス家具の売上が大きく伸長。その「勝ち組」の旗手としてニトリがマスコミ等で頻繁に取り上げられている。同社のニトリネットも好調なようだ。ただどうやらその恩恵は若い世代に厚く、シニア世代には薄いようだ。
シニア層の年齢階級間で見ると、60歳代が健闘している。2019年(5月)に一旦は減少したものの、2020年(同)には、一転して急上昇している。
働き方がますます多様になるウィズ・コロナの時代。自宅のオフィス化などテレワークに関連する需要も、今後一定の存在感を保ち続けるだろう。(③に続く)
株式会社日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男
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