データ図表だけをチョイスし、
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2015年10月26日
文化庁が2年に一度実施している「国語に関する世論調査」には、
ユニークなデータが多い。その中から、比較的新しい言葉への
認知度、使用度の調査結果をご紹介しよう。
平成26年度の調査では、6つの複合語や省略語について、
聞いたことがあるかないか、聞いたことはあるが使わないかを
年代別に調べた項目がある。
提示された言葉は、「婚活・イクメン・女子力・デパ地下・
大人買い・クールビズ」である。(図1.~図6.)
程度の差こそあれ、概ね共通しているのは、16歳から60代に
かけて、大抵の人はその言葉を知っているが、70代になると、
言葉自体を知らない人が俄然増えてくる。
例外的なのは「大人買い」。50代ですでに「知らない」割合が
急増している。「女子力」もそこまで顕著ではないものの
同じような傾向を示している。
言葉の認知度や使用度は各年代にとって、その言葉が、
『自分ごと』かどうかも大きく影響する。
たとえば「婚活」。20~30代は自身がストライクゾーン
ど真ん中なので、「使うことはない」と答えた人は少ない。
40代になれば「使うことはない」人がぐんと増えてくる。
50代では、「使うことはない」人は再び減少してくる。
自身の息子や娘が適齢期を迎える頃でもあり、
再び『自分ごと』化してくるのだろう。
「クールビズ」も『自分ごと』かどうかが影響する言葉の一つ。
労働力人口である20~50代で使用人口が多く、
16~19歳と70代以上では使用人口が減ってくる。
「聞いたことはあるが、使わない」には、「使うシーンがない」
ということ以外に、「使いたくない」という心理も大いに働いて
いることは想像に難くない。
図7.は、言葉別に「聞いたことはあるが使わない」の回答率を
60・70代に限定して比較したもの。
これを見れば使わない人が多い「婚活・イクメン・女子力」
グループと、比較的ポピュラーに使われている「デパ地下・大人
買い・クールビズ」グループに大別される。
この2グループの違いは、言葉の発祥時期と関係がありそうだ。
「婚活・イクメン・女子力」は、比較的新しい言葉で、
概ね5~7年しか経っていない。
一方の「デパ地下・大人買い・クールビズ」は2000年紀初頭の
言葉であり、人口に膾炙してからすでに10~15年を経過している
言葉なのである。
わずか一例からの推察で暴論なのは承知の上だが、
やはり言葉というものは、定着するのに一定の時間がかかり、
保守層の多いシニアではその傾向に拍車がかかるとも考えられる。
前回、平成24年度の「国語に関する世論調査」には
「外来語や外国語などのカタカナ言葉の意味が解らず困ることがあるか」
という設問が設けられていた。(図8.)
「たまにある」を含めた「ある」の合計では、各年代で際立った
差は認められないが、「よくある」に限って見れば、
40代をエポックに以降10ポイント刻みで急速に増えている。
複合・省略の新語が多いカタカナ言葉へのアレルギーは年齢を
重ねるにつれてやはり増えてゆくものらしい。
「国語に関する世論調査」のデータはシニア層に向けての
コピーライティングという観点からも大きな示唆を与えてくれる。
以上の拙稿をまとめると、
① 『自分ごと』に引き寄せられない言葉は敬遠する
② 人口に膾炙して日の浅い、未成熟な言葉を敬遠する
③ カタカナ言葉へのアレルギーは根強い
「伝わるか、届くか」は最終的には選択した言葉がモノを言う。
一語一語に神経を行き届かせたいものである。
日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男
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