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根強く浸透! シニアの国産食品信仰

 農林水産省による「食生活・ライフスタイル調査」によれば、食に関して重視していることの10項目の中で、シニア世代(当調査では65~74歳)に最も支持されている項目が「できるだけ日本産の商品であること」が明らかになった。男女ともに「同じような商品であれば、出来るだけ価格が安いこと」を押さえての堂々の1位である。ここまで国産志向が強いとは驚きである。(下図1.2.)

 この国産志向は男性より女性でより高く支持されており、66.6%にも上る。3人に2人までが、国産品を重視していることになる。女性全体での国産品重視率は、39.0%なので、この年齢階級の国産志向がいかに際立っているかが分かると思う。

 上図3.4.は、国産品重視の率を、より詳細に年齢階級別に見たものだ。男女で共通しているのは、年齢階級が上がるほど、国産品重視の傾向が強まっていること。男女とも正しい相関関係にある。男性と女性を比較すると、どの年齢階級も女性が男性を上回っている。

 興味深いことは、女性-男性の「性差」も年齢階級によって開きが異なることだ。15~24歳では、2.3%、25~34歳では2.4%と若年層では男女間で際立った開きはないが、35~44歳では9.7%、45~54歳では18.4%、55~64歳では18.0%と開きが大きくなってくる。そして65~74歳のシニア層では10.1%と逆に開きがやや縮まってくる。男性でも、高齢者になれば国産品を重視する人が5割を超えるほど多くなってくるのだ。

  上図5.と6.は、生鮮食品への国産選好傾向を表したグラフ。ここでも、年齢階級が上がるほど、男性より女性が国産品重視の傾向が見て取れる。「米、野菜、精肉、鮮魚など生鮮品はできるだけ国産を選ぶ」という購買態度に関して、「非常にあてはまる」・「ややあてはまる」と答えた人の割合が最も高かったのが、65~74歳女性の84.2%。5人に4人以上が、国産生鮮品を選ぶという高率の数字となった。この年齢階級では男性も高く、合計で78.0%に上った。

 それとは逆に最も低かったのが15~24歳の男性で、合計46.3%。65~74歳と比べて、実に37.9%という大きな開きとなった。

 一方、生鮮品以外の加工食品ではどうだろうか(上図7.8.) ? こちらも65~74歳女性が最も高く、77.8%。加工品でも国産品選好の度合いが生鮮品に負けず劣らず高い。

 生鮮品・加工品双方に共通して言える特徴は、男性と女性でグラフの波形が異なることである。女性の場合、年齢階級が上がるほど、国産品選好の度合いが正しい相関で高まっている。それに比べて男性では、15~64歳の間の各年齢階級ごとに際立った差異はない。65~74歳のシニア層のみ、国産品選好度合いが頭一つ抜きんでる格好になった。

 シニアの国産食品信仰は総じて根強いものがあると断じざるを得ない。

    (株)日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男