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室長の小部屋

あなたのメッセージはシニアに届いているか?
コミュニケーションにおける加齢現象とその対策
-第3回、脳、理解力編-(全4回)

 人は歳をとると、心身にさまざま障害が出てくる。老眼、耳が遠くなる…いわゆる加齢現象である。シニアへのコミュニケーションを考えるとき、シニアの加齢現象への理解と配慮が欠かせない。でなければ、あなたの素晴らしい製品やサービスについての、大切なメッセージがシニアに伝わらないからである。

 シニアへの加齢配慮については多くの方々から、相談をいただいている。そこで以前にまとめたホワイトペーパー※をもとに、今一度、シニアの加齢現象とそれへの対処についてご説明したい。

※「シニアのギャップコミュニケーションにおける加齢現象とその対策」
https://nspc.jp/senior/archives/6303/

 シニアとのコミュニケーションにおいて、配慮すべき加齢現象は以大きく4つに分類することができる。

1.眼、見え方の加齢現象
2.耳、聞こえ方の加齢現象
3.脳、理解力の加齢現象
4.気持ち、感情の加齢現象

今回はその第3回として
3.脳、理解力の加齢現象
について考えてみたい。

年をとると記憶力が衰え、認知症が心配になる

 加齢で一番気になるのが「脳」への影響。ヒトの脳は歳をとることによって神経細胞が減少する。さらに神経細胞内にさまざまな老化物質が貯まることや、神経伝達物質も減少して脳の活動力が衰える。
 とくに記憶に関係の深い「海馬」は高齢になると年1~2%の割合で小さくなるといわれている。
こうした加齢による脳の変化がシニアマーケティングにおける高齢者の行動にどんな影響を与えるのか、それにはどんな対処があるのかを考えてみよう。

1.ど忘れ、物忘れが多くなる

 さっきまで使っていた老眼鏡を置いた場所がわからない、買い物にいって買い忘れをする、というのはシニアなら誰しも経験すること。最近の研究では物忘れと「ワーキングメモリ(短い間情報を蓄えておく記憶)」が関係しており、ワーキングメモリは加齢の影響を受けやすいことがわかってきている。

 コミュニケーションの面ではワーキングメモリの機能が衰えてくると、長い話の脈絡がわからなくなったりする。そのため文章をできるだけ短くする。短い文章で箇条書きにすると、ワーキングメモリの容量が少なくてすみ、シニアにもわかりやすくなる。

2.新しいことへの理解力が低下する

 脳の働きが衰えることで、新たな知識を得るための理解力が低下する。そのため新たな事柄を学習して知識として獲得するのが難しくなる。スマホの操作の解説書や家電製品の取扱説明書を読むことが億劫になり、読んでもなかなか理解できない。

3.情報を読みとる範囲が狭くなる

 シニアは目の前のものを見たり、探したりするときの知覚の範囲が狭くなるといわれている。電話をかけるときに番号を一瞥しただけでは覚えられず、メモを何回も見なくてはならない。そのほか探しものをなかなか自分で見つけられなかったりする。

 シニアに対してはいろいろなことを一緒にすると、重要なことを見過ごす可能性が高くなる。シニア向けの案内やちらしはできるだけ要素を減らして、シニアの知覚の負担を減らすようにしたい。

4.情報を処理する速度が遅くなる

瞬時の反応や素早い判断ができにくくなる

 加齢により神経細胞がメッセージを受け取る受容体の一部を失うと、情報を処理する速度が遅くなる。瞬時の反応や素早い判断ができにくくなる。またいろいろな課題を解決するのに時間がかかる。そのため、だんだんやる気を失うということも起こりがち。シニアとのコミュニケーションにおいてもゆったりと余裕をもって行えるようにしたい。

 シニアに向けたWEBサイトでは、画面の早い動きや、次に行うべきアクションまでの時間にゆとりを持たせておきたい。

5.やる気が低下する

 歳をとると周囲の出来事や置かれている状況に対する興味や反応が弱くなる。やる気は出会った事柄に対する興奮や興味に比例して強くなる。さらに新しいことへの理解力や処理能力の低下から、何度もやり直さなければならない、何度やってもできないといったことからもやる気が低下する。

 シニアに自分ごととして興味を持ってもらえることをテーマにしながら、辛抱強く励ます気持ちでコミュニケーションする必要がある。そのことがシニアのアクションにつながる。

 シニアの脳については単なる物忘れだけでなく、認知症の問題もある。高齢の認知症患者は2012年には462万人(有病率7人に1人)、それが2025年には約700万人(有病率5人に1人)になると見込まれている。認知症を患っているシニアやその家族、介護者への対応もこれからのシニアマーケティングの重要な課題である。

脳、理解力のギャップへの対策まとめ

1.文章はできるだけ短く
長くても一文40字までに。短いと文章構造が単純になり、
高齢者の理解が早くなる。ちなみに漱石の「坊っちゃん」は35文字。
2.箇条書きに
一文が短くなり、脈絡がはっきりする。話す時はポイントに分けて。
3.情報量を減らす
伝えなくてはならないことに優先順位をつけ、
伝える量が多いときには何回かに分ける。
4.内容を「分ける」
内容を一つ一つ小分けにすることにより、
シニアの少ないメモリでも処理できる。
5.使い慣れた言葉を使う
巣鴨のマクドナルドのメニューでは「S/M/L」に「大/中/小」、
「チキンナゲット」に「鶏肉の唐揚げ」と補足されている。
6.要求速度を落とす
画面遷移やアクションを促す場合は、時間にゆとりをもたせる。
「待つ」ことが大切。
7.辛抱強く励ます
何度もできないことも辛抱強く励ます。シニアだからと決めつけない。
8.認知症への正しい理解
単なる物忘れか、ちょっと不機嫌になっただけか…
それとも認知症の症状かによって対応は大きく変わる。
認知症に対する正しい理解を持つ。

◆第4回:気持ち、感情編に続く(全4回)

 これまで見てきたシニアの加齢現象を理解してこそ、シニアに対して「見える、読める、聞こえる、わかる、そして響く」コミュニケーションが可能になる。伝えたいことが、シニアに「この色使いで見えるか」「この文字の大きさで読めるか」「この文章やビジュアルでわかるか」「この表現で心に響くか」を確認することがシニアへのアプローチの第一歩
である。

 このシリーズの内容に具体的な事例を盛り込んだセミナーが好評です。
とくに若い世代が中心の部署では「 シニア視点」の理解に役立ちます。
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第1回:眼、見え方編を見る

◀第2回:耳、聞こえ方編を見る

株式会社日本SPセンター シニアマーケティング研究室 倉内直也

<シニアマーケティングに関するお問い合わせ>こちらのメールアドレスにお気軽にご連絡下さい。

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