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シニアの定義についての問いかけ

吉原 慶 氏
株式会社アスマーク
リサーチソリューショングループマネージャー
吉原 慶 氏

 シニアとはどのような人を指す言葉なのでしょうか。
一般的には65歳以上をシニアと呼ぶことが多い印象だが、
65歳以上の方をひとくくりにしてしまうことには違和感を覚えます。

 恐らく多くの人は、シニア=高齢+社会との距離感が生まれている人、
このようなイメージを持ってシニアという言葉を使っているのではないでしょうか。

 しかし、健康状態、生活スタイル、趣味の有無、現役から否か、、、生活水準によってさまざまな65歳以上が存在していると考えるのが自然です。

 よく言われる、「高校生という生き物は存在しない」
これは、地方の高校生(ヘルメットをかぶって自転車通学している)と東京の高校生(学校帰りに渋谷で買い物をする)とでは
生活スタイルがまるで違う。結果的に価値観に大きな違いが生じる。
結果的に高校生とひとくくりにはできないということです。

 シニアも同じでしょう。
弊社の調査によると、健康意識や流行感度によって年代での境界線が異なることがわかっています。
まず男性よりも女性の方が健康意識は高いし、年代では60代を境に急激に高まります。

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 一方で、流行感度という視点でみると40代を境に変化がみられる
気になることは能動的に調べるが、広告など意図せず入ってくる情報には影響しにくいという特徴がみらます。
言い換えれば40代以上は流行に疎い世代ともいえます。

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 40代がひとつの境界線となった背景には、デジタルネイティブとデジタルイミグラントという世代によるデジタル機器との関わりの深さの違いが影響していると考えられます。

 また、見た目(容姿)という視点でみると、女性は年齢が上がるほど気を遣う人が多くなる傾向にある。すなわち、これは若さを保とうという意識が強くなるともいえます。
一方で、男性は女性に比べて年齢による差異はあまり大きくないが食生活に関しては年齢が上がるほど気を遣う人が増えます。

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 このことから、女性は若さを維持したいと考える人が多く、男性はそういった意識が薄いという明確な違いがある。こうみると見た目維持のために時間と労力をかける女性を年齢だけで高齢者と一律に線を引くことに違和感を覚えます。

 このようにどの視点でみるかによって、シニアの定義は変わってきます。
デジタルリテラシー、健康状態、金銭的な余力、趣味等の生活充実度、単身世帯か否か、普段どういう人と関わりを持っているのか
それぞれの視点を加味した上で、シニアを定義すべきです。
またその前提としてシニア=何かの側面で見た際の弱者と捉えるのであれば
健康軸でのシニア:60代以上
情報感度軸でのシニア:50代以上
美意識軸でのシニア:男性は年齢通り60歳以上、女性は80歳以上?など
といった具合でしょうか。

普段どういう人と関わりを持っているのか、どういう価値観でどういう意識をもって生活しているのかといった視点を含んでそれぞれシニアを分類しなければ、狙っているシニアにはたどり着けないでしょう。
特に企業内で使われる場合は、定義を定めて共通認識のもと使わなければいけません。

 また、世代は入れ替わっていくため、定義や分類自体もアップデートをしていかなければなりません。
20年前の65歳以上と今の65歳以上は同じ?
今の65歳以上と10年後の65歳以上は同じ?

 5GやAIといったテクノロジーの進化に伴い生活の在り方、価値観は様変わりします。
若者の定義も叱りですが、世代によって何かをひとくくりにする思考自体はやめましょう。

吉原 慶 氏
株式会社アスマーク
リサーチソリューショングループマネージャー

吉原 慶 氏

千葉商科大学商学部卒業後、シンクタンク、医療介護系マーケティング会社を経て2016年より現職。
入社直後にリサーチャー組織を立ち上げ、リサーチ全般の業務をカバーできる体制を構築

現在は、社内外でのセミナーや講演に数多く登壇し、アスマークのブランディングに奮闘している。
また、新しいソリューション開発やサービス拡充にも積極的に取り組んでいる。
 ・JOB理論を応用した「1stSEARCH」
 ・コンセプト受容性調査パッケージ「Be Concept」
 ・従業員満足度調査(ES調査)「ASQ」
 ・BIツールによるアウトプットのパッケージ「ASMARQ Viz」
 ・NeuroAI「D-Planner」
現在も複数の新規サービスを開発中