データ図表だけをチョイスし、
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食品宅配サービス市場が伸びている。高齢者世帯や共働き世帯、子育て世帯の需要の取り込みが見込まれ、2019年には2兆円を上回る市場規模になるとも予測されている。
食品宅配サービスは、高齢者にとって「低栄養状態」を防止するという大きなメリットがある。
一方で、「孤食化」がさらにすすみ、「うつ」を助長するのではないかという懸念も免れない。
それを補うために地域での「会食」に取り組む事例も最近では目立つようになってきた。
このような背景の中、農林水産省では、2014年に「高齢者向け食品・食事提供サービス等実態調査」を実施した。
対象としたサービスは、「配食サービス」「食材宅配サービス」といった食品宅配サービスのみならず、「会食サービス」及び「介護食品」と4種にわたる。
この調査で興味深いのは調査対象を2つに分けていること。
調査Aは、元気高齢者本人に答えてもらう形式。一方の調査Bは、介護・介助を必要とする人について介護・介助者から答えてもらうものである。
この両者の対比からも、一括りにはできないシニアの多様性が見えてきて興味深い。
上図は、食品・食事提供サービスの利用状況のデータ。図1.は元気高齢者、図2.は介護・介助を必要とする高齢者への設問結果である。
元気高齢者では、いずれも9割以上、すなわちほとんどが利用していないという結果が出た。
サービスとしての歴史が浅いことに加え、まだまだ「自分ゴト」化していない様子が窺える。「食材宅配サービス」のみが、10%に届こうとしている。
一方、介護・介助を必要とする人では、配食サービスの利用者が最も多く、利用を検討している人が20%を超える。
次いで介護食品が利用検討者を含めて20%に迫るスコア。
食材宅配サービスは、元気高齢者と異なり、第3位に留まっている。調理することに対する負担が数字に表れているのだろう。
会食サービスは、まだ耳慣れないサービスでもあり、利用検討者を含めてわずか7%に留まっている。
サ-ビスの利用決定者(図3.)は、配食サービスと介護食品では、「子」が最も多く、食材宅配サービスでは本人の意思決定が最も多い。
会食サービスは、ケアマネージャーの影響力が強いことが際立っているが、N値が小さいこともあり、今後の状況を見守っていかないと現状では断は下せない。
では、それぞれのサービスの利用理由は何なのか? 介護・介助を必要とする高齢者への質問と答を見て行きたい。
配食サービスの利用理由(図4.)で、もっとも多いのが「栄養バランスのある食事がとれるから」で、54.1%の人が挙げている。
食事の栄養バランス(多品目摂取)は、高齢者の身体的・精神的な健康を維持する上で、とても重要なファクターになっていることが周知され始めたこともあるだろう。
2~5位には、困難や省力化に関するニーズが並んだ。
最近では、安否確認とのセットでサービスを提供しているケースも多い。多くは行政との連携による。
「見守り、声掛け等のサービスが付いているから」という理由で配食サービスを利用する方は、12.2%とまだまだ少ないが、多様なサービスとの複合形態が今後は主流になるだろう。
今後競合他社の参入は一気に加速することが予測される。それまでに差別化できるポジションを確保しておくことが、競合優位の最大のポイントとなるからだ。
「配達員が室内まで入り交流を行う」、「容器回収時に弁当を食べていない場合は声かけを行う」など、利用者との信頼関係を密にすることで競合優位を保つケースや古紙回収サービスを付与しているケースなど、すでにその萌芽は見えてきている。(「下」に続く)
日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男
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