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「半労半休」が生む、フローの争奪戦が始まる!

働くシニアが増えている。2014年の就業率は、
60~64歳で前年1.8%増の60.7%。
65~69歳で前年1.4%増の40.1%を記録した。
雇用延長、再雇用が一般的になった60代前半の層はともかくとして、
年金を受け取る世代の60代後半のうち、
今や5人に2人が働いている時代になった。
男性の就業率は50.5%と、過半数を占めているから驚きだ。(図1)

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就業者の中でも、雇用されている人が多いのが特徴。
特に非正規の雇用の伸びが著しくその傾向は、男性・女性を問わない。
(図2、図3)
かつては働く高齢者と言えば自営業主が大半だったが、
今は流通・介護など人手不足の業界で雇われる人が多いようだ。
(5月27日付の日経電子版の記事より)

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興味深いのが図4のデータだ。
「時系列に見た就労希望年齢」では
「働けるうちはいつまでも」という回答が、
平成20年度に比べ、平成25年度では7.3%も減っている。
一方、「60歳ぐらいまで働きたい」という回答は、2.1%伸びている。

この事実は「働くシニア」の増加傾向とは、一見矛盾するようだが、
この両極は、どちらも典型的な老後のパターンであり、
「働き続けたい自営」と「第2の人生を歩みたい給与所得者」は、
容易に思い浮かべられる、ある意味でのステレオタイプではあった。
注目すべきは、この両極の合計値が5年間で5.2%も
減少していることである。
(平成20年度:46.5%-平成24年度:41.3%=5.2%)

裏を返せば、それ以外の選択肢、つまり、従来の選択肢にとらわれず、
中間的な就労年限を選択する人が増加しているということでもある。
即ち、シニアの就労がより多様性を帯びてきていることの証なのである。

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働く目的もそれにつれて多様化している。
図5は団塊の世代に60歳の時と現在の働く目的を問うたもの。
「生活費を得るため」という、至極もっともな回答は、60歳当時と現在で、
スコアは下がるもののやはりトップではある。
「将来への備蓄」や「ローンの返済」という、どちらかと言えば
【必需】的な目的は減り、それに代わり、「自由に使えるお金が欲しい」、
「健康維持」、「生きがいが欲しい」といった、選択的な目的が増えている。

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就労形態の一つである、新規開業でも同様に、
開業におけるシニアの収入に対する考え方は
「家計を維持できるだけの収入があれば充分だ」とする声が主流であり、
その動機は「仕事の経験・知識や資格を活かしたかった」
「社会の役に立つ仕事がしたかった」という回答が、
若い世代の起業者を大きく上回っている。(図6、図7)

こういった「半労半休」+年金の生活パターンは
今後ますます多様化することは想像に難くない。
当然そこから生じるフローも争奪戦も業界を横断して、激化することだろう。

 

日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男