令和3年も押し詰まった12月20日に開かれた厚生労働省が主催する「第16回健康日本21(第二次)推進専門委員会」において令和元年度における我が国の健康寿命が発表された。
それによると、健康寿命は、令和元年(2019年)の時点で、女性が75.38歳、男性が72.68歳。前回3年前の平成28年(2016年)に比べて、女性が0.59歳、男性が0.54歳延びている。
「健康寿命」とは、介護などを受けずに健康的に社会生活が送れる期間。日本人人口と死亡数を用いて、生命表を算出した上で、不健康割合を用いて、不健康な期間を削り算出している。厚生労働省が、3年ごとに全国のおよそ20万世帯を抽出して調査し、推計値を公表してきた※1。
※1 令和元年国民生活基礎調査(調査客体数:301,334世帯 約72万人)における質問「あなたは現在、健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか。」に対する「ある」の回答者を日常生活に制限ありと定め、その割合を性・年齢階級別に得る。(対象者は6歳以上の居宅者で、医療施設の入院者と介護保険施設の在所者と0~5歳は含まれない。)
推計を始めた2001年に比べると、女性が2.73歳、男性が3.28歳延びて、男女とも過去最長を更新し続けている。
都道府県別のデータも公表され健康寿命が最も長かったのは、女性が三重県で77.58歳、男性は大分県で73.72歳。最も短かったのは、女性が京都府で73.68歳、男性が岩手県で71.39歳だった。
厚生労働省は「脳卒中などで介護が必要になる人が減っているうえ、高齢者の社会参加が増えていることも影響しているのではないか。今後、コロナ禍の影響が出ないか注視したい」とコメントしている(2021年12月29日NHKニュースより)。
健康寿命で問題となっているのが平均寿命との差、つまり「日常生活に制限のある期間」。の長さである。
平均寿命の延伸に伴い、平均寿命と健康寿命との差が拡大すれば、医療費や介護費を必要とする期間が増える。疾病予防と健康増進、介護予防などにより、平均寿命と健康寿命の差を短縮することができれば、個人の生活の質の低下を防ぐとともに、社会保障負担の軽減できる。
今回の発表では「日常生活に制限のある期間の平均」の 2010・2013・2016・2019 年はそれぞれ、男性で9.22、9.01、8.84、8.73 年、女性で 12.77、12.40、12.34、12.06 年であった。
10 年間の変化は男性で 0.54 年、女性で 0.72 年短縮されたと推定でき、2010~2019 年の「平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加」の目標は、男女とも達成と判定されたとしている。
とはいえ、まだまだ、健康寿命と平均寿命とには開きがあり、「日常生活に制限のある期間」は決して短くない。今後も様々な、予防により、その期間を短くすることが求められており、そこに大きなビジネスチャンスがあるともいえる。
上記記事中のデータ、グラフの出典はとくに記さない限り、厚生労働省が主催する「第16回健康日本21(第二次)推進専門委員会」で公表された資料のうち、以下の資料による。
資料1 最終評価の評価方法について(修正版):第15回資料1改訂
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000869149.pdf
資料3-1 健康寿命の令和元年値について
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000872952.pdf
資料3-5 関連資料:別表第一
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000869486.pdf
株式会社日本SPセンター シニアマーケティング研究室 倉内直也
2024年5月22日
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2023年7月26日