データ図表だけをチョイスし、
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2016年1月29日
BtoC企業で目立ってきているのが、充実したアフターサービス。その中でも特に「保証延長」を謳うケースが増えてきたように思う。
家電量販店を筆頭に、住宅や住宅設備でもその傾向が見られる。値段より安心感を重視する心情の表れだと言えるが、その傾向はとくにシニアに強いと言える。しかも、シニアは実際に「事業者に物申す」、非常に強い消費者に変身しつつある。
それは単なる「感触」なのか、裏付けになるデータは存在するのか? 本稿では、消費者庁による消費生活相談の件数やその内容から、消費者としてのシニア像をあぶりだしてみることにする。
図1.は、「商品やサービスを選ぶ際に、苦情や要望への対応を意識するかどうか」を年齢層別に聞いたもの。つまり、商品の価値として「アフター・ケア」をどれだけ重視するかと言うことだ。
元来、価格より安心感を重視する傾向は、日本人においては一般的と言われるが、やはりその傾向が強いのがシニア層だと言える。
50~70歳代にかけての年齢層では、いずれも「苦情や要望に対する対応を意識する」と答えた人は全体の50%を超え、他の世代を圧倒している。
図2.はよりアグレッシブな設問だ。「不服があれば事業者へ申し立てを行う用意があるか」を問うたもの。
特徴的なのは、40~80歳以上と幅広い層の50%以上が「申し立てを心がけている」こと。
申し立て比率が最も高いのは50歳代。これはわかる。まだまだ血気盛んな現役世代であるからだ。驚くべきは70歳代。50歳代とほぼ双璧と言える数値で2位につけている。「かなり心がけている」という回答だけを取り上げれば、70歳代は堂々のトップに躍り出る。
ここ3年の同じ設問の回答の推移をみても、70歳代の伸びはもっとも著しい。(図3.)
黙って泣き寝入りする消費者像は、到底思い浮かばない。
もっともこの背景には、現役を離れ、商品やサービスをじっくり吟味する時間が増えた、ということもあるだろう。
一方で若い世代では、消費生活相談に頼らなくても、ネットを駆使して、自分で問題解決してしまう、という傾向もこの結果に与っていることは否めない。が、いずれにしても「強い消費者」に変身しつつあることは、間違いない。
この傾向をもっと端的に表しているのが、図4.。2009年を100とした消費生活相談件数の年次推移を、全体・65歳未満・65歳以上の3つのグループに分けてグラフ化したものである。
相談件数全体は、5年間でほほ横ばい、65歳未満では、約1割減の中で、異彩を放っているのが、65歳以上の層。2013年から14年にかけて、やや減少傾向にはあるものの、5年間で1.5倍と、「高度成長」を誇っている。
高齢者10歳刻みで、より細かく増加傾向を追ったのが、図5.のグラフ。年齢が上がれば上がるほど、増加傾向に拍車がかかっているという興味深い事実がわかる。
高齢消費者が泣き寝入りを止め、「モノ言う消費者」へ変貌を遂げつつあるのにはわけがある。それは出資した額の大きさだ。図6.は、消費生活相談件数・契約購入金額総額・既支払額総額の3つの項目における、高齢者のシェアを表したもの。
相談件数こそ、ほぼ人口比にバランスした27.7%と、中庸な数字になっているが、契約金額ベースでは3割を超え、既支払金額では、全体の40%超を高齢者が占めている。つまり高齢者の相談は逸失金額が違うのだ。
10歳刻みの年齢層別に、相談件数の多い商品やサービス上位を列挙してみると(図7.)、60歳代・70歳代では、「工事・建築」や「ファンド型投資商品など、値がさの張る商材が多いのも特徴的である。
以上、高齢消費者は怖いようなイメージになってしまったが、逆に見ると、「買ってから後」の対応が誠実で真摯であれば、これ以上頼りになるお客様もいないということだ。
ケアやサポートを手厚く商品価値の中に盛り込むこと。古くて新しいシニアマーケティングの不変の課題でもある。
株式会社 日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男
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