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「バランスのとれた食事」、目標に道遠く。

健康日本21(第二次)の栄養・食生活の目標項目の一つに「適切な量と質の食事をとる者の増加」が挙げられている。その具体的な処方箋の一つが「主食・主菜・副菜を組み合わせた食事が1日のうち2回以上がほぼ毎日の者の割合の増加」だ。いささか長ったらしいが、要は、 1日2食はバランスよくということだ。

厚生労働省の第3次食育推進基本計画では、その割合を「平成27 年度(2015年度)57.7%となっている割合を、令和2 年度までに70%以上にすることを目指す」ことを目標に掲げている。これは「食育に関する意識調査(農林水産省)」のデータに基づくものだが、同様の設問を厚生労働省においても実施している(国民健康・栄養調査)。2つの調査データは実は大きな開きがある。国民健康・栄養調査のほうがかなり辛口の結果になっているのだ。本稿では、あえてこの辛口のデータをもとに、高齢者に重点を置きながら、バランスの取れた食生活を考察してみたい。

 図1.は、年齢階級別に男性の食事バランスを見たもの。20歳以上の総数では1日2食以上バランスの取れた食事を摂っているものは半数に満たない。若年層はお寒い結果で、とくに30歳代は34.7%と3人に一人に過ぎない。

 シニア層は健闘しているようだが、最も成績の良い70歳以上でも半数を少し越えた程度だ。令和2年度70%達成までは未だ道遠しというところだ。

 女性の方は、男性よりはほとんどの年齢階級で、「ほとんど毎日」が男性を上回っている。唯一の例外が70歳以上。僅差ではあるが、「ほとんど毎日」で男性が女性を上回るという、いささか意外な結果となった。

 ところで、「バランスのとれた食事」を実践している人は、目標に向かって増加傾向にあるのだろうか? 図3.は、60歳代の男性で2018年と2015年を比較したものだ。

「ほとんど毎日」と答えた方はわずかながら減少している。目標から遠ざかりつつあるのだ。逆に「ほとんどない」と答えた方は、微増という結果になった。

 同じく60歳代で女性はどうだろう(図4.) 傾向としては同年代男性と同様ながら、振れ幅は大きい。「ほとんど毎日」は、3年間で7.4%も低下。「ほとんどない」はかすかに増加している。

 70歳代男性も、「ほとんど毎日」が数%低下している。(図5.)もっとも、「ほとんどない」も0.3%低下している。統計上有為かどうかは別として、あくまで数字上で改善が見られることにかすかな救いがあると言えよう。

 最後に70歳代女性の変化を見てみよう(図6.)。他のクラスターと同じように、「ほとんど毎日」は減少傾向にある。しかも、減り幅は男性より大きく、60歳代女性と比肩する7.1%にもなる。

 以上、程度の差こそあれ、バランスの良い食事を1日2回以上「ほとんど毎日」摂る60・70歳代は男女とも、ここ3年減ってきている。健康日本の目標値へは、逆行気味で程遠いと言わざるを得ない。

   ㈱日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男