データ図表だけをチョイスし、
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家計消費状況調査では、購入頻度が少ない高額商品・サービスの消費やICT関連消費の実態を毎月調査している。近々には、2020年5月分の単月の結果が、7月7日に公表された。折しも、コロナによる緊急事態宣言が発出中の状況であった。この影響は果たして、シニアのネットショッピングにどのような傾向をもたらしているのか? 2019年5月の単月の数値と比較してそのファクトに迫りたい。
その前に、シニアのネットショッピングについて若干おさらいをしておこう。2002年(平成14年)時点で、世帯主が高齢者の1世帯当たり1か月のネットショッピング支出総額は、わずか479円に過ぎなかった。それが11年後の2013年(平成25年)には、2,065円と、約4.3倍にまで急速に伸びている。直近、2019年(令和元年)には、7,373円と、さらにその3倍以上の驚異的な伸びを示している。2002年比で、15.4倍という成長率である。
分母をネットショッピング利用者に絞れば、シニア層のプレゼンスはさらに大きくなる。2015年(平成27年)のデータでは、支出金額が最も大きいのが、50歳代の407,988円。これは全世代を通じて第1位だが、60歳以上では、399,336円、70歳以上でも、387,804円と堂々たる数字を記録。利用している世帯の利用金額は大きく、潜在購買力は強い。
図1.は、年齢階級別にみたネットショッピングへの支出総額の変化。すべての年齢階級で、2020年5月の支出額が上回っている。その増加率は、109~150%の範囲内。50歳代の増加率が最も低く、109%。そして最も高い150%は、なんと80歳以上が記録している。もともと実数値が低いので、伸びしろも大きいのは当然だが、意外な数字ではある。
この傾向は、単年の同年前月比に特有の現象なのだろうか? それには、さらに1年遡って、増減の基調傾向を見定める必要がある。
図1´は、2018年・2019年・2020年の各5月の数字を比較したもの。これで見るとシニア層においては、ここ1年の増加は、基調傾向の延長線上にあることがわかる。その中で、80歳以上の伸びが際立って高いのは、感染リスクに敏感な後期高齢者層の社会的距離への切実な不安の裏返しでもあるだろう。
ここからは、個別の消費品目を見てゆくことにする。まずは食料品(図2.)。消費支出全体よりも、単年の伸びの大きな年齢階級が多い。伸び率の分布は、約150%から、約250%と高水準にある。とくに29歳以下、70歳代、80歳以上では200%を超えている。
シニア層に的を絞った、過去3年次の5月単月比較では、年代によって異なった傾向が読み取れた。(図2´)
60歳代では、以前から続くネットショッピング増加傾向がそのまま持続している。2020年5月では、コロナ禍がそれにドライブを掛け、増加に拍車がかかったとみてよい。
一方70歳代では、2019年5月時点では、前年から微増という程度。それが、2020年5月に一気に増加率を上げたのはコロナの影響が大と認めざるを得ない。
80歳以上となるとコロナの影響はさらに大きくなる。2019年5月時点で、「ネットによる食料品購入」の機運は一旦下げ止まっている。それが、2020年5月時点で一気に反転攻勢になった背景には、それより若い世代より、より切実な感染への恐れのせいでもあろう。
食料品の中から飲料だけを抽出して比較したのが、図3.のグラフ。一般にミネラルウォーターや果汁飲料にとって、5月はピーク期の7月を控えた助走期間でもある。ましてやコロナ下の本年は、3~4月の備蓄需要も経て、5月の実需にはそれほどプラスがあるわけではない。しかしながら、ネット購入は旺盛である。
シニア層に的を絞った、過去3年次の5月単月比較を見ても(図3´)、飲料のネット購入はもともと成長分野であることがわかる。シニア層の各年代共に過去の成長曲線の延長線上にある。ことに60歳代、80歳以上で前年同月比150%以上の高い増加傾向を維持できている。(②に続く)
株式会社日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男
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2021年1月13日
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2020年12月21日