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「シニアの労働参加で経済活性化を!」ミニ白書が提言

 昨年末に内閣府が発表した、日本経済2015-2016。毎年この時期に公表される報告書は「ミニ経済白書」とも呼ばれ、タイムリーなテーマにスポットを当ててデータを紐解きながら論考・提言している。昨年末のミニ白書では、その第2節に「高齢者の消費と就労」がテーマとして取り上げられている。
 その中では、

① 健康寿命の上昇などに伴い、以前に比べて消費や就業といった
 経済活動に積極的
② 所得・資産状況や健康状態などの個人差が大きい

という、シニア層の特性も踏まえつつ、消費や就労の動向を分析し、より積極的な経済活動への参加に向けた課題を抽出している。
 本コラムではその中のいくつかのデータ、及びそれにより明らかになってきた課題をかいつまんでレポートしてみたい。

 60歳以上のシニア層が消費支出全体に占める割合は2014年現在で50%に肉迫している。マクロ経済におけるインパクトの強さは圧倒的なところまで来た。
 40~60歳代、39歳以下の世代の個人消費は2000年以降共に長期低落傾向にあるのに引き比べ、60歳以上の年齢層では、2000年の約30%から14年間で20ポイント近くまでシェアを伸ばしたということだ。(図1.)

スライド1

 60歳未満と60歳以上の2つの分類で1世帯あたりの支出を比べるとさすがに水準としては劣るものの、(図2.)全体の世帯数に占める高齢者世帯のシェアの上昇により、シニア層の消費インパクトが増大しているとミニ白書では見ている。

スライド2

 統計処理を施して、前年比の伸長や低減に何が貢献し、何が足を引っ張ったのか要因分析したのが図3.。60歳未満の消費額・60歳未満の世帯数・60歳以上の消費額・60歳以上の世帯数の内、どれが功労者で、どれが戦犯かわかるようにしたものだ。これによれば、60歳以上の世帯数が一貫してプラスで寄与している功労者であることがわかる。また、60歳以上の消費額の貢献度もまんざら捨てたものではない。

スライド3

 図4.は、10大費目分類別で見た、1世帯あたりの消費支出の構成比の差。プラス方向にある消費品目がシニア層に特徴的な消費だということだ。これを見れば、教育と住宅という2つの荷物を下ろした「2おろし世代」の消費が、時間消費・コト消費に変化してゆく姿がよくわかる。

スライド4

 「2おろし世代」についてのアーティクルはこちら↓

シニア年齢の後ズレと「2おろし世代」

 以上のように、シニア層をマクロ的に捉えれば、消費支出全体は拡大しているのだが、ミニ白書では、勤労世帯と無職世帯は異なった消費行動をとるとし、それぞれの可処分所得や消費支出、消費品目を比較している。

 では、シニア層の所得・支出面での二極分化はどうのようになっているのだろう?

スライド5

 図5.は60歳以上の世帯における、1世帯あたりの可処分所得と消費支出額を勤労者世帯と無職世帯で比較したもの。可処分所得は勤労者世帯が無職世帯を16万円上回っている。消費支出も約7万円大きいという。消費品目の構成も資金の余裕を反映したものになっている。(図6.)

スライド6

 このようなファクトに基づき、ミニ白書では、「現在就労していないが、希望する高齢者が職に就き安定した収入を得ることができれば、消費支出もより積極的になる可能性が高い。これは、経済全体の消費に対してもプラスの効果を持ちうると考えられる。」と結んでいる。

 問題は、就業を望む人がどれだけ存在するかである。
 図7.は無業者の就職希望の有無と就業を希望しない理由別に分類したもの。
就業できない理由の大半が病気・高齢なのは当然としても、就業希望の無業者、特に理由はない、その他など、旗幟鮮明ならざる人数が結構存在するのだ。その数合計563万人と無視できない数ではある。

スライド7

 悲しいことに日本では、まだまだ雇用形態が硬直化し、シニア層のニーズとの乖離も大きいが、シニア層の労働形態の多様化こそ、喫緊の急務であると教えられた。

      日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男

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