データ図表だけをチョイスし、
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2014年11月19日
「3世代消費」と言う言葉自体は、それほど新しいものではない。2000年にはすでに、孫と同居の60歳以上の世代のイノベーター割合が高いことが、いくつかの調査機関によって、提起されている。孫の情報が触媒となり、購買意欲を刺激するというロジックだった。
以後、14年を経た現在に至ってもこの3世代消費はメガトレンドとして市場の一大分野として注目を浴び続けている。このキーワードは、2012~2014年にかけてさらに露出度が増してきている。
団塊の世代が、WHOの定義に言う高齢者の範疇に入り、市場ボリュームがかつて以上に大きくなっていることが最大の理由であろう。ことに「贈答」「同行」関連のマーケットでは、あの手この手で3世代消費を顕在化する取組みに余念がない。小稿では、3世代消費の基盤となる、「孫」との関係や支出意向についてデータを検証しながら考えてみることにする。
図1は「遊園地、動植物園、水族館などの見物に出かけた」行動者数を年齢階級別に見たものである。子育て世代の35~39歳がピークなのは、当然の結果と言えるが、60~64歳でもう一つの顕著なピークを迎えている。これが「同行型」3世代消費の現れの一つであろう。もっとも、3年前のデータでもあり、晩婚化も進んでいることから、今では65~69歳でピークを形成しているかもしれない。
(図1)年齢、趣味、娯楽の種類別行動者数
意向や意識を問う定性的な調査データ(図2)からも、孫への支出に対して高い意向が示されている。「団塊の世代の意識に関する調査」(内閣府/平成24年度)によれば、「生きがいを感じるとき」のトップ3は、趣味、子どもや孫、旅行。
(図2)生きがいを感じるとき
同調査での「自由に使えるお金があれば何に使いたいか」という設問でも(図3)、住宅の新築やリフォーム、旅行等と比肩して、一大消費目的群を形成している。
(図3)自由に使えるお金があれば何に使いたいか
高齢者の意識は親族だけに向けられているのではない。「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」(内閣府/平成25年)の「若い世代との交流の機会の参加意向」を問う設問では、ほぼ6割に上る人が、「積極的に参加したい」あるいは、「できるだけ参加したい」との回答を寄せている。(図4)この数字は10年前の調査に比べて7.2%の増加であり、高齢者の積極性の高まりを裏付けていると言える。
(図4)若い世代との交流機会への参加意向
もっとも、このような明るいデータだけではない。先の「団塊の世代の意識に関する調査」(内閣府/平成24年度)の「貯蓄の目的【今まで】と【今後】を問う設問には興味深い結果が現れている。今までの貯蓄の目的の中で、「病気や介護が必要になったときなど、万が一の場合に備えるため」と回答した人は、全体のわずか17.5%にすぎない。ところがこと今後のことになると一気に53.9%にまで跳ね上がるのだ。(図5)社会や家族に胸襟を広く開き積極的に充実した生活を送る期間は、案外短いのかもしれない。
(図5)貯蓄の目的「今まで」と「今後」
孫もやがて大きくなる。可愛い盛りも、自分の体力の充実期間も、個人史の上では、瞬く間に過ぎてゆく時間であろう。いかに市場が巨大でも、個人史では、学生生活のような時限に区切られた時間なのである。そのように考えると例えば「充実した4年間を思い切り輝かせよう!」というような、密度の濃い訴えかけをすることが、3世代消費を顕在化する切り口の一つではないかと思う。
シニアマーケティング研究室 中田典男
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