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2020年シニアマーケティング検定(シニアの課題編)

シニアマーケティング
検定
解答と解説

正解だけではなく、その他の選択肢もそれぞれに意味がありますので以下の解説をお読みください。

◆問題1の解答と解説

眼(視覚)からの情報が
圧倒的に多い

人間の五感で情報量が一番多いのは

(1) 視覚

 人間が外から感覚を通じて情報を得る割合は【1】視覚が一番多く、87%。
次が【2】聴覚で7%、その次が【3】嗅覚で3.5%、【4】触覚は1.5%、最後が「味覚」で1%といわれている(1)。

 別の資料では「視覚」が83%、「聴覚」が11%、「臭覚」が3.5%、「触覚」が1.5%、「味覚」が1%となっている(2)。

 高齢者は、外部から得る情報が多い視覚や聴覚に障害が起こりやすく、情報弱者になりやすい。さらにそれらの感覚の障害が認知症を引き起こすきっかけとなる場合もあるので注意が必要である。

(1)昭和47(1972)年「産業教育機器システム便覧」教育機器編集委員会編による
(2)昭和47(1972)年「屋内照明のガイド」照明学会編による

問題2の解答と解説

老眼は最も早く感じる
「老化」現象

老視(老眼)が始まるのは

(2) 40代半ば

 加齢により、誰も体験する障害が「老眼」である。人の目は、水晶体が厚くなったり薄くなったりして、ピント合わせを行っている。しかし加齢により、水晶体の弾性が低下して、近くのものに焦点を合わせることが難しくなる。これが老眼(老視)である。

 老眼はいつから始まるのか?諸説あるが、日本眼科医会のHPによると通常、【2】40代半ばで新聞や本などの近くのものが見にくくなるとしている(1)。早い人は【1】30代後半から自覚が始まり、【3】50代から60代で進行し。【4】70代になると進行が遅くなる(2)。

(1) 公益社団法人 日本眼科医会HP https://www.gankaikai.or.jp/health/41/08.html
(2)「医療従事者のための眼科学」 日本眼科医会 2001年

問題3の解答と解説

加齢による視力低下の
大きな要因

高齢者がかかる眼の疾患で一番多いのは

(1) 白内障

 【1】白内障の罹患率は60歳代で66~83%、70歳代84~97%に上る(1)。白内障は目の中の水晶体が加齢によって濁り、透明ではなくなった状態をという。症状は目がぼやける、かすむというものが代表的だが、明るいところでまぶしい、細かいものが見づらいなどの症状が出ることもある。最近は日帰りの手術で、症状を改善できるようになった。

 【2】加齢黄斑変性は加齢によって、網膜の中心部である黄斑に障害が生じるもの。見ようとするものがゆがんで見えるほか、中心が見づらいなどの症状が多い。進行すると失明の恐れがある。

 【3】黄斑前膜は加齢などにより、黄斑部の網膜に薄く透明な膜が出来るもの。進行すると、文字や人の顔が歪んで見え、視力も低下する。

 【4】緑内障は視神経の異常が起こり、目で見た情報が脳に伝わらなくなる疾患。画像を認識できなくなり、視野や視力に障害が起こる。日本での最大の失明原因となっている。

(1)平成14(2002)年 厚生科学研究補助金 21世紀型医療開拓推進研究事業「科学的根拠(evidence)に基づく白内障診療ガイドラインの策定に関する研究」班報告書による

問題4の解答と解説

明度差が4以上あると
高齢者でも見やすい

高齢者が見分けにくい色の組み合わせは

(4) 青と黒

 見分けにくいのは【4】青と黒。人は加齢により、眼に入った光が黄みを帯びてくるため、全体が色あせて見えるようになる。さらに明度差に対する感度が低下する。明度差が4以上あると高齢者でも見やすい。

 黒と青では明度差にあまり差がないうえ、青は暗く感じるため、より見分けにくくなる。高齢者がガスの炎を見誤って事故につながるケースは暗い背景で青い炎が見えにくいためといわれている。

 反対に【1】白と黒は最も明度差が大きく、高齢者にも見やすい。【2】の黄と黒も見分けやすい。【3】の青と赤は赤の明度を上げるとさらに読みやすくなる。

問題5の解答と解説

高齢者は暗さに弱い

高齢者が見やすいためには必要な明るさは
(20歳との比較、以下同様)

(2) 約2倍

 高齢者は加齢により水晶体が濁ることに加え、瞳孔が大きく広がらず、角膜に届く光の量が減衰する。

 そのため60歳では【2】約2倍(20歳との比較、以下同様)の明るさが必要といわれている(1)。
同じ研究では20歳に比べ40歳では【1】1.4倍、70歳では【3】約2.8倍の明るさが必要とされている。
別の研究において、60歳では【4】4倍必要という説もある(2)。

 いずれにしても、高齢者が見やすくするためには、若い世代に比べ明るくする必要があることは間違いない。

(1)昭和59(1984)年「(社)照明学会:新時代における照明の調査研究報告書」による
(2)昭和52(1977)年「建材試験センター: 住宅性能標準化のための調査研究報告書」による

問題6の解答と解説

難聴が認知症の原因に
なることもある

難聴に悩む高齢者は
(男性の場合)

(2) 43.7%

 高齢者は耳内の感覚細胞の衰えや、耳に入った音を脳に伝える神経系の障害が原因で「耳が遠くなる」ことが多い。難聴に悩む男性高齢者(65~69歳)の割合は【2】43.7%と4割以上いる。
聴力は男女差が大きく、同年代の女性の難聴者は【1】27.7%と約3割。

 年代が上がるに連れて難聴者は増加し、70~74歳(男性、以下同様)では【3】51.1%と半数を超える。75~79歳では【4】71.4%と7割を超える人が難聴に悩んでいる。

 高齢者の難聴の特徴は「音」に対する聴力が低下するだけではなく、「言葉」に対する聴力が低下するとされている。そのことにより、脳機能低下やアルツハイマー病発症率が上昇ともいわれている(2)

(1)平成24(2012)年「全国高齢難聴者数推計と 10 年後の年齢別難聴発症率」日本老年医学会誌による
(2)平成26年(2014)年「日本老年医学会雑誌 増田正次『高齢者の難聴』」による

問題7の解答と解説

難聴にも関わらず
大きな音は苦痛

高齢者が大きな音に悩まされる現象は

(4)リクルート
メント現象

 高齢になると難聴にともない、大きさの音声が耳に激しく響き、苦痛に感じる現象を【4】リクルートメント現象という。とくに子供が叫ぶ音、テレビの音、高音の機械音、高音の金属音、スクーターの排気音、車の走行音などが響いて聞こえ、苦痛であるといわれている。

 【2】ラウドネス・バランスは高齢者に多い耳鳴りの検査法の一つ。

 【3】メタボリック・シンドロームは内臓脂肪型肥満(内臓肥満・腹部肥満)に高血糖・高血圧・脂質異常症のうち2つ以上の症状が一度に出ている状態をいう。

 【1】ストループ効果とは、文字意味と文字色を同時に目にする場合など、ふたつの情報が干渉しあう現象。例えば、色名を答える質問を行った場合、赤インクで書かれた「あか」の色名を答える場合より、青インクで書かれた「あか」の色名を答える方が時間のかかる事をいう。

問題8の解答と解説

タツノオトシゴのような
形をしている

新しく入ってくる情報の記憶を司っている
脳の部分は

(1) 海馬

 記憶や空間学習能力に関わる脳の器官は【1】「海馬」である。
タツノオトシゴのような形をしているのでそう呼ばれる。覚えた記憶は、時間経過とともに、海馬から【2】大脳皮質に徐々に転送され、最終的には大脳皮質に貯蔵されるといわれている(1)。

 認知症の原因として最も患者数の多いアルツハイマー病における最初の病変としてこの海馬が萎縮することが知られている。

 【3】小脳は知覚と運動機能を統合し、平衡・筋緊張・随意筋運動の調節などを司っている。

 【4】脳幹は脳のうち大脳半球と小脳を除いた部分。間脳・中脳・橋・延髄からなり、脳の根幹をなす部分で、生命維持に大切な中枢が集まっている。

(1) 平成29(2017)年「 海馬から大脳皮質への記憶の転送の新しい仕組みの発見」 理化学研究所 

問題9の解答と解説

高齢者の「病気持ち」は
半数近い

病気や怪我の自覚症状がある高齢者の割合は

(2) 44.6%

 75歳以上でカウントすると【3】50.5%で半数を超える。しかし80歳以上では【4】52.0%とあまり増えない。

 ちなみに60歳代だけをとると【1】35.2%と大きく減少する。このことから、病気や怪我で何らかの自覚症状が出て、生活に影響が出始めるのは75歳あたりが転換点に見える。
いわゆる「健康寿命」が尽きるのもこのくらいの年齢となっている。

平成28(2016)年 厚生労働省 「国民生活基礎調査」による

問題10の解答と解説

男女とも、
腰痛に悩む高齢者は多い

高齢者が最も気になる(悩んでいる)症状は

(3) 腰痛

 高齢者が最も気になる症状をみると、男女を問わず有訴者率が最も高いのは【3】腰痛である。

 次いで男女とも有訴者率が高いのは【4】「手足の関節が痛む」、男性で4位、女性で3位。

 男女を分けて見ると、男性で比率が高いのは【2】「頻尿」、女性では【1】「肩こり」が共に2位と高くなっている。この他、男性では「きこえにくい」「手足の動きが悪い」、女性では「目のかすみ」「もの忘れする」といった症状を訴える高齢者が多い。

 このように「腰痛」「手足の関節が痛む」といった足腰の痛みは男女共に多いが、その他は男女で症状の違い多いということは覚えておく必要がある。

厚生労働省 平成28(2016)年 国民生活基礎調査による

問題11の解答と解説

2025年には高齢者の
20%が認知症との推計も

要支援・要介護となる原因で一番多いのは

(1) 認知症

 要支援・要介護になった原因で一番多いのは【1】認知症で18.0%(1)。2025年には5人に1人、20%が認知症になるという推計もあり、今後のさらなる増加が危惧されている(2)。

 次に多いのが【3】脳血管疾患で16.6%。医療の進歩や食生活や住まいの改善で減っては来ているが、それらが原因で体に麻痺が残り、要支援・要介護の状態になることも少なくない。

 3番目は高齢による衰弱で【4】 13.3%。4番目は【2】骨折や転倒で12.1%。転んで骨折し、ロコモティブ症候群となり、そのまま寝たきりになるケースも多い。

(1)平成28(2016)年 厚生労働省「国民生活基礎調査」による
(2)平成29(2017)年 厚生労働省 「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)の概要」より

問題12の解答と解説

高齢者の身体能力や
日常生活レベルを計る指標

「日常生活動作」を表しているのは

(1) ADL

 日常生活動作【1】ADLはActivities of Daily Livingの頭文字をとったもの。日常生活動作のこと。ADLのAはアクティビティー(動作)、DLはデイリーリビング(日常生活)を指す。起居動作・移乗・移動・食事・更衣・排泄・入浴・整容などの動作のことをいう。BADL(Basic Activity of Daily Living)基本的日常生活動作ともよばれることもある。

 【2】IADL(Instrumental Activity of Daily Living)は日常生活動作よりも複雑で高次な行為や動作を指し、手段的日常生活動作といわれる。買い物や服薬管理、電話の応対などがそれにあたる。

 【3】QOLはquality of lifeのこと。ひとりひとりの人生の内容の質や社会的にみた生活の質を意味する。

 【4】BMI=Body Mass Indexは身長と体重を元に、体格が肥満型かやせ型なのかを表す数値。体重(kg)÷身長(m)の2乗で算出される。

問題13の解答と解説

身体機能が高齢者の
QOLを左右する

全身の筋力低下現象を表すのは

(3) サルコペニア

 加齢や疾患によって、筋肉量が減少し、全身の筋力低下が起こることを【3】サルコペニア(Sarcopenia)という。
 サルコペニアになると、歩くスピードが遅くなる、杖や手すりが必要になるなど、身体機能の低下が見られる。

 【1】フレイルはFrailtyが語源。日本老年医学会日本語訳として提唱したもの。とは加齢により心身が老い衰え、健常から要介護へ移行する中間の段階のこと。適切に支援をうけることで健常な状態に戻ることができる時期とされている。

 【2】ギャップ(Gap)は2014年に日本総研が命名し、提唱した「ギャップ・シニア」からの言葉。加齢により「できること」と「やりたいこと」との間に生まれたギャップを指す。日常生活の中で諦めや我慢が積み重なっている状態。

 【4】カヘキシア(Cachexia)(悪液質) は体重減少と食欲不振を伴う、主にがんの合併症を指す。

問題14の解答と解説

歩く速度は
身体能力の目安になる

「フレイル」(虚弱)と診断される歩行速度は、毎秒

(2) 1m/秒未満

 フレイルとは「加齢により心身が老い衰えた状態」のこと。
高齢者がフレイルと評価される項目は体重減少、主観的疲労感、日常生活活動量の減少、身体能力(歩行速度)の減弱、筋力(握力)の5項目。そのうち、3項目以上該当した場合をフレイル、1~2項目該当した場合を前フレイル(プレフレイル)、該当項目が0の場合は健常とされる。

 歩行速度は【2】1m/秒未満の場合、フレイルに該当する。
男性の一般的な歩行速度は、75~79歳で【1】0.9m、60~64歳で【3】1.2m、20~24歳で【4】1.4mとされている(1)。

 一般的に交差点での歩行者青時間は歩行速度1(m/秒)で横断できるだけの時間の確保が条件とされている(2)。つまりフレイルの状態では、青信号で交差点を渡り切ることが困難になる。

(1) 1975年 阿久津邦男「歩行の科学」不昧堂出版
(2) 1984年 交通工学研究会編: 平面交差の計画と設計 基礎編 ・応用編 1

問題15の解答と解説

物忘れと似ているようで
異なる認知症

認知症による「もの忘れ」の特徴は

(1)経験した事実を忘れる

 自分が【1】経験した事実を忘れることである。
人は60歳頃になると、脳の機能の老化により、記憶力に加えて判断力・適応力などが衰えるようになる。記憶力の老化が進行しもの忘れが次第に多くなるが、単なるもの忘れは加齢に伴う自然なもので、認知症の症状ではない。

 例えば「うっかり時間を忘れてしまう」「財布をどこにしまったか忘れて探している」という場合、「約束したこと」や「財布をしまったこと」の【3】体験の一部を忘れていても、【2】自分が忘れていることに自覚があれば、単なるもの忘れである。

 一般的な【4】知識や人の名前などを忘れることも認知症ではない。

問題16の解答と解説

MCIは認知症への進行を
防ぐ事ができる

MCIがあらわしているのは

 【1】軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment)のこと。認知機能の低下はあるものの、日常生活は問題なく送ることができている状態のこと。MCIは【2】認知症ではないが、放置すると認知症へと移行してしまう可能性が高いといわれている。我が国の高齢者MCIの有病者数は約400万人(2012年時点で)と推定されている(1)。

 【3】若年性認知症は40歳から64歳に発症した初老期認知症に、18歳から39歳までに発症した若年期認知症を加えた認知症の総称。最も多いのが血管性認知症、ついでアルツハイマー型認知症とされている(2)。

 【4】物忘れには、加齢によるものと認知症によるものがある。記憶を再生する能力が衰えるのは加齢による現象だが、認知症の物忘れは記憶する機能の障害によって起こる。

(1)平成25(2013)年 厚生労働科学研究費補助金(認知症対策総合研究事業).
「都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応」報告による
(2)厚生労働省「若年性認知症ハンドブック」より

問題17の解答と解説

認知と運動の組み合わせで
認知症予防

運動と計算を組み合わせた認知症予防法は

(2) コグニサイズ

 【2】コグニサイズ(cognicise)は国立長寿医療研究センターが開発した、運動と計算やしりとりなどを組み合わせた、認知症予防法。
英語のcognition (認知) とexercise (運動) を組み合わせたもの。
運動で体の健康を促すと同時に、脳の活動を活発にする機会を増やし、認知症の発症を遅延させる効果が期待されている。

 【1】脳トレは脳トレーニングの略。ゲームやパズルで積極的に脳を使う習慣により、認知機能改善につながるといわれている。

 【3】回想法は、昔の写真や音楽、昔使っていた家庭用品などを見たり、触れたりしながら、昔の経験や思い出を語り合う心理療法の一種。認知症のリハビリとして実施されている。

 【4】共想法は高齢者の会話支援手法。活発な会話により、参加者が総合的に認知機能を活用し、認知症予防を目指すもの。

問題18の解答と解説

住み慣れた地域で
暮らしを続けられる

認知症高齢者が共同生活をする施設は

(4) グループホーム

 【4】グループホームは認知症高齢者が、住み慣れた地域で生活を続けられるように設けられた、小規模な介護施設。要支援2または要介護1以上の認知症患者が対象。家事などを役割分担しながら共同生活を行う。

 【1】サービス付き高齢者向け住宅(略称:サ高住)は、居室の広さ、バリアフリーといったハード面と、安否確認や生活相談などのソフト面の提供により、高齢者が安心して暮らすことができる住宅を目指すもの。

 【2】介護老人保健施設(略称:老健)は、リハビリや、食事・排泄・入浴などの介護などを行ない、自宅での生活に復帰できることを目標にする施設。要介護1から利用できるが、3ヶ月~6ヶ月程度で退去する必要がある。

 【3】特別養護老人ホーム(略称:特養)は、要介護3~5に認定されている高齢者が、介護を受けながら長く生活をする施設。終身利用が可能で、入居待機者が多い。

問題19の解答と解説

最近では「老衰」が
死亡原因の第3位に

我が国の死亡原因で一番多いのは

(1) 悪性新生物(がん)

 厚生労働省の人口動態統計(確定数)によると平成30年度の死亡数は 136 万 2470 人。死亡率(人口千対)は 11.0。
死亡原因をみると、一番多いのは【1】悪性新生物(がん)で死亡原因の27.4%を占める。

 2番目が【2】心疾患の15.3%、3番目が【3】老衰の8.0%、4番目が【4】脳血管疾患で7.9%と続く。5番目は肺炎で6.9%となっている。

 特筆すべきは、昨年4番目であった老衰が脳血管疾患と入れ替わって、3番目となったこと。医学の進歩に合わせ、これからも老衰で亡くなる人が増えると予想される。

厚生労働省 平成30(2018)年度 人口動態統計(確定数)による

問題20の解答と解説

解決が急がれる
高齢者のモビリティ問題

高齢者が最も利用している移動手段は

(2) 自分で運転する車

 高齢者が最も利用している交通手段を問うた調査で、最も多かった答えは【2】「自分で運転する車」で56.6%(複数回答、以下同様)。
次に多かった【1】「徒歩」の56.4%をわずかだが上回っている。その次に多いのが【3】「自転車」の22.4%である。と続く。

 【4】「家族などの運転する車」の20.5%を合わせると、高齢者が移動手段として車に頼っていることがわかる。加齢で足腰が弱り、歩いたり、自転車に乗ったりが辛くなればどうしても車に乗らざるを得ない。
地方では公共交通機関の廃止も相次ぐ。高齢者の運転は危険といわれる中で自動運転者の実用化など、高齢者のモビリティ問題の解決が急がれる。

平成30(2018)年 内閣府「高齢者の住宅と生活環境に関する調査」より

問題21の解答と解説

高齢者の
運転免許証返納率は低い

75歳以上の高齢者の免許返納率は

(3) 5.1%

 高齢になると視力や聴覚などの知覚、反射神経や運動能力の衰えは避けられない。当然、自動車の運転においてもさまざまな障害が生じる。

 しかし、我が国において高齢者の運転免許証返納率は低い。後期高齢者である75歳以上の免許保有者が免許証を返納する割合は【3】5.1%にしか過ぎない。

 65歳以上ではわずか【1】2.2%、70歳以上で【2】3.3%である。
85歳以上でようやく2桁の【4】11.2%となる(1)。

 多くの高齢者が車に乗り続けている理由の一つがモビリティの問題である。とくに地方では鉄道やバスなどの公共交通機関が減り、自ら運転しないと買い物や病院通いもままならないという事情がある。

(1)平成30 (2018)年 警察庁 「運転免許統計」による

問題22の解答と解説

高齢者が高齢者を
介護するのが老老介護

「老老介護」の割合は

(4) 約70%

 介護される側、介護する側、共に高齢者の「老老介護」の割合は【4】約70%。
要介護者等と同居している主な介護者の年齢で、どちらも60歳以上は男性では70.1%、女性では69.9%に上る。

 同居している主な介護者が1日のうち介護に要している時間は「必要な時に手をかす程度」が44.5%と最も多い一方で、「ほとんど終日」も22.1%となっている。

 要介護度別に見ると、要支援1から要介護2までは「必要な時に手をかす程度」が最も多くなっているが、要介護3以上では「ほとんど終日最も多くなり、要介護4では【2】約45%、要介護5では【3】約55%が「ほとんど終日」介護している状態である。

 要介護者等からみた主な介護者の続柄を見ると、配偶者が【1】約25%と最も多い。

平成28(2016)年 厚生労働省 国民生活基礎調査

問題23の解答と解説

ひきこもり高齢者の
孤立を防ぐことが必要

高齢者ひきこもりの問題は

(4) 8050問題

 「80」代の親が、長期間の引きこもりをしている「50」代の子どもの生活を支えることで発生するのが【4】「8050問題」。こうした親子が社会的に孤立し、生活が立ち行かなくなることが問題となっている。

 【1】「2025問題」は団塊の世代のすべてが75歳を超えて後期高齢者となることで、医療や介護などの社会保障費の急増が懸念される問題を指す。

 【2】「2050問題」は30年後の2050年の人口減少、少子高齢化の進展、社会保障費の増大、インフラの老朽化などさまざまな問題が起こりうるとされている。

 【3】「8020運動」は80歳になっても20本以上自分の歯を保つことを提唱している運動。20本以上の歯があれば、食生活にほぼ満足することができると言われている。

問題24の解答と解説

地方より
大都市圏で増えている

「買い物難民」と呼ばれる高齢者は全国で

(4) 825万人

 「買い物難民」(正式には「食料品アクセス困難人口」)の定義は、店舗まで500m以上かつ自動車利用困難な65歳以上の高齢者を指す。店舗は、食肉、鮮魚、野菜・果実小売業、百貨店、総合スーパー、食料品スーパー、コンビニエンスストアが含まれる。

 2015年国勢調査をもとに分析された買い物難民の数は全国で【4】825万人である。これは高齢者の24.6%に当たる。つまり、高齢者の4人に1人は買い物難民ということになる。75歳以上で見ると、全国で【3】536万人、比率にすると33.2%、3人に1人が買い物難民である。

 三大都市圏においても【2】378万人、高齢者の23.3%、75歳以上では【1】219万人、比率にして29.5%も買い物難民化している。2005年との比較において、地方圏の増加が7.4%に対して三大都市圏での増加率は44.1%と、地方より都市部で買い物難民が進んでいるのである。

平成30(2018)年 農林水産政策研究所「 (2015年国勢調査に基づく)食料品アクセス困難人口の推計値」による

問題25の解答と解説

高齢者は安全・安心面でも
弱者である

交通事故死における高齢者の割合は

(2) 55.7%

 平成30(2018)年の交通事故死における高齢者は1966人で、全体の【2】55.7%と半数を超えている。10年前の平成20(2008)年、交通事故死における高齢者は半数以下の【1】48.4%であった。交通事故死は年々減少しているが、高齢者が占める割合は年々高まっている(1)。

 災害弱者という面でも、住宅火災における死者(放火自殺者等を除く)に占める高齢者の割合は、平成29(2017)年は【3】72.7%。9年前の平成20(2008)年【4】63.2%から1割近く増加している(2)。

 平成23(2011)年の東日本大震災は全体の死亡者15767人のうち、高齢者は10420人と66.1%を占めた(3)。

 高齢化が進み、認知機能、運動機能の衰えが原因と考えられるが、高齢者は災害や安全面での弱者でることは間違いない。

(1)内閣府 令和元(2019)年版 高齢社会白書(全体版)による
(2)消防庁 「平成29(2018)年(1月~12月)における火災の状況(確定値)」による
(3)警察庁「東北地方太平洋沖地震における検視等実施・身元確認状況等について【23.3.11~31.2.28】」による

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